前回の記事にて、「輸送」および「陸送」についてのご紹介をさせていただきました。
「空送」「航送」「陸送」……輸送の中にもさまざまな方法が存在し、この中でも特に利用頻度が高いのが「陸送」ではないでしょうか。
そして、各輸送業者には、優良企業も存在すれば、大なり小なり「悪徳業者」の類が存在することも事実です。
今回は、「業者に依頼をする際に注意するべきポイント」や「費用の抑え方」などについて、詳しくご紹介をしていければと思います。
発生する費用の基本的なことについて
そもそも「陸送費用」ってなに?
これはその名の通り「車両を専門車両で輸送したり、指定場所まで運転して運ぶことにかかる費用」のことを指しています。
◆引っ越しの移動
◆不動車(故障して動かせない車)の移動
など、さまざまな場面で陸送を利用する機会が存在します。
ちなみに、名目上はあくまで“陸地経由で運搬する費用”であることから、例え近場の輸送であったとしても費用が発生する可能性はあります。
基本的には「陸送費用は発生するものである」という認識でいた方がいいですが、詳細は利用する業者に確認を取ってみるといいでしょう。
遠方の場合は「輸送費」となる場合もある
例えば以下のような場合、「輸送費」として請求される可能性があります。
◆特殊な車で、専用の輸送用トレーラーが必要となる場合
「陸送」はあくまで“陸上を経由するもの”が該当するため、「空送」や「航送」の場合は「輸送費」として請求されるのです。
ちなみに、“飛行機”であれ“船”であれ“輸送用トレーラー”であれ、専用の輸送機を使用しての輸送となるため、これらを使用した場合は「陸送」よりも金額が割高になる可能性が高いです。
この点についは、事前に見積書をしっかりと確認しておくようにしましょう。
「陸送費」と「納車費用」ってなにが違うの?
車を購入した際、業者によっては名目が分かれている場合があります。
それぞれの違いは、以下のようになります。
◆「納車費用」:輸送以外の費用が含まれている(洗車代・ガソリン代・登録費用など)
業者によっては、「陸送費」という名目が見積請求の中に記載されていない場合もあります。
しかし、だからといって費用が発生していないのではなく、“納車費用の中に含まれている”こととなるのです。
例えば車の納車であっても、「陸送費は発生するもの」という認識でいるといいでしょう。
陸送費用の”相場”について
概要
次に「陸送費用の相場」についてですが、これは状況により価格が変動します。
その代表例は“移動する距離”です。
例えば、中古車販売店で車を購入したとしましょう。
この際にも各種費用が発生することとなるのですが、距離によって“費用”や“掛かる日数”には変化が生じます。
この場合の相場+掛かる日数は、以下のようになるでしょうか。
・費用相場 :1万円~3万円
・掛かる日数:即日~2日ほど
【複数の県をまたぐ場合】
・費用相場 :3万円~10万円
・掛かる日数:1週間前後
ただし、上記はあくまで“目安”です。
例えば、「繁忙期」であれば、費用はさらに掛かる可能性があるでしょうし、日数も伸びる可能性があります。
(繁忙期=引っ越しシーズンや決算時期が重なりやすい、3月など)
状況によって値段も掛かる日数も変化するので、これは依頼するタイミングでしっかりと業者側に確認を取ってみることをオススメします。
“車の大きさ”によって、値段って変わるの?
基本的に、「車の大きさで値段が大きく変わることはありません」。
ただし、“車の種類”によっては、金額が変動する可能性が高まります。
◆ビンテージカー(旧車)
◆車高の低いスポーツカーや改造車 など
上記のような場合は、費用が別途定められているため、通常の車両に比べて高額となる場合があります。
“遠方への陸送”について
遠方へ運ぶ場合は、“直便で行くわけではなく、中継地点を挟むことが一般的”とされています。
例えば、ちょっと極端ですが「大阪府→福岡県」で陸送を手配したとしましょう。
その場合、同じ便で輸送をすることはなく、別の中継ステーションを経由して運ぶこととなるのです。
距離が遠くなればなるほど、この中継ステーションの軽油が多くなることとなるため、費用も割高になってしまいます。
陸送費用を”安く抑えるコツ”とは?
「陸送費用を、できるだけ安く抑えたい……」
こう考える人は少なくないはずです。
方法はあります。それが、以下のような手段です。
◆輸送の「繁忙期」となる時期を避ける
◆車をドアtoドアで運ばず、「中継ステーション」に引き取りに行く
それぞれ、補足を加えていきましょう。
費用を抑える方法1.「自走式」ではなく「積載車」で運んでもらう
陸送を行う場合、以下の2種類が選択できます。
②:「積載車」
①は、その名の通り輸送する車を運転し、目的地まで運ぶ方法。
②は、積載車に複数の車を詰め込み、まとめて輸送する方法。
当然、①の方が“ドライバーが占有されてしまう”ため、積載車での輸送に比べると料金が高くなってしまいます。
費用を抑えたいのであれば、積載車でほかの車とまとめて輸送してもらう方が安くなるのです。
費用を抑える方法2.輸送の「繁忙期」となる時期を避ける
上記でもご紹介した通り、陸送業者にも「繁忙期」が存在します。
特に引っ越しや決算時期となる3月がそれに該当するため、なかなか予約が取れなかったり、料金が高くなったりする可能性があります。
「格安に済ませたい!」という場合、繁忙期となる時期は避けた方がいいでしょう。
費用を抑える方法3.車をドアtoドアで運ばず、「中継ステーション」に引き取りに行く
これも上記でご紹介した通りですが、車は直接輸送されるケースは少なく、いったん“港”や“ヤード”と呼ばれる“中継ステーション”へと留め置かれ、そこから別の積載車に積み替えて輸送されるケースが殆どです。
そのため、遠方への陸路の場合は、その中継ステーションに出向いてそこで引き取れれば、以降にかかる輸送費を抑えることが可能となります。
どうやって選ぶ?陸送業者を選ぶ際のポイントについて
ネット時代である現代は、検索さえすればさまざまな陸送業者の情報を確認することができます。
例えば、「陸送業者 〇〇(←地域名)」で検索すれば、利用したい地域の陸送業者がズラッと表示されるはずです。
ただ、「情報量(企業数)が多すぎて、どの業者にお願いをすればいいのか分からない」という人もいるでしょう。
この項目にて、“業者選びのポイント”についていくつかお話をしておきたいと思います。
選ぶは「大手会社」?それとも「地域密着」?
結論から言うと、「利用目的によって異なる」と言えます。
例えば、“運び先”。
運び先が近郊であるならば、地域密着型の業者に頼んだ方が良い場合があります。
理由は、“地域の道路事情などを熟知している可能性が高いから”です。
“道路事情を熟知している=最短で届けてくれる可能性が高い=費用を安く抑えられる可能性がある”、です。
逆に、運び先が遠方である場合は、全国に専用の運送ネットワークを持っている大手業者に依頼をした方が良いかと思います。
その理由は、“さまざまなエリアに運送ネットワークが確立されているため、日数も短くて済み・安心できる”からです。
「大手企業だから、安心して任せられる」と言って丸投げすると、いろいろな意味(特に費用)でもったいないです。
「大手企業ならではの安心感」があるのは事実ですが、「地域密着型ならではのメリット」というものも確かに存在します。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分の利用用途に応じて使い分けをしていくのがベストではないかと思います。
「見積もり」は、複数の業者から取ること
陸送業者を選択する際は、できる限り複数の業者に見積もりを作成してもらうことをオススメします。
その理由は、“金額・サービス内容・保証などを比較するため”です。
できれば、「大手企業」「地域密着型」の両方から見積もりを依頼し、値段の内訳やサービス・保証の違いを明確に把握しておくといいかと思います。
(可能であれば、3・4社ほどから比較できれば良し)
見積もりは基本的に無料で作成してくれるため、問題となるのは手間だけです。
どれだけ近場であっても、無料で陸送を行ってくれる業者は基本的にありません。
大切なお金を使うことになるため、手間を惜しまずにしっかりと費用の比較をしておくことをオススメいたします。
また、見積もりを出してもらった際に“内訳に不明な点がある場合”は、うやむやにせずに必ず業者に質問をしましょう。
その理由は2つあります。
②回答の仕方を確認し、業者の対応をチェックするため
例えどんなに初期費用を安く抑えることができても、後から追加で費用を請求されれば意味がありません。
また、いくら費用が安くても、いい加減な仕事(対応)をする業者に大事な車の輸送を任せることもできません。
「大事な車を、安心・安全に運んでもらう」
これが、利用者にとってもっとも大切なことではないでしょうか。
その問題を未然に防ぐためにも、不明な点は必ず事前に確認をしておくようにしましょう。
“安さ”だけを売り文句にしている業者には要注意!
ここで一つ、要注意店があります。
それは「とにかく”安さ”だけを売り文句にしている業者には要注意!」ということです。
確かに、陸送業者の数も増え、お客様を獲得するために業者も価格競争をしていることは間違いありません。
それに、利用者自身も「安く済ませられるならそれに越したことはない」とも考えるでしょう。
しかし、“安ければいいというわけでもない”のです。
“安すぎる=何かを犠牲にしなければいけない”ということです。
企業側の立場になって考えてみてください。
費用を抑えるなら、その分「人件費を削っている」であったり「サービス(保証)の質を落としている」という可能性も否定はできません。
そうなれば、
◆「保証の質が悪い」
◆「丁寧に輸送してくれない」
◆「輸送に時間がかかり過ぎる」
などの問題に発展する可能性もあるかもしれません。
だからこそ、こういった問題を未然に防ぐためにも“複数の業者から見積もりを取り、不明点を質問する”のです。
「安いに越したことはないが、安ければいいというわけでもない」という点は、念頭に置いて依頼をするといいでしょう。
大切なのは「用途に合った選択をする」こと
上記でも記載した通り、大切なのは「目的に応じて、必要な業者を選択する」ことです。
「とにかく安いことを一番にしたい」のか?
「値段は高くなってもいいから、大切に丁寧に運んでくれることを一番にしたい」のか?
また、陸送業者によっては、車の輸送だけでなく、“車の名義変更”や“車庫証明の取得”などの各種手続きを代行してくれるサービスもあります。
自分の優先するサービスを行ってくれる会社、優先する用途に合った業者を選択することが、一番のポイントとなるかと思います。
まとめ
以上が、「陸送業者の選び方」および「費用に関すること」となります。
大切なポイントをもう一度まとめておくと、以下のようになります。
◆「複数の業者から見積もりを取ること」
◆「分からないことがあれば、しっかりと確認を取ること」
◆「自分の目的に合わせた業者を選択すること」
基本的に、陸送費を0円にすることは難しいです。
「どんな形であっても費用が発生してしまう」+「大切な車を安全に運んでもらう」ためにも、業者選びはしっかりと行うようにしてください。
重要なのは「信頼(信用)できる業者かどうか?」です。
以上の点を考慮し、自分に合った業者を選べるよう、工夫してみてください。