日本国内の運転免許証の中で、非常にレア度の高い運転免許があります。
それが、「フルビット免許」と呼ばれるものです。
この免許は、一体なんなのか……?
何がそんなにレアなのか……?
今回はこの点について、詳しくご紹介していきたいと思います。
「フルビット免許」とはなんなのか?
運転免許には、じつにさまざまな種類が存在します。
そして、取得した免許は「運転免許証」に記載がされるのです。
上記に、免許のサンプル画像を添付しましたが、免許証の中央下に「種類」という項目があるかと思います。
「フルビット免許」というのは、この「種類」の欄がすべて埋まっている免許証のことをいうのです。
運転免許の種類は以下の通り15種類が存在し、免許証の種類14個の枠がすべて埋まっている状態のことを指しています。
※()内は、免許証に記載されている種類の表記である
◆大型自動車免許(大型)
◆中型自動車免許(中型)
◆準中型自動車免許(準中型)
◆普通自動車免許(普通)
◆大型特殊自動車免許(大特)
◆大型自動二輪車免許(大自二)
◆普通自動二輪車免許(普自二)
◆小型特殊自動車免許(小特)
◆原動機付自転車免許(原付)
◆大型自動車第二種免許(大二)
◆中型自動車第二種免許(中二)
◆普通自動車第二種免許(普二)
◆大型特殊自動車第二種免許(大特二)
◆けん引免許(け引)
◆けん引第二種免許(け引二)
この免許を取得している人は「フルビッター」と呼ばれており、一部のドライバーからは憧れの対象として認識されています。
ちなみに、「免許の種類は15種類なのに、14種類しか記載できないのはなぜなの?」と疑問を持つ人もいるかもしれません。
この理由は、“準中型免許が2017年に新設された”ことが理由となります。
現在は、「中型」と「普通」の間に新しく「準中型」が追加されており、「け引」と「け引二」が統合されているのです。
「フル免許証」との違いについて
実は、免許証には「フル免許」と呼ばれるものも存在します。
「フル(full)=いっぱいに満たすこと」を意味しており、両者を同じ意味合いに捉えてしまう人もいるのですが……実は両者は異なるものとなるのです。
「フルビット免許」は、上記で記載した通り、“免許証の種類の欄がすべて埋まっているもの”を指しています。
対して「フル免許」は、種類の項目にある「普通」と「準中型」などが抜けている状態のことを指すのです(-と表記されている)。
すべての免許を所持していなくても、上位免許を取得していれば運転できるものもあります。
例えば、すべての免許を所持していなくても、以下4種類の免許をもっていれば運転できる範囲は「全部」となります。
◆大型特殊自動車免許
◆大型自動二輪免許
◆けん引第二種免許
この2つの違いは、いうなれば“表記の違い”なだけなのです。
ただし、意味合いは同じようなものの、厳密には異なるものとなるため、両者の違いには注意が必要となります。
どちらにせよ、「日本国内のすべての車を公道で走らせることができる」という時点で、どちらも非常にレアな免許となるのです。
なぜ「ビット」が付いているの?
実は、1994年までに発行されていた運転免許証は、免許種類の有無を「2進数」で表していたのです。
つまり、コンピュータ用語で用いられる「ビット」です。
全種類の免許を取得すれば、すべての欄に「1」がズラッと並んでいることが、呼称の由来となった……といわれています。
どうすれば「フルビット免許」を取得できるのか?
“順番”が大切である
この免許を取得するためにもっとも注意しなければいけないのは、「取得するためには”一定の順番”がある」ということです。
端的に言うならば、「上位免許を先に取得してはならない」です。
例えば、最初に「普通自動車免許」を取得すると、「原付」と「小特」の免許も自動で付いてしまいます。
他にも、「大型自動二輪免許」を「普通自動二輪免許」よりも先に取得したり、「二種」よりも「一種」を先に取得したり……。
“先に取得した上位の免許しか表記されない”というルールが存在するため、取得の順番には十分に注意しなければならないのです。
この「免許の上下関係」をしっかりと理解した上で、取得する免許の順番を考えていく必要があるのです。
取得順番はいくつかありますが、例を出すと以下のようになるでしょうか。
↓
◆小型特殊
↓
◆普通自動二輪
↓
◆大型自動二輪
↓
◆普通一種
↓
◆準中型
↓
◆中型一種
↓
◆大型一種
↓
◆大型特殊一種
↓
◆けん引一種
↓
◆普通二種
↓
◆中型二種
↓
◆大型二種
↓
◆大型特殊二種
↓
◆けん引二種
何はともあれ、まずは「原付」の免許から取得するのが鉄板です。
もし”順番を間違えたら”どうすればいいの?
上記でも記載した通り、例えば「原付」「小特」の前に「普通自動車免許」を取得してしまうと、この免許は完成できません。
このように、もし仮に「取得する順番を間違えてしまった」場合、どうすればいいのでしょうか?
これについては、「現在取得している免許を失効させるしかない」となります。
要するに、「(下位免許を取得した上で)もう一度同じ免許を取得し直さなければならない」ということです。
当たり前のことですが、免許を取得する場合、“費用”がかかることはもちろん“時間”も消費することとなります。
そこまでする意味があるかどうかは……その人次第となるでしょうか……。
費用の目安はどのくらいなのか?
上記にも記載した通り、免許を取得するためには「お金」を支払わなくてはいけません。
教習費用はもちろんのこと、仮に「一発試験」であったとしても費用が発生します。
また、教習所によっても金額は異なりますし、「通学」「合宿免許」によっても金額は変動しますし、そもそも取得免許の種類によっても金額は変わってきます。
そのため、一概に「総額〇〇円かかる」とは言えません。
ただ、大まかな相場でみると、「200万円」ほどはかかると考えておいた方が良いです。
これだけの数の免許を取得するのですから、このくらいの金額は想定しておかないといけない……といえるでしょう。
フルビット免許を取得する「メリット」とは?
◆最低3年の期間を必要とする
◆時間を大きく消費することになる
「上位免許を取得すればスキップできる区分もすべて回収する=時間とお金を大量に消費する」ということにつながるため、現実的にみるとかなりのロスが生じることとなります。
また、この免許を完成させたからといって、表彰されたり特別な処遇を受けたりといったこともありません。
では、この免許を取得するメリットとは、なんなのでしょうか?
結論をいうと、「特段、秀でたメリットは存在しない」となります。
あえて言うなら、「どんな車にも乗れて、職種も選び放題である」ということと、「取得した際の達成感は素晴らしいものである」ということでしょうか。
言い方が悪く聞こえるかもしれませんが、ある種の「自己満足に浸れる」といっていいかもしれません。
もちろんこの免許を取得すれば、周囲からは尊敬のまなざしで見られるかと思いますし、取得することに意義があるため取得後の達成感は素晴らしいものとなるはずです。
「取得する意味はない」とは口が裂けても言えません。
とはいえ、貴重な時間とお金を消費することも事実ではあります。
フルビット免許を目指すかどうかは、人それぞれでしっかり検討をした上でどうするかを決めてみてください。
「お金と時間に余裕がある」という人は、免許取得にチャレンジしてみるのもいいかもしれません。
まとめ
以上が、「フルビット免許」に関するご紹介となります。
これは、「免許証に記載のすべての種類を埋める」ということであり、取得後の達成感は素晴らしいものかと思います。
また、すべての免許を取得できる人は早々いるものではありませんので、周囲からも尊敬のまなざしで見られることでしょう。
非常にレアリティの高い免許となるため、お金と時間に余裕があるという人は、この免許の取得に挑戦して「フルビッター」を目指すのも良いかもしれません。
ただし、ここまでに記載した通り、各免許の取得には多大な「時間」と「お金」を消費することとなります。
また、取得したからといって、表彰されたり特別な処遇を受けたりといったこともありません。
取得するかどうかは“個人の意思”によるものが大きいので、しっかりと熟考した上で、取得を目指すべきかどうかを考えてみてください。