目的地までの移動手段として、人々になじみ深い存在である「タクシー」。
タクシー運転手になるためには、「運転免許」が必要となります。
しかも、“タクシードライバー専用の運転免許”です。
今回は、「タクシードライバーのなり方」や「必要な免許」について解説していきたいと思います。
「タクシードライバー」として働くために必要な免許とは?
概要
まず結論から言うと、タクシードライバーとして仕事をするためには、「普通自動車第二種運転免許」が必要となります。
この免許は、タクシーを運転する際に必要不可欠なもので、一般のナンバープレートとは異なる“商業ナンバー”のプレートが付けられることとなります。
そのため、見た目にも“商業用”と分かるようになっているのです。
「普通自動車免許」とは何が違うの?
普段、家庭などで使用する一般的な乗用車を運転する際に必要となる「普通自動車運転免許」ですが、これの正式名称は「普通自動車第一種運転免許」となります。
対して、タクシードライバーとして仕事をする際に必要となるのは「普通自動車第二種運転免許」であり、名称そのものが異なるのです。
“名称が異なる=免許を取得する”ためには、専用の試験をそれぞれ受ける必要があるということになります。
「二種免許」の種類について
第一種免許(=通常の運転免許)にも、さまざまな種類があるように、二種免許にも大きさや種類に合わせて必要な免許が異なることとなります。
例えば、以下のようなものが挙げられます。
◆「中型第二種免許」
◆「大型第二種免許」
◆「大型特殊第二種免許」
◆「牽引第二種免許」
タクシードライバーであれば、一番上の「普通第二種免許」を所持していれば、業務を行うことができるようになります。
「二種免許」に必要な受験資格とは?
受験資格=条件は、以下の通りとなります。
②「第一種免許」を取得してから3年が経過している
③視力が”両目0.8以上”、”片目0.5以上”ある
少し補足しておきます。
まず②ですが、これは「免許取り消し」などに合っていた場合、その“停止されていた期間は除いた期間の累積”となります。
そして③ですが、第一種免許の場合、必要な視力は“両目0.7以上・片目0.3以上”となっているため、それに比べると若干厳しく設定されています。
加えて、立体感を図るための視力検査も行われます。
タクシードライバーは、“利用者=お客様の命を預かる仕事”となるため、一般的な乗用車に必要な免許に比べて、適性検査が厳しくなるのです。
試験内容には何がある?
試験内容は、以下の3つで構成されることとなります。
②学科試験
③適性検査(視力・深視力など)
③は上記でお伝えした通りなので、①と②について少し補足を加えておきたいと思います。
まず①ですが、一種免許の時と同じく「教習所内での試験と路上試験」があります。
合格基準は90点以上であり、一種免許に比べて厳しく審査されることとなります。
(一種免許は80点以上である)
そして②ですが、問題形式はマークシート式であり、全95問(文章問題:90問、イラスト問題:5問)が出題されます。
章問題が1問1点、イラスト問題が1問2点の合計100点満点の試験で、「90点以上」で合格となります。
こちらも、一種免許に比べ応用問題が多く・難易度も高まっています。
そして、上記すべての試験・検査に合格した後、以下の講習を受講する必要があるのです。
・応急救護処置の基礎知識
・応急救護の実技(心肺蘇生法、止血法等)
◆「旅客者講習」
・運転に係る危険の予測
・夜間や悪条件下での運転
・子供、高齢者、身体の不自由な方への対応
上記でもお伝えしたように、タクシードライバーは“利用者=お客様の命を預かる仕事”であるため、一種免許以上に免許の取得条件が厳しくなっているのです。
「地理試験」について
上記とは別に、一部地域で免許を取得する方は、「地理試験」にも合格しなければいけません。
具体的には、「東京・神奈川・大阪」といった都市部で免許を取得する(業務を行う)場合です。
都心部は、車の通りも多く、場合によっては渋滞に巻き込まれる可能性があります。
タクシードライバーは、「利用者(お客様)を安全に目的まで運ぶ」という役割と同時に、「最短で目的まで運ぶ」必要があるのです。
そのため、目的地まで向かう際の最短ルートや、そのルートの運賃や所要時間なども正確に把握しておくことが必要となるのです。
職に就く前に「二種免許」は絶対に必要となる……?
上項でお伝えした通り、タクシードライバーとして業務を行うためには、「二種免許」が必要となります。
ただ、必ずしもタクシー会社に入る時点(前)に免許を取得している必要はありません。
基本的に、タクシードライバーの採用条件として必須となるのは「普通自動車第一種免許」となります。
つまり、一般的な乗用車を運転するための免許さえ取得していれば、応募条件そのものは満たすことができるのです。
では、「タクシードライバーになるための免許(=二種免許)はどうやって取得するのか?」ですが、これは“採用後に取得する”こととなります。
タクシー会社では、二種免許の取得費用を負担してくれることがほとんどです。
そのため、まずはタクシー会社に就職することを目標とする。
そして、就職後に(会社の)研修を受けながら、免許の取得を目指す……というのが、一般的なタクシードライバーとしての勤務方法となるかと思います。
実際、「普通自動車第一種運転免許」を所持している人を優先的に採用し、養成訓練を行うのが一般的とされているのです。
ちなみに、上項でもお伝えした通り、「二種免許の受験資格の一つに、一種免許取得後3年以上というのがある」ため、応募時点で「一種免許取得後3年以上」と条件が課されている場合も多いです。
この点は、採用情報を確認しつつ、不明点があれば各企業に問い合わせを行ってみるのが良いかと思います。
「法人」と「個人」の違いについて
タクシードライバーには、以下の2種類が存在します。
◆「個人」:個人事業主として、個人で業務を行う
この時、法人であっても個人であっても、取得しなければいけない資格は同じとなります。
つまり「普通自動車第二種運転免許」が必要となるのです。
ただし、個人事業主として個人でタクシードライバーを営むためには、もう2つ条件が必要となります。
それが、以下です。
◆個人タクシー協会に申請・認可を受ける
「タクシードライバーになろう!」と思っても、いきなり個人事業主として個人タクシーを営むことはできないのです。
もし「タクシードライバーに興味がある」という人は、この点にだけは注意しておいた方がいいかと思われます。
まとめ
タクシードライバーは、「利用者=お客様の命を預かり、安全かつ最短で目的地まで移動する職業」となります。
そのため、一般的な乗用車(=第一種免許)に比べ、受験資格や合格基準は高く設定されており、採用後もマナー研修などのさまざまな研修を受ける必要があります。
また、タクシードライバーは常に安全な運転を行う必要があるため、仕事をスタートしてからも健康状態のチェックは厳しく行われます。
「免許さえ取得していればなれる職業ではない」という点だけは、ご留意いただければと思います。
もし「タクシードライバーになりたい!」と考えている人は、関連するさまざまな情報を収集し、免許だけでなく必要なマナーなども学んでいく必要があると言えるでしょう。