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物流業界における「リードタイム」の意味とは?意味・種類・重要性などを解説します!

この記事は約9分で読めます。

「リードタイム」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。

職種によっては聞き慣れない人もいるかもしれませんが、これは生産・物流業界において非常に重要な意味が込められています。

ただ、この言葉が頻繁に使われるようになったのは比較的最近のことであり、生産・物流業界に勤務している人であっても、その正しい意味をご存じない方もいるかもしれません。

今回は、この言葉の正確な意味・種類・重要性などを、詳しくご紹介していきたいと思います。

「リードタイム」とは?

概要


この言葉は、主に「製造業」「物流」で用いられる用語であり、“顧客が発注してから納品が完了するまでの時間”のことを指しています。

単純に「リードタイム」と呼ばれることもありますし、「顧客リードタイム」「納品リードタイム」と呼ばれることもあります。

このリードタイムの長さは、業種や作業を細かく区切り、どこからどこまでの工程にするかによって異なります。

ちなみに、“リードタイム=Lead Time”と英語表記しますが、これは本来の英語にはない表現であり、「Lead」「Time」を組み合わせた言葉となっています。

かつて「トヨタ自動車」で作られた和製英語とも言われており、そのため「自動車用語」に分類されていることもあるのです。

“受け手”によって、定義が微妙に異なる

この「リードタイム」というのは、”受け手”にとって、その定義に微妙な違いがあります。

例えば、以下のような場合です。

◆買い手:”発注~納品までの時間”
◆売り手:”受注~納品までの時間”

基本的には、“使う側(=買い手側)”の立場にあった柔軟な解釈を行っていく必要があると言えます。

ちなみに、この「リードタイム」という言葉は、「納期」という意味合いで使用されることがあるのですが、正確にはこれは間違いなのです。

例えば、「発注から納品までの期間」を意味する前提でリードタイムを相手側(買い手側)に質問したとしましょう。

そうすると、売り手側の期待する回答は「〇営業日」などの“期間”を表すものとなります。

しかし、“リードタイム=納期”と認識してしまうと「〇月〇日」と、具体的な日付で返答される可能性もあるのです。

もちろん、そこまで大きな意味の違いはありませんし、認識のズレはその場で修正を加えれば何の問題もありません。

ただ、正しい意味を知っておくに越したことはありませんので、念のためご紹介しておきます。
(詳細は後述でも記載しています)

「リードタイム」の種類について


上記で記載した通り、スタートとゴールの設定によって期間の定義が変わる「リードタイム」ですが、その種類は主に以下の4つが存在します。

◆「開発リードタイム」
◆「調達リードタイム」
◆「生産リードタイム」
◆「配達リードタイム」

それぞれの意味を、もう少し補足していきましょう。

「開発リードタイム」とは?

これは、“商品の企画~完成までのすべての工程”を意味しています。

これを短縮することができれば、トレンド商品をいち早く世に出すことが可能となります。

また、開発者の熱が冷めないうちに、セールスプロモーションをかけることもできます。

「調達リードタイム」とは?

これは、“材料の仕入れ~納入までの期間”を表しています。

調達の時間を短縮するということは、=“全体の工程をより短縮することができる”ということです。

逆にこの調達時間が長引いてしまえば、全体の工程に遅れが生じる可能性があるのです。

他の工程に影響を及ぼす、重要なものと認識しておきましょう。

「生産リードタイム」とは?

これは、“工場での制作がスタートしてから、予定数の生産が完了するまでの期間”のことを指しています。

状況によりけりではありますが、場合によって“調達を行っている時間”も生産リードタイムに含まれる場合があります。

「配達リードタイム」とは?

最後は、“完成した商品の、発送~配達完了までの期間”のことです。

主にECサイトなどで顧客側に知らせる配送期間は、これであることがほとんどです。

なぜ「リードタイム」という言葉が広く使われることとなったのか?

この「リードタイム」という言葉は、近年特に重要視されるようになりました。

その理由は、大きく2つあります。

一つは、「ネット通販が幅広く利用されるようになったため」です。

「当日配送サービス」も当たり前となった昨今、それに準じた納期を厳守するために「リードタイム」という考えが欠かせないものとなったのです。

加えて、数年前から蔓延している「新型コロナウイルス」の影響で、配送サービスはさらにその重要性が増しています。

物流業界は、上記の関係上“配送時間の短縮化”が非常に重要視されることとなりました。

そしてもう一つは、「ネットスーパーや食品を扱うECサイトのように、生鮮食品の配達を行うサービスが増加したこと」です。

こちらも、早く顧客のもとに商品を配送しなければいけない=配達リードタイムの短縮が重要視されることとなったのです。

ちなみに、上記が影響してくるのは「配達リードタイム」だけではありません。

配送時間を短縮するには、大本の商品を製造するリードタイムを厳守しなければ成り立ちません。

だからこそ、業界全体で「リードタイム」が重要視されるようになったのです。

「リードタイム」を短縮するメリットとは?

一般的に、リードタイムは短い方が望ましいと言われています。

そのメリットは、以下が挙げられるでしょうか。

◆顧客対応のスピード向上
◆過剰在庫の減少
◆在庫管理コストの削減 など

どんな商売でも同じことが言えますが、より多くの注文を短時間で処理できた方が、より多くの利益を上げやすくなります

特に、通販サイトはその種類も多く、他社との差別化を図るために商品価格を極端に安くしているところも見受けられます。

そうなると、(他社よりも)より多くの商品を販売しなければ、十分な利益を生み出すことができないのです。

もちろんこの考え方は、“物流業界”だけでなく“生産業界”においても同じようなことが言えます。

特に生産業の場合、“商品を在庫としてストックしておく期間が短くなる=鮮度が落ちるのを防ぐことができる”というメリットにもつながります。

できるだけ早く顧客に商品を届けることで、顧客に喜んでもらうことはもちろん、物流業・生産業の業者にとっても、より多くの収益を得ることができるという大きなメリットが存在するのです。

「リードタイム」を短縮する上でのデメリットとは?

リードタイムの短縮=“顧客満足度の向上”“収益の増加”が見込めることは上記でご紹介した通りです。

ただしリードタイムの短縮は、必ずしもメリットだけとは限りません。

なぜなら、「工程のどこかに”負荷”がかかる」恐れがあるからです。

一般の人にもイメージしやすいもので例えると、「配送」が挙げられるでしょう。

昨今は「当日配達は当たり前」となっていますが、それは“配送員に負荷がかかっている”ということになります。

スピーディな配達はもちろん、再配達などの数も増えており、配送員の業務負担は問題視されてきているのが実情です。

もちろん、負荷がかかるのは配送業だけではありません。

生産業も、リードタイムの短縮により“生産期間の短縮”という負荷を追う可能性が高まるのです。

工程のどこかに負荷がかかるため、ただ端に「リードタイムを短縮することが、必ずしも利益につながる」という訳ではありません。

下手をすると、業務は早くなってもコストが余計にかさんでしまうこともあり得ます。

負荷が大きくなりすぎて、従業員が退職してしまい、人手不足に陥ってしまう可能性もあります。

そうなれば結果として「収益を向上させるつもりが、結局はあまり変わらないもしくは収益が下がってしまった」ということにもなりかねないのです。

この点には、要注意しておいた方がいいかと思われます。

混同しやすい言葉には注意しよう!

最後に、「リードタイム」とよく似ていて、混同しがちな言葉を3点ご紹介しておきたいと思います。

その3つとは、以下の通りです。

1.「納期」
2.「タクトタイム」
3.「サイクルタイム」

それぞれどういった違いがあるのか、意味をご紹介していきます。

「納期」

これは上項でも簡単にお伝えした内容であり、“リードタイム=納期”と勘違いしている人もいますが、厳密には定義が異なります。

◆リードタイム:「期間」
◆納期    :「完了する期限」

リードタイムは「〇日間」という表現を使います。

例えば、配送を依頼した際に「注文から〇日程度でお届けします」と記載されていたとします。

これが、リードタイムであり、あくまで記載しているのは“目安の期間”なのです。

対して納期の場合は、「〇月〇日にお届けします」と記載されています。

つまり、“決められた(確定している)日にちに、確実に届けなければならない”となるのです。

言い方を変えれば、“納期=締め切り”のようなものだと考えてみてください。

そうすれば、この2つの違いにも納得がいくはずです。

「タクトタイム」

これは、「一定時間内に必要量の生産を実現するための速度」という意味です。

例えば、作業員が一つの物や作業を行うとします。

この時、「その作業員がどれくらいの速さで作業を行えるか?」の目安となる時間のことを指しているのです。

要するに、「作業を完了させるまでの具体的な時間」を表しているということです。

このタクトタイムを知ることによって、1つの製品を作るのに必要な時間・一定時間内にどのくらいの量を生産できるのかが明確になり、市場に必要個数を提供するための時間が分かりやすくなるのです。

「サイクルタイム」

上記「タクトタイム」と近藤されやすのが、この「サイクルタイム」です。

これは、“1つの製品を作るのに必要な1作業サイクルあたりの時間”のことを指しています。

この2つの最大の違いは、“何を基準にしているか?”という点にあります。

◆「タクトタイム」 :顧客や市場のニーズを基準としている
◆「サイクルタイム」:生産を中心に算出されている

ただし、基準こそ違うものの、両者の時間は一致していることが理想的とされています。

なぜなら、需要と供給は一致してこそ成り立つからです。

「サイクルタイム」が「タクトタイム」よりも長いと、その製品は欠品を起こしてしまいます。

逆に、「サイクルタイム」が「タクトタイム」よりも短いと、過剰在庫が出てしまうのです。

両者は、意味合いこそ違うものの、密接な関係を持っているため、その違いはしっかりと把握しておくといいでしょう。

まとめ

以上が、「リードタイム」についてのご紹介となります。

「リードタイム」とは“期間”を表しています。

類義語でいうと、「所有期間」「調達機関」などです。

混同しがちな言葉も存在するため、それぞれの意味をしっかりと把握しておくようにしましょう。

また、近年は“リードタイムの短縮”を目標としている企業が数多く存在します。

確かに、リードタイムの短縮は“顧客満足度の向上”“収益の増加”などのメリットがあります。

しかし、その分“どこかに負荷がかかる”ことも事実なのです。

メリット・デメリットをしっかりと把握した上で、できる範囲のリードタイム短縮を行えるようになるといいかと思います。

そうしないと、返って収益が減少してしまう可能性も否定はできません。

利益だけを追求するのではなく、現場で働く人たちの声も聞きつつ、より良い環境づくりができるようになればと思います。

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