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「霊柩車」とはどのような車なのか?その役割や「寝台車」との違いについて解説します

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「霊柩車」という車のことをご存じでしょうか。

この車は、“ご遺体を乗せて運ぶ車”と認識している方は多いかもしれません。

しかし、実際にはどのような種類があるのかまで明確に答えられる人は少ないかと思います。

また、「霊柩車=豪華な飾り付け」がされているイメージを持っている人も多いかもしれませんが、最近は見かけることも少なくなったと感じませんか?

この記事では、霊柩車について詳しくご紹介するとともに、「寝台車との違い」についても、解説をしていきたいと思います。

「霊柩車」とはどのような車なのか?

この車は、「ご葬儀を執り行なう会館から火葬場まで、故人様をお運びするための車」のことを指しています。

もっと端的にいうのであれば、「ご遺体の搬送を行う自動車」のことです。

遺体は棺に納められているため、車体の後部には棺を固定するレールやストッパーが装備されています。

霊柩車の種類について

霊柩車の種類は、大きく分けると以下の4つが存在します。

◆宮型(輿型)
◆洋型(リムジン型)
◆バス型
◆バン型

宮型(輿型)とは、以下画像のような車です。

日本建築独特の唐破風(からはふ)や豪華な彫り物、金箔などが施された車両であり、「見たことがある」という人もいらっしゃるかと思います。

ただし、現在はこの宮型の数は大きく減少しており、あまり目にする機会はありません(理由は後述にて)。

洋型(リムジン車)というのは、大型外車や国産高級車をベースに使ったものであり、外観はシンプルかつ高級感があります。

近年は、この洋型が主流となっています。

その他にも、マイクロバスのような形をした「バス型」や、バンやワゴンをベースにした「バン型」などが存在します。

運転するために必要な免許はなにか?

まず、ご遺体は“法律上では”貨物という扱いになります。

そのため、霊柩の運送は「一般貨物自動車運送事業」にあたります。

つまり貨物を運ぶ営業車両には、「緑色のナンバープレート」がつくのです。

そして、この車はメーカー生産車に特殊部品や装置を付けた“架装車両”にあたるため、ナンバーは特殊な車両に使用される「8ナンバー」となります。

かといって、霊柩車を運転するのに特別に必要な免許というのはありません。

一般的なものであれば、「普通自動車第一種免許」で運転が可能となるのです。

ただし、バス型など10名以上の参列者を乗せる車の場合は「旅客運送」にあたるため、運転には「中型自動車第二種運転免許」が必要となります。

霊柩車は運転免許があれば運転可能ではありますが、運転する車種によって必要な免許が異なるため、若干の注意が必要です。

なぜ「宮型霊柩車」の数が減少してしまったのか?


霊柩車にはいくつかの種類が存在することは上記でもお伝えした通りですが、その中の一つ「宮型霊柩車」の数は、年々減少傾向にあります。

それはなぜか?

理由として挙げられるのは、「霊柩車と一目で分かる=”死”を連想させてしまう」からです。

社会や価値観の変化に伴い、人の死は身近でなくなりつつある昨今。

火葬場の近くにお住まいの方にとっては日に何度も霊柩車を見かけることもあり、その点がネガティブな印象を与えてしまう可能性があるのです。
(実際に、近隣住民から苦情が増えているとのこと)

そうした近隣住民の心情に配慮し、自治体によっては“目立つ宮型霊柩車の火葬場への乗り入れを禁止している”ところもあるほどなのです。

後は、「社会情勢や人々の社会生活が変化している」ことも理由に挙げられます。

例を2つ、挙げてみましょう。

一つは、「葬儀規模が縮小傾向にある」という点です。

「少子高齢車社会」「人付き合いに対する考え方の変化」「社会生活が変化」したことにより、家族葬のようなごく限られた参列者で行う葬儀の場合は、豪華な霊柩車は仰々しいと考える遺族が多くなったのです。

そのため、”目立たず”かつ”経済的”なミニバンタイプの霊柩車を利用することが多くなったといわれています。
(見かけても、霊柩車と気づかないタイプが増加した)

もう一つは、「火葬場までの距離」です。

以前は、葬儀は「地域社会」が主体となって営むものと考えられていましたが、現在は「葬儀社主導」で行われることが多くなりました。

葬儀会場についても、専用の式場が一般的となったのです。

その際に、合理性として支持されたのが「火葬場併設の斎場」です。

この場合、敷地内に火葬場があるので、棺の搬送に霊柩車は必要ありません。

利便性が追求されることに合わせて、霊柩車の出番そのものが少なくなっているというのが実情なのです。

他にも、以下のような理由もあります。

◆制作・購入・維持のコスト削減
◆宗旨による違い
◆車両の安全基準厳格化
◆洋型霊柩車の流行

時代の変化に合わせて、葬儀の形態自体にも変化が生じているのです。

霊柩車ってどこで作られているの?

この車は、量産体制が整っているわけでもなく、受注生産されているわけでもありません。

では、どこで作られているのでしょうか?

実は、「一般の車を改造して造られている」のです。

これらの作業は、大手の自動車メーカーではなく、「専門とするメーカーや工場」にて行われています。

特に宮型霊柩車は高い技術が必要とされることから、熟練の職人が製造をしていました。

ただ、上記の理由から宮型霊柩車の需要は年々減少しており、業界に変化が起きていることは確かです。

「霊柩車」と「寝台車」の違いについて

霊柩車に似たものとして、「寝台車」というものがあります。

どちらも「一般貨物自動車運送事業」の許可が必要となりますが、この2つの違いはなんなのでしょうか?

両者は、「ご遺体を運ぶ」という点については同じです。

しかし、「どこからどこにご遺体を運ぶか?」という点に違いがあります。

【霊柩車】
・ご遺体を安置している場所から火葬場へ運ぶ

【寝台車】
・故人様がお亡くなりなった場所(病院など)からご遺体を安置する場所(会館など)へ運ぶ

言い方を変えると、「葬儀前に出勤するのが”寝台車”」、通夜や告別式の後に出勤するのが「霊柩車」となります。

尚、お迎えに行く場所への配慮もあって、寝台車の外観は一般車両と変わりはありません。

また、近年は霊柩車であっても一般車両と見分けがつきづらくなっていますが、両者には見分け方があります。

それは、“前方ドアの表記”です。

霊柩車の場合、車前方のドア下部に、小さく「霊柩」もしくは「霊柩限定」と表記されています。

この点で、区別をすることができるのです。

霊柩車に関する「言い伝え」について


最後に、霊柩車にまつわる「言い伝え」(迷信)をご紹介したいと思います。

言い伝え1.親指を隠す

これは、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

理由としては、以下が言い伝えられています。

◆親の死に目に会えなくなる
◆親が早死にする
◆親族に不幸がある

理由の一つとしては、「親指」「親」をかけているといわれています。

親に良くないことが起こらないように、親指を隠す行為が広まったのです。

もう一つは、「親指の爪の間から霊が入る」というものです。

古くから、「人間の親指には魂の出入り口がある」といった伝承があり、死者の霊魂が入らないように、親指を隠し、自らを守っているとされてきたのです。

これらはあくまで「言い伝え」であり、真実は定かではありません。

それに、宮型も減少傾向にある=目にする機会が減っている(気づかない)こともあって、今後はその言い伝えも少しずつ変わっていくかもしれません。

「行き」と「帰り」で違う道を通る

霊柩車は、基本的に「行き」と「帰り」を違う道で通ります。

これには「あえて通り道を変えて道を迷わせ、故人にきちんとあの世へ行ってもらいたい」という意味が込められているのです。

「野辺送り」

火葬場まで、車両などが列を成して向かう姿は、「野辺送り」を表現したものといわれています。

この「野辺送り」というのは、「葬列を組んで墓地または火葬場まで故人を送ること」をいいます。

告別式が一般に普及する前の日本では葬送儀礼の中心に当たるものでした。

これが、今現在にも言い伝えられているのです。

まとめ

以上が、「霊柩車」についてのご紹介となります。

霊柩車も、時代の変化とともに変化を続けています。

日本においては、古くから存在した「宮型」の霊柩車の数が年々減少しており、人目に付きづらい「洋型」などが主流となってきています。

とはいえ、どんな形であれば「ご遺体を運ぶ車である」という点に変わりはないのです。

尚、今回ご紹介した「霊柩車」、そして「寝台車」の手配の方法や掛かる費用については、改めて別の記事にてご紹介できればと思います。

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