車の購入手段の一つとして利用される「カーローン」。
このローンを利用する際、ディーラーで組むローンと銀行で組むローンのどちらを選ぶべきかで悩む人は多いのではないでしょうか。
大切なのは、それぞれの特徴をしっかりと理解し、自分に合ったローンを選ぶことです。
今回は、各ローンの特徴を解説していきたいと思います。
「ディーラーローン」とは?
ディーラーローンというのは、新車購入時に各ディーラーが用意しているマイカーローンのことをいいます。
提携先の信託会社やクレジットカード会社などが融資先となって、車を担保にして借入するのです。
また、ディーラーローンは「残価設定型クレジット」や、支払回数を任意で設定できるプランなども取り揃えています。
※「残価設定」については、以下記事を参照下さい※
ただし、提携しているディーラーや融資先によって、条件や内容は異なります。
そのため、必ず事前に情報収集を行ってから利用するかどうかを決定して下さい。
「銀行マイカーローン」とは?
こちらは、銀行や信用金庫などの金融機関が提供している自動車ローンのことです。
最大のメリットは、「金利が低い」ということ。
また、車両代金だけでなく、車関係の諸費用もカバーできるなど自由度の高さが魅力です。
ただし、審査は厳しい傾向にあり、融資までに手間と時間がかかってしまう点には注意が必要です。
「ディーラーローン」と「銀行マイカーローン」の違いとは?
両者の違いは、以下4つが挙げられます。
2.「審査基準」
3.「車の所有権」
4.「手続きの手間」
順に解説を加えていきます。
「金利」
まず“金利”ですが、相場は以下程度といわれています。
銀行マイカーローン:1%台前半~4%
※あくまで相場です
「たかが数%……」と思う人もいるかもしれませんが、塵も積もれば山となるであり、総支払額に大きな影響を及ぼしてしまいます。
金利の違いで総支払額が大きく変わってくるため、特に「予算が少ない……」という方は、金利の低い銀行マイカーローンを検討すると良いかもしれません。
ちなみに、金利設定には「固定金利=ローン契約期間中の金利が変わらない」と「変動金利=市場に合わせて金利が上下する」があります。
ディーラーローンは「固定金利」、銀行マイカーローンは「変動金利」を採用している場合が多い傾向にあります。
「審査基準」
次に“審査基準”ですが、ローンを組む=お金を借りるということであり、「返済能力があるかどうか?」を確かめるために、ローンを組む際に必ず審査が行われます。
この明確な審査基準は公表されていませんが、一般的には銀行マイカーローンの方が、ディーラーローンに比べ審査が厳しい傾向にあります。
例えば、「収入の安定性」「滞納履歴などの信用情報」「他社での借入額」などは、どちらであってもチェックされます。
それとは別に、銀行マイカーローンの場合は「年収」「勤続年数」「完済時の年齢の上限」などもチェックされることもあるのです。
申し込み時点で制限を設けていることもあるため、事前に確認しておいた方が良いでしょう。
「車の所有権」
車の所有権も、以下のようにそれぞれで異なります。
◆銀行マイカーローン:車の所有権は「購入者本人」にある
この理由は、「車を担保としてローンの借り入れを行っている」からです。
そのため、もし仮にディーラーローン利用時に返済が滞ってしまうと、車を引き揚げられる恐れもあるため注意が必要となります。
加えて、利用者に所有権のないディーラーローンでは、原則ローン完済前に車を買い替えることはできません。
「手続きの手間」
ディーラーローンの場合は、車の購入時にそのままローンの申し込みも行えるため、手続きが非常に楽です。
審査結果が当日中に判明することもあるので、時間も大してかかりません。
しかし、銀行マイカーローンの場合は、販売店で車の契約をした後に、改めて銀行に足を運んでローンの申し込みを行わなくてはいけません。
また、複数の書類を揃える必要があったり、審査に1週間程度の時間が必要だったりと、色々と手間もかかります。
どちらの方がお得なの?
結論から言うと、「どちらを選択するかは人それぞれ」です。
銀行マイカーローンの方が、金利が低く、新車以外にも中古車・バイク・車検代などをカバーすることもできます。
対してディーラーローンの方が、金利は高く・車体費用のみローンが適用されるため、若干の注意が必要です。
この情報だけを見ると、銀行マイカーローンの方がお得のように感じるかもしれませんが、その代わりに審査が厳しく手間や時間がかかるという側面があります。
どちらにもメリット・デメリットがあるため、自分の状況と照らし合わせて、「どちらのローンの方が自分にとって有利なのか?」を慎重に見極めていくことが大切かと思います。
ローンの”審査”について
ディーラーローンでも審査に通らないケースもある
注意しておかなくてはいけないのは、「ディーラーローンにも審査はあり、人によっては審査に通らない可能性もある」ということです。
あくまで“銀行マイカーローンの方が審査がより厳しくなる”だけであり、ディーラーローンでも審査を通過できない場合もあるのです。
ディーラーローンに限らず、ローンの審査は以下の3つが大きな基準となります。
◆「他社の借入状況」
◆「支払い能力の有無」
返済の事故歴というのは、過去に「ローンやクレジットカードの返済延滞」や「債務整理や自己破産」がないかをチェックする項目です。
もし過去に事故歴があった場合、信用情報に記録が残り、違うローン会社であっても一括で管理しているデータベースにアクセスすれば分かるようになっています。
いわゆる、「ブラックリスト」と呼ばれるものです。
また、ローンを組む前に他社の借入状況も確認されるので、借入金が多い場合は、収入の比率も審査基準となります。
借入状況は、仮に虚偽申告をしても絶対にバレます。
そのため、正直に現在の支払い状況を伝えた方が賢明といえるでしょう。
最後に、支払い能力の有無です。
例えば、年収が200万円以下の場合など。
年収200万円以下=月収17万円程度になります。
ここから、税金・生活費・車の維持費などが差し引かれると、「ローンを返済することは厳しい」と判断されてしまいます。
加えて、“収入が安定していない”という場合も、返済中に収入が途絶える恐れがあるため、ローン審査には通りにくくなります。
後は、「勤続年数」にも注意しておきましょう。
審査基準は非公開であり明確な基準こそ分かりませんが、「勤続年数が3年以上なら審査に通りやすく、1年未満では通りにくい」といわれています。
ただし、これはあくまで可能性の話です。
勤続年数が1年未満であっても、転職前の職歴や勤続年数から「返済能力がある」と判断された場合は、審査に通る場合もあります。
ローンというのは、お金を“前借りさせてもらっている”という状態であるため、「返済能力があるかどうか?」は厳しく審査されます。
これは、銀行マイカーローンであってもディーラーローンであっても同じことです。
実際に審査を受けてみないことには分からないことではありますが、気になる部分がある人は「審査に通らない可能性もある」ということを理解しておいて下さい。
審査を通りやすくする方法はあるの?
審査条件に何らかの心配がある人でも、ローンの申し込み方法や契約内容を工夫すれば、審査に通る可能背もあります。
方法としては、以下が挙げられます。
②「頭金を入れる」
③「仮審査を受ける」
まず①ですが、年収に不安がある人……例えば「年収が200万円以下」「非正規労働者で収入が安定していない」「勤続年数が低い」という場合でも、支払能力がある連帯保証人を付けることで、審査に通る可能性は上がります。
“支払い能力がある連帯保証人を付ける=貸し倒れのリスクが下がる”ということにつながります。
そして②ですが、頭金を入れて借入額を少なくすることで、審査に通る可能性を上げることができます。
仮に、申込金額でのローン審査が通らなかったとしても、金額の条件付きで融資が可能となる場合もありますので、その場合は差額を頭金として支払えば借入ができます。
ちなみに、銀行マイカーローンの場合は、頭金の支払いを必須条件にしているところもあります。
最後に③ですが、ディーラー系・銀行系を問わず、「仮審査」というものがあります。
これは「事前審査」とも呼ばれており、その名の通り本審査前に行われる審査のことを指しています。
借入ができるかどうかを簡単に調べることができるため、ローン会社を選ぶ際の目安を知ることができるのです。
この「仮審査」は、ローン会社内での審査の為、信用情報機関に履歴は残りません。
(本審査であれば、短期間に複数のローンに申し込むと、以後のローン審査に影響を与える可能性がある)
仮審査は気軽に自身の状況をチェックすることができ、かつおおよその検討が付いた状態で対策を立てられるため、有益な手段といえます。
このように、工夫一つで審査に通る可能性はあるため、何かしらの不安要素があっても可能性を探ってみることは大切です。
ただし、余裕がない状態で無理くりローンを組んでも、後の支払いで苦労するのは自分自身です。
また、過去に返済の事故歴があった場合は、借り入れは難しくなります。
こういった点に注意して、ローンを組むかどうかを判断してみて下さい。
月々の負担を減らしたい場合は「カーリース」を選択するのも良い
“ローンを組む=お金を前借りする”ことであり、無理に借り入れをしてしまうと、返済そのものが大きな負担になるかもしれません。
そのため、人によっては「カーリース」も選択肢の一つに加えてみるのも良いかと思います。
カーリースは、リース会社が購入した車を利用者に長期間貸し出すサービスのことです。
車は、車両の本体価格・税金・保険・車検・定期メンテナンス……など、購入費だけでなく維持費もかかります。
カーリースを利用すれば、毎月の定額料金を支払うことで、自由に車に乗ることができます。
このリース料金は、車両の本体価格・税金・保険・車検・定期メンテナンスなどの総額から契約満了時の残価を差し引き、契約月数で割って算出されます。
そのため、急+まとまった出費も基本的には発生せず、支出を安定して車を利用することができるようになるのです。
ただし、あくまでも“車をリース会社から借りている状態である”ということだけは意識しておかなくてはいけません。
この「カーリース」に関しては、以下記事を参照下さい。
まとめ
ローンにもいくつかの種類がありますが、共通していることは「ローン=お金を前借りしている状態であり、月々返済していかなくてはいけない」ということです。
ローンを組むには審査がありますが、審査に通ったからといって闇雲にローンを組んでいては、後の返済で痛い目を見ることになってしまいます。
自身の状況をしっかりと把握した上で、ローンを組むかどうかを判断してみて下さい。
また、「ディーラーローン」と「銀行マイカーローン」のどちらを選択するは人によって変わります。
ディーラーローンは、審査時間が短く、販売店(ディーラー)で手続きを完結できるため、ローンの手続きに時間をかけなくないという人にオススメです。
ただし、金利が高く、返済期間が短く設定されるため、月々の返済額が高額になりやすいというデメリットもあります。
対して銀行マイカーローンは、低い金利で長期に渡って借入ができるため、1台の車を長く乗る場合や総額の支出を抑えたい方にオススメできます。
ただし、審査基準が厳しく、手続きに手間と時間も必要とするというデメリットがあります。
また、返済期間中に車を乗り換える場合、新たなローン審査に通らなくなってしまう可能性もあります。
それぞれに一長一短があるため、事前にしっかりと情報収集を行った上で、自分に合ったローンを選択するようにして下さい。
人によっては、ローンを組むのではなく、「カーリース」を選択するのも一つの手段です。
方法は一つではなく、多様な選択肢があります。
車の利用には多額の費用が発生するため、よく考えた上で、自分に合ったものを選んでみて下さい。