念願の自動車を購入すると、早く運転したくてワクワクすると思います。
しかし残念ながら、車を購入してから納車されるまでには手順があるため、注文してすぐに納車というわけにはいかないのです。
そして、意外と「納車」の意味を正しく理解しておらず、間違った使い方をする人もいます。
今回は、「納車」についてと、納車の際に行われる「納車式」について、詳しくご紹介をしていきたいと思います。
「納車」および「納車日」とはなにか?
「納車」の正しい使い方とは?
まず、「納車」の正しい意味は、以下の通りとなります。
「車の販売業者が、自動車・バイク・自転車などを購入者に納入すること」また、「修理や車検が終わった車を依頼者に届けること」です。
つまり、「納車=車屋さんがするもの」なのです。
例えば、車の販売員から「ご購入時期はお決まりですか?」と質問があったとします。
このとき、「〇月に納車したいです(納車する予定です)」と返すのは、正しい言葉遣いではありません。
正確には、「〇月ごろに納車してほしいです」「〇月ごろの購入を予定しています」といった言い回しが適切となります。
ちなみに、さらに細かいことをいうと、「納車=車を納める」という意味なので、「車を納車する」とはいいません。
些細な違いに感じる人もいるでしょうし、店員から間違いを指摘されることももちろんありませんが、車購入をスムーズに進める上で用語を正しく理解しておくに越したことはありません。
納車の流れについて
冒頭でも記載した通り、車を購入してから納車されるまでの間には、いくつかの手順があります。
購入したからといって、そのまますぐに乗って帰れるわけではありません。
納車までの流れは、おおむね以下のようになります。
◆契約:販売契約をかわす
↓
◆支払い:頭金・手付金を頂戴する
↓
◆車庫証明:管轄の警察署で、車庫証明を作成してもらう
↓
◆納車整備:納車に向けて、車検・整備・鈑金等・オプション取付を行う
↓
◆書類準備:お客様に印鑑証明・住民票などの準備をしていただく
↓
◆登録:陸運局にて、お客様の名義に登録する
(ここで納入準備が整う)
↓
◆納車:お客様の都合の良い日や、大安吉日などを選んで納車する
まとめると、「お客様は納車される側・納車される立場」であり、「納車する(車を納める)のは車屋さんの仕事」となります。
尚、新車を購入してから納車されるまでの期間は、“その車の在庫状況”により異なります。
もし、メーカーやディーラーに在庫があれば、1~2週間程度で納入されるのが一般的です。
ただ、人気のある車種などの理由で在庫がない場合は、入荷待ちが続くこともあり、納車までに数ヶ月かかることもあり得ます。
(在庫があっても、手続きがスムーズに進まなければ納車時期が遅くなることもある)
また、オプションを付けることで納車が延びる可能性もあります。
「納車日」とは?納車日に向いている日ってあるの?
その名の通り、「納車日=納車が行われる日」を指しています。
購入者側の立場からすると、待ちに待った車が手に入るのですから、なるべく早くに納車してほしいと考えることでしょう。
ただ、納車日には“向いている日”というものがあります。
それは、“晴れた日の日中”です。
納車日には購入した車に不備がないか入念な確認を行うため、自然光の下でチェックできる環境が望ましいのです。
とはいえ、晴れるかどうかはその日になってみないと分かりません。
もし仮に当日に雨が降った場合は、予定通り納車してもらうかどうかを判断することとなります。
雨の日を避けていては愛車に乗れる日が遠のくため、多少天候が悪くても納車を受ける方が大半であり、よほど豪雨や台風でも来ない限り延期されることはあまりありません。
しかし、基本的には晴れた日の日中が納車の日時として理想的なことは確かなので、この点は意識しておくといいでしょう。
加えてもう一つ。
納車日を決める際に、「日柄」を気にする方もいます。
六曜(先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口)とは旧暦の各日付に吉凶を付ける考え方のことであり、この六曜の中でもっとも縁起が良いとされる日が「大安」なのです(大安吉日とも呼ばれる)。
逆にもっとも縁起の悪い日とされているのが、「仏滅」です。
このことから、仏滅の納車を避ける人が多く、逆に大安を納車日に選択する人が多いとされています。
もちろん、日柄を気にせずに最短かつ都合のつく日を納車日に選ぶ人もいます(そもそも若い方の中には六曜を知らない人も多くいます)。
とはいえ、日柄や縁起が気になる人は、六曜を意識して納車日を選択してみるのもいいかもしれません。
納車の際に準備しておくものとは?
普通車の場合
まず、登録者(普通車)の契約から納車までに準備しておかなくてはいけないものは、以下が挙げられます。
◆「印鑑登録証明書」(発行から3ヵ月以内のもの)
◆「実印」
◆「口座届出印」(ローンを組む場合)
※「委任状」は販売店側が用意してくれます
上記に記載の「車庫証明書」についてですが、車を購入するためには駐車場を確保していることを証明する必要があります。
この証明書は、販売店に取得代行を依頼するか、自分で取得するかを選択することができます。
自分で取得する場合は、保管場所(駐車場)のある所在地を管轄する警察署で発行してもらいます(普通自動車の場合、発行までに約3~7日かかる)。
加えてもう一つ。
車をローンで購入すると、販売店やクレジット会社を所有者として、車両登録を行う場合があります。
この場合は「印鑑登録証明書」が不要となり、代わりに「住民票」が必要になります。
軽自動車の場合
軽自動車を購入する場合は、以下が必要になります。
◆認印(シャチハタ以外)
◆自動車保管場所届出書
軽自動車の場合、法律上の”資産”に該当しないため、住民票と認印で購入手続きを行うことができます。
また、保管場所の申請は、警察署で即時発行できる「自動車保管場所届出書」を提出すればOKです。
一部の地域ではこの届出が不要となる場合もありますので、警察署で確認を取ってみてください。
下取りの車がある場合
購入時に下取りの車がある場合は、上記に加え以下が必要となります。
◆「リサイクル券」
◆「自動車検査証」(車検証)
◆「自賠責保険証」
◆「印鑑登録証明書」←軽自動車の場合は不要
※以下販売店側が用意してくれるもの
◆「名義変更手続きの委任状」
◆「譲渡証明書」
ちなみに、新たな車に乗り換える場合、保険も変更の手続きを行わなければいけません。
(期間の途中で補償対象となる車を変更させることを「車両入替」という)
自動車保険というのは、「契約の対象である車が事故を起こした際の損害を補償するもの」です。
きちんと車両入替をしておかないと、交通事故が発生した際に保証を受けることができなくなってしまいますので、車両入替は確実に行っておくようにしてください。
発生する費用について
納車に関する費用については、以下の4つが挙げられます。
◆「運送費」 :距離による(※)
◆「検査登録代行手数料」:約10,000円~30,000円
◆「車庫証明代行手数料」:約10,000円~20,000円
あくまで相場であり、発生する金額は状況に応じて変動します。
ちなみに「運送費」とは、指定場所での納車にかかる費用のことで、上記に記載の通り距離によって変わります。
正直なところ多額の費用が発生するため、「できる限り費用を安く抑えたい」と考える人も多いのではないかと思います。
上記の中でカットできる費用としては、「運送費」と「車庫証明代行手数料」があります。
特に運送費は、指定場所での納車を希望しなければ、自動的に無料となります。
(近年は店頭納車が一般的である)
そして、車庫証明代行手数料をカットする方法は、「自分で車庫証明書を取得する」ことです。
万単位で費用をカットすることができるため、費用を安く抑えたいという方はぜひ検討してみてください。
「納車式」とはなにか?
概要
最後に、「納車式」についてのご紹介となります。
これは、「車がユーザーに納車されることを記念して、ディーラーなどで開かれるセレモニーやイベントのこと」を指しています。
販売店によって納車式の内容は異なりますが、例えば以下のような催しがされることが多いです。
◆花束の贈呈
◆店長の挨拶
◆記念撮影
◆スタッフによる見送り
など
近年は納車式をしない販売店も増えていますが、輸入車ディーラーを中心に納車式は今でも行われることがあります。
なぜ納車式は減少傾向にあるのか?
納車式を行う販売店は減少傾向にあります。
というよりも、「大々的な納車式はしなくて良い」というユーザーが増加傾向にあるのです。
その理由は、“購入者のニーズの変化”が要因の一つとなっています。
以前は、「自動車=特別な一台を迎え入れる」という傾向が強くありました。
しかし現在は、「日常生活の取り回しの良さ」や「乗りやすさ」に重点をおいた車が選ばれる傾向が強くなっているのです。
「恥ずかしい」「高級車を買ったわけでもないのに大層すぎる」といった声もあがっており、納車式を遠慮するユーザーが増えています。
まとめ
以上が、「納車」に関するご紹介となります。
納車の意味を正しく知り、1日でも早く新しい車を運転できるように、業者の人ともしっかり話し合ってみてください。
また、車の買い替えに伴い、車両入替など自動車保険の変更手続きも行うことになります。
車を購入する際は、自動車保険の見直しも併せて行ってみるのもいいかもしれません。