移動式クレーン車は、建設現場から港湾や倉庫などの幅広い場所で利用されています。
建設や物流業界を支える重要な役割をもっており、専門資格や技術が必要なことから、需要や将来性も十分にあるといえます。
では、就職や転職を行う際、移動式クレーン運転士はどういった資格を取得していればいいでしょうか?
今回は、移動式クレーン運転士に必要な資格および資格の取得方法について、ご紹介していきたいと思います。
移動式クレーン運転士に必要な免許について
吊り上げ荷重に応じて、必要な資格は異なる
まず、移動式クレーン車を運転するには、吊り上げ荷重に応じて必要な資格が異なります。
まとめると、以下のようになります。
◆つり上げ荷重1t以上5t未満:「小型移動式クレーン運転技能講習修了」
◆つり上げ荷重5t以上:「移動式クレーン運転士免許」
それぞれ、個別に詳細をご紹介していきます。
「移動式クレーンの運転業務特別教育修了」
これは、「一般社団法人 日本クレーン協会」や「クレーン車の特定教習機関(教習所)」などで実施している特別教育です。
受講資格というものは特にありません。
受講内容は、学科が9時間、実技が4時間の計13時間となります。
(2日間で行われる)
科目としては、以下のようなものを学ぶことができます。
◆原動機及び電気に関する知識
◆移動式クレーンの運転のために必要な力学に関する知識
◆関係法令
◆移動式クレーンの運転
◆移動式クレーンの運転のための合図
受講時間が短く入門編としても最適のように感じるかもしれませんが、一つ問題があります。
それは、「吊り上げ荷重が1t未満の小型移動式クレーンの作業が減っている」ということです。
そのため、開催している教習所は年々少なくはなっています。
もし「移動式クレーン運転士として長く働きたい」と考えている人がいれば、この特別教育を受講するよりも、以下2つの講習・免許を取得した方が良いかとは思います。
「小型移動式クレーン運転技能講習修了」
まず、こちらも受講資格というものは存在せず、誰でも受講することが可能です。
ただし、特定の資格や経験に応じて、一部の講習が免除されることとなります。
・小型移動式クレーン等の特別教育修了後、業務経験が6ヵ月以上:19時間
・車両系建設機械(基礎工事用)運転技能講習修了者・建設機械施工技士1級・2級の第2種または第6種合格者:17時間
・クレーン・デリック、揚貨装置いずれかの運転士免許所有者・玉掛け技能講習修了者・床上操作式クレーン運転技能講習修了者:16時間
・鉱山にて、吊り上げ荷重5t以上の移動式クレーンの業務経験が1ヵ月以上:13時間
ちなみに、上記の講習免除を受ける場合は、「特別教育修了証のコピー」や「事業主経験証明」などが必要となります。
また、この講習を通して学べることは、以下が挙げられます。
◆小型移動式クレーンに関する知識
◆原動機および電気に関する知識
◆運転のために必要な力学に関する知識
◆関係法令
≪実技≫
◆運転のための合図
◆小型移動式クレーンの運転
「移動式クレーン運転士免許」
これは、“国家資格のクレーン免許”であり、この免許を取得することですべての移動式クレーンが運転できるようになります。
(労働安全衛生法に定められた国家資格である)
受験資格は特に定められていませんが、18歳未満で試験に合格した場合は、満18歳になるまで免許交付が見送られることとなります。
言い方を変えると、「何歳でも移動式クレーン免許の試験は受験できる」ということでもあります。
試験内容は、以下の学科・実技が設けられています。
◆移動式クレーンに関する知識
◆原動機及び電気に関する知識
◆関係法令
◆移動式クレーンの運転のために必要な力学に関する知識
≪実技≫
◆移動式クレーンの運転
◆移動式クレーンの運転のための合図
この試験に合格することで、各都道府県労働局長から免許が与えられることとなります。
尚、クレーンやデリックなどの“関連資格保有者”や“小型移動式クレーン運転技能講習修了者”などは、共通する科目が免除されます。
他に必要な資格はあるの?
移動式クレーン運転士の仕事(作業)に従事する場合、他に必要となる資格はあるのでしょうか?
結論としては、以下2つの資格が必要な場合が多いです。
◆「運転免許」
それぞれ、捕捉を加えていきましょう。
「玉掛け技能講習」
上項で挙げたクレーンに関する教育・免許は、あくまで「クレーンを運転するための技術」を学ぶためのものです。
クレーンの先には「フック」が付いており、ここに荷物を掛け外しする必要があるのですが、この掛け外しに必要となる資格が「玉掛け技能講習」というものなのです。
玉掛け資格だけ所持していてもクレーンは運転できませんし、クレーン資格だけを所持していても玉掛けを行うことはできません。
なぜ、別途玉掛けの資格を取得しなければいけないのか?
それは、「事故を防ぐため」です。
クレーンは、重い荷物や大きな荷物を吊り上げるため、バランスよくフックを掛けないと、落下や転倒などの事故が起きる可能性があります。
そのため、「玉掛け技能講習」を通じて(労働安全衛生法に基づき)、正しい知識・合図・技能を学ばなければいけないのです。
ちなみに、少しややこしいのですが、吊り上げ荷重によって、受講する講習は異なります。
◆吊り上げ荷重1t以上 :「玉掛け技能講習」
また、クレーン関係の資格や実務の経験がある人は、一部の学科や実技が免許されます。
基本的には、「玉掛け技能講習」を受講するで問題はありません。
というのも、“1t未満の玉掛け作業が減っている”ことから、教習所での特別教育の開催は少なくなっているのです。
「運転免許」
上項で記載した移動式クレーンに関する資格は、あくまで“私有地で作業する”といった場合に必要となるものです。
そのため、移動式クレーンに関する資格を所持していても、公道(一般道路)を走行することはできません。
公道(一般道路)を移動する場合は、別途“対応する運転免許”を取得していなくてはいけません。
もちろん、移動式クレーンの車両部分の大きさによって、必要な運転免許は異なります。
◆準中型自動車
◆中型自動車
◆大型自動車
◆大型特殊自動車
加えて、一般道路を運転する場合、車両事態にナンバーの取得が必要にもなります。
この点にも注意しておきましょう。
まとめ
以上が、「移動式クレーン運転士に必要な資格・取得方法」についてのご紹介となります。
移動式クレーン運転士は、建設現場から港湾・倉庫など、幅広い場所で活躍しており、建設・物流業界を支える非常にやりがいのある仕事かと思います。
また、“専門職である”という点から、今後も需要のある仕事であることは間違いありません。
(事故に注意しなければいけないという点で、完全に機械化することも当面は難しい)
このことから、長く需要のある仕事かと思います。
関心がある方は、ぜひ移動式クレーン運転士に関する資格の取得に向けて動き出してみてください。
難易度は高いですが、特に国家資格である「移動式クレーン運転士」の免許を取得すれば、長く勤務でき・安定した収入にもつながるかと思います。
次回は、「移動式クレーン運転士」について、さらに詳しい情報をご紹介できればと思います。
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