「移動式クレーン」ってなに？定義や種類、必要な資格などについて解説します！

クレーンにはさまざまな種類が存在します。

その一つとして「移動式クレーン車」があり、これは建設現場や倉庫などで幅広く活躍しています。

この「移動式クレーン」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか？

そして、利用するためにはどんな資格が必要となるのでしょうか？

今回は、この「移動式クレーン」について、詳しくご紹介をしていきたいと思います。

「移動式クレーン」ってなに？

概要

まず「クレーン」とは、“動力をもって荷を吊り上げ運搬する機械装置”のことをいいます。

そして「移動式クレーン」は、その名の通り“クレーンの機能を備え、不特定の場所へ移動して作業することができる構造のもの”を指しています。

「移動式クレーン」は法令上の定義区分であり、他には「クレーン」「デリック」「揚貨装置」などがあります。

クレーンの「定義」について

定置されたものやレール上などの限られた範囲を移動するタイプの総称を「クレーン」といいます。

ただし、以下3つの要件に満たないものは、法令上は「クレーン」とは認められません。

人力で荷を吊り上げても「クレーン」とは認められませんが、動力を使って荷を吊り上げた後に人力で水平に運搬する場合は「クレーン」として認められることとなります。

また、①②を満たしていたとしても、吊り上げ荷重が「0.5t未満」の場合は、クレーンに該当しません。

移動式クレーンの「定義」について

上記で記載した定義に、「不特定の場所に移動できる」という要件が加わったものを「移動式クレーン」と定義します。

例えば「クローラクレーン」は、ケーブルの長さの範囲しか移動することはできませんが、“任意で走行する機能がある”ため移動式クレーンに含まれます。

また、自力航行できない船舶や台船を含む船舶上に搭載されたクレーンや、鉄道軌道(＝線路)を走行して移動できるものも移動式クレーンに分類されます。

ただし、「門型クレーン」のような“一定のレール上だけを移動するもの”は、移動式クレーンには含まれません。

移動式クレーンの種類について

「移動式クレーン」と一言でいっても、その種類は以下のようにさまざまな種類が存在します。

この中でも、特に一般の人が目にする機会が多いのは「トラッククレーン」と「ホイールクレーン」ではないでしょうか。

その理由は、「公道(一般道路)で走っている姿を見ることがあるから」です。

ちなみに、トラッククレーンは他にも、「車両積載形トラッククレーン」や「レッカー形トラッククレーン」などが存在します。

またホイールクレーンは、他にも「ラフテールクレーン」などが存在します。

これらの特徴については、以前の記事にてご紹介しておりますので、以下の記事を参考にしていただければと思います。

必要な免許ってなに？

まず、移動式クレーン車を運転するためには、“吊り上げ荷重に応じて必要な免許が定められている”こととなります。

その内容は、以下の通りです。

ただし上記資格だけでは、移動式クレーンの作業に完全に従事することはできず、以下2つの資格も必要不可欠なものとなってきます。

一つは、「玉掛け技能講習」です。

クレーンの先には「フック」が付いており、ここに荷物を引っかけて吊り上げたり・吊り下げたり・移動させたりといったことを行います。

このフックに、荷物の掛け外しをするために必要な資格が「玉掛け」なのです。

そしてもう一つは「運転免許」です。

移動式クレーンの資格は、あくまで私有地で作業する場合に必要なものであり、公道(一般道路)を走行するための資格ではありません。

そのため、一般道路を走る場合は、別途運転免許が必要となります。

ちなみに、移動式クレーンの車両部分の大きさに応じて、「普通自動車」「準中型自動車」「中型自動車」「大型自動車」「大型特殊自動車」など、必要な運転免許は異なる異なることとなります。

また、一般道路を運転するためには、車両事態に“ナンバーの取得”も必要となります。

移動式クレーン運転士の給料はどのくらいなの？

まず、クレーン運転士の平均給与は、以下のように発表されています。

平均年収でいくと「400万円～500万円」ほどです。

ここに、賞与や各種手当が付く場合があるため、人によってはさらに収入を伸ばすことができるかもしれません。

ちなみに、移動式クレーン車に限定した資料というのはないのですが、一般的なクレーン運転士よりも、移動式クレーンの方が給与は若干高めに設定されることが多いそうです。

ただし、給与額というのは勤務する企業や地域によって変動することとなるので、あくまで参考程度にとどめておいていただければと思います。

もし「クレーン運転士」もしくは「移動式クレーン運転士」に就職・転職したいと考えている人がいれば、求人情報の給与や福利厚生の項目をしっかり確認しておくことをオススメいたします。

仕事の需要・将来性について

結論から言うと、移動式クレーン運転士の需要及び将来性は、確実に存在します。

その理由の一つとなるのが、「専門職」であるという点です。

特に「移動式クレーン運転士」は国家資格であり、試験に合格しなければ取得することができません。

誰にでも扱える代物ではないので、資格を取得すれば長くその仕事に携わることができるようになるでしょう。

もう一つの理由は、「活躍の場が広い」ということです。

移動式クレーン車は、建設現場から港湾・倉庫など、幅広い場所で利用されています。

建設や物流業界を支える非常に重要かつ専門的な分野であることから、この仕事が早々になくなることはありません。

最後の理由は、「機械にすべてを取って代わられることはない」という点です。

現在はさまざまな点で自動化が進んでおり、運転でさえも「自動運転」の開発が進められている時代です。

しかし、“重量物を扱う”という点で事故や怪我の恐れが発生することから、この業務を完全に自動化させることはできないのです。

一部“機械のサポートを受けて操縦する”ことはあっても、“完全に人の手を離れる”ということは、少なくとも直近では考えられません。

このことから、今後も需要がある仕事といえるでしょう。

まとめ

以上が、「移動式クレーン」についてのご紹介となります。

幅広い場所で活躍を見せているクレーンは、需要や将来性も抜群であり、建設や物流業界を支える非常にやりがいのある仕事であるといえます。

国家資格である「移動式クレーン免許」は難関資格ではありますが、取得すれば安定した収入にもつながることでしょう。

関心がある方はぜひ知見を広げて、移動式クレーン運転士への一歩を踏み出してみてください。

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