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「自動車検査員」ってなに?仕事内容やなり方、整備士との違いについて解説します!

この記事は約7分で読めます。

自動車が安全に走れることを定期的に検査する上で欠かせないのが、「車検場」です。

そして、そこで働く方たちのことを「整備士」とイメージする人は多いのではないでしょうか。

しかし、厳密には車検場で自動車の検査を行うために必要な資格は、整備士ではなく「自動車検査員」となります。

どのような仕事を行うのか。

どうすれば資格を取得できるのか。

そして、整備士とはどんな違いがあるのか。

今回は、こういった点について、詳しくご紹介をしていきたいと思います。

そもそも「車検場」とはどんな場所なのか?


まず、街中にある整備工場には「指定工場」「認証工場」の2種類があります。

自動車の分解・整備が行えることに違いはありませんが、大きく異なるのは「車検検査」が行われるかどうかにあります。

車検検査が行えるのは、「指定工場」の方で、陸運局まで車を持ち込まなくても良いのです。

一般的に、「車検場」とは“自動車を車検に出す際に利用する施設”のことを指しており、正式名称は、「指定整備工場」です。

また、「指定工場=民間車検場」とも言われています。

法令で義務付けられている「車検」はもちろん、車に不具合が発生した際の検査や修理なども行っていることから、常にこれらの作業ができる人が在籍していなくてはいけません。

尚、「車検」については別の記事で詳細をご紹介しておりますので、以下を参照ください。

「自動車検査員」とはなにか?

概要

この仕事は、指定整備工場で行われている業務の中で“検査”を担当する人のことを指しています。

「自動車検査員」という資格取得者にのみ車検検査が許されており、指定整備工場では配置が義務付けられています。

そのため、整備工場では需要の高い人材・資格といえます。

「みなし公務員」とも呼ばれている

自動車検査員は、「みなし公務員」とも呼ばれています。

なぜかというと、車検の合否を判断するのは、基本的に国が担っているからです。
(車検とは、国が定めた基準を満たしているかを点検・整備・検査するために存在するため)

そのため、本来であればこの仕事は公務員が行わなければいけません。

しかし、利便性や社会的な需要を考え、公務員でなくても資格を取得していれば車検の合否判定を行えるようになっているのです。

このことから「みなし公務員」という位置付けがされているのです。

仕事内容について

上述に記載の通り、主な業務は“自動車の検査”となりますが、他にもそれに関する業務なども行います。

仕事内容としては、以下5つが挙げられます。

◆「完成検査」
◆「検査業務の監督・指導」
◆「検査書類の作成・管理」
◆「検査設備の管理」
◆「最新情報の把握・反映」

自動車検査員の最大の役割は、「整備し終えた車が、検査基準をクリアし道路を走っても良い状態かどうかを判断すること」です。

そのための“正確な判断基準を覚えること”が、この仕事には求められることとなります。

ある程度実績を重ねた人は、他の作業員を監督・指導する立場になることもありますし、検査設備に故障が生じないよう検査設備の管理を行います。

検査結果を書類にまとめ自動車の保有者に確認してもらったり、検査結果についての説明や事故防止のための指導を行うこともあります。

また、検査内容は、法令の改正や国からの通達によってその基準が変更されることもあり、その最新情報を常に把握+検査に反映させていく必要もあるのです。

“検査”と一言で言い表しても、それに関する業務は数多く存在するのです。

どういう場所で活躍しているの?

主な活躍の場所は、「整備工場」です。

特に、「指定工場(民間車検場)」には1人以上の配置が義務付けられています。

自動車検査員の最大の特徴は「車検の完成検査を行える」という点にあるため、その特徴を最大限活かせる場所は指定工場といえます。

とはいえ、それ以外の整備工場でも活躍することはもちろん可能ですので、活躍の場は多岐に渡るといえるでしょう。

「整備士」との違いはなんなのか?


共に整備工場で勤務をしていることから仕事内容を混同している方もいるかもしれませんが、両者にははっきりとした違いがあります。

それは、「完成検査ができるかどうか」にあります。

例えば、車検。

整備士の主な仕事は“車の整備”であり、車検の合格に向けての点検・整備はできますが、車検検査を行うことはできません。

対して自動車検査員は、「整備された自動車に不備がないか」「国が定めた基準を満たしているか」などの最終的な判断を行う立場となるのです。

“整備”を行うか“検査”を行うか、この役割が明確に異なる部分となるのです。

ただし、一つ補足しておくべき点があります。

それは「自動車検査員の資格を取得するためには、整備士の資格を取得しなければいけない」ということです。

つまり「自動車検査員は整備士としての仕事も行うことができる」ということであり、多くの職場で業務を兼任しているという事実もあるのです。
(ただし、自分で整備した自動車を検査することは禁止されている)

整備士としての就職・転職を考えている方は、自動車検査員の資格も取得しておいた方がより就職に有利となります。

キャリアアップを目指すこともできますので、取得しておいて損のない資格といえることでしょう。

資格を取得するためには?

受験資格について


まず、この資格を取得するためには、「自動車整備士(1級or2級)」の資格が必須となります。

自動車整備士の資格を取得する方法は、「養成学校に通う」もしくは「整備士として一定期間以上の実務経験を積む」のどちらかを満たす必要があります。

「自動車整備士」については、別の記事で詳細を解説しておりますので、以下にリンクを貼っておきます。

そして、自動車整備振興会が実施する「自動車検査員教習」を受講し、修了試験に合格することで自動車検査員の資格を取得することができるのです。

上記教習に参加するために、2級以上の自動車整備士資格を保有していなくてはならないのです。

加えて、自動車整備士の資格とは別に、以下のような条件も満たさなくてはいけません。

◆教習開始日の前日までに整備主任者として1年以上の実務経験がある
◆直近の整備主任者研修を受講している
◆指定整備工場(または指定を受ける予定の工場)で勤務している、または勤務予定である

受験資格を満たしたうえでの資格取得までの流れは以下のようになります。

●簡単な基礎工作申込(教習開始の約2か月前)
 ↓
●自動車検査員教習(4日間)
 ↓
●修了試験(試問)実施
 ↓
●修了試験(試問)合格
 ↓
●自動車検査員教習修了証の交付(合格の約2か月後)

ただし、受験資格は地域によって若干異なる場合がありますし、開催時期などは地方・年度ごとに異なることとなりますので、受講を希望される方は地域の情報をご確認ください。

試験の内容や受験費用、合格率について

まず、教習の内容は、以下の2つに大別されます。

◆法令に関する内容(道路運送車両法などの基礎法令、整備関連法令、検査関連法令)
◆検査の実施に関する内容(検査用器具の取扱い、検査の実施方法など)

修了試験の出題形式は「選択式」であり、回答を選択するために計算を伴う問題もあります。

ただ、いずれの問題も教習内容に基づいて出題されることとなります。

そして受験費用ですが、教材費など込みで「約15,000円」ほどかかることが多いとされています。

ただし、教習を開催する地方によって費用が異なりますので、詳細は受講を希望する地方の情報をご確認ください。

最後に合格率ですが、これは公式な発表というのはされていませんが、「50%程度」といわれています。

こちらも、受講する地域や法令変更の時期などによって出題難易度が異なる場合があります。

いずれにせよ誰にでも簡単に取得できるものではないので、講習で受けた内容をしっかり勉強して試験に臨むようにしましょう。

まとめ

この仕事は、国が行う自動車検査の一部を代行するという重要な役割を担っています。

近年は若者の車離れの傾向がありますが、特に地方での生活にはまだまだ車は必須のものであり、社会的ニーズの大きさから定期的な求人が期待できます。

就職・転職に有利になることはもちろん、キャリアアップを目指すうえでも重要な資格となるため、関心がある方はぜひ資格取得に向けてその一歩を踏み出してみてください。

ただし、試験の難易度はもちろん、受験資格を得るにも一定の労力が必要となります。

誰にでも簡単に取得できるものではありませんので、この点には十分注意し、しっかりと事前情報を集めてから行動に移すようにしてください。

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