「ユニック車」という車のことはご存じでしょうか。
「聞いたことがある!」「知っている!」という方もいらっしゃるかとは思いますが、詳細はあいまいなこともあるかもしれません。
加えて、よく耳にするであろう「クレーン車」との違いも、明確に答えられる人は少ないかとも思います。
今回は、この点について、その特徴や種類を詳しくご紹介していきたいと思います。
「ユニック車」とはなにか?
はじめに
これは一般的に、“クレーンがついた車両”のことを指しています。
つまり、「トラッククレーンの一種」ということになるのです。
車両に取り付けられたクレーンを使って荷物を移動させたり、重量物を荷台に積んで運搬することができます。
加えて、「ブーム」と呼ばれる竿部分の長さを、用途に合わせて調整することができます。
最大4段まで伸びるタイプが基本ではありますが、場所によっては5段~6段が選ばれることもあります。
このように、用途に合わせて「ブーム」の長さを調整できるのも特徴の一つかと思います。
「2大メーカー」について
製造・販売しているメーカーでもっとも有名なのは、「古河ユニック株式会社」および「株式会社タダノ」です。
実は、“ユニック”という名は正式な形状名ではなく、「古河ユニック株式会社の登録商標」なのです。
これが世の中に広く浸透した結果、他メーカーでもこう呼ばれるようになったのです。
「クレーン車」との違いは?
上記でもご紹介した通り、”ユニック”とは正式名称ではなく、「古河ユニック株式会社の登録商標」です。
そして、“トラッククレーンの一種がユニック車”ということでもあります。
このことから、両者には明確な違いというものはほとんどなく、あくまで「呼び方が違うだけ」といってもいいかと思います。
あえていうのであれば、ユニック車が“通称”であるのに対し、クレーン車は“より正式名称に近い”という点が挙げられるでしょうか……?
「呼び方が違うだけで、意味合いにほとんど違いはない」、両者の認識はこれで問題はないかと思います。
「種類」について
はじめに
これは、“クレーンの伸び”だけでなく、“クレーンの場所”によっても違いがあり、以下3種類に分別できます。
②「ハイアウトリガー型」
③「荷台内架装型」
それぞれの特徴について、以下で捕捉を加えていきましょう。
「キャブバック型」とは?
これは、「運転席と荷台の間にクレーンがあるタイプ」のことです。
もっとも一般的なタイプで広く出回っており、建設現場での活躍はもちろん、レッカーにも使用できるのが特徴となります。
(JAFのロードサービスにも使用されている)
「クレーン付き」とも呼ばれており、基本的にはクレーンが“前”についています。
(例外的に後ろについているタイプも存在する)
「ハイアウトリガー型」とは?
これは、「アウトリガー」で車体を持ち上げ、支えながら作業できるというものです。
「アウトリガー」とは、一般的には車体前側の両側面に搭載されている装置で、作業時に張り出して地面に接地することで、トラックの転倒を防止する役割があります。
車両や重機のような“重量物の運搬作業”では、重心が取れずに不安定になったり、タイヤがパンクしたりする恐れがあります。
それを防ぎ、安定した状態で作業できるのが特徴となるのです。
この「アウトリガー」には、以下3つに種類が存在します。
◆「差し違いアウトリガー」
◆「ハイアウトリガー」
それぞれの用途に応じて、車体の装備を選ぶことがポイントとなります。
「荷台内架装型」とは?
これは、“荷台部分にクレーンが付いているもの”のことをいいます。
上記2種と比べ車両がコンパクトであることが特徴です。
操縦にはどんな資格がいるの?
「トラック」+「クレーン」を操作するということから、操縦にはいくつかの資格が必要となります。
端的にまとめると、「クレーンの操縦だけを行う」のか、「公道(一般道路)で走らせる」のかによって変わることとなります。
以下で、それぞれに必要な資格をご紹介していきたいと思います。
「クレーンの操縦に必要な資格・免許」について
建設現場などの「現場でのみユニック車を扱う」という場合であっても、操縦するためには資格が必要となります。
その理由は、「事故を防ぐため」です。
「クレーンを扱う=人の力では移動できない重さ・大きさの荷物を扱う」こととなります。
それは、操縦の仕方(扱い方)を理解していないと、事故の原因となってしまうのです。
だからこそ、ユニック車で吊り上げる荷物の重さによって、必要となる資格や条件が異なるのです。
まとめると、以下のようになります。
◆吊り上げる荷物が1t以上5t未満:「小型移動式クレーン技能講習」を修了する
◆吊り上げる荷物が1t以上 :「玉掛け技能講習」を修了する
◆吊り上げる荷物が5t以上 :「移動式クレーン運転士免許」を取得する
対応する資格・免許を所持していないと、クレーンの操縦を行うことはできません。
この点には十分注意しておきましょう。
ちなみに、「移動式クレーン運転士免許」については、以前に別の記事で詳細をご紹介しておりますので、以下にリンクを貼っておきたいと思います。
「公道(一般道路)で走らせるために必要な免許」について
どんな車であっても、公道(一般道路)を走らせるためには「運転免許」が必須となります。
そして、公道で走らせるために必要な免許は、“車両のサイズ”によって「普通自動車免許」「中型自動車免許」「大型自動車免許」に分けられます。
ユニック車そのものを扱えるようになるには、原則として「クレーンの操縦」+「公道を走る」ための資格・免許が必要となると考えておいてください。
「選び方」について
企業の中には「これから購入を検討している」というところもあるかもしれません。
ユニック車選びをする際に重要となるのは、後述する3種類です。
この項目にて、簡単にそれぞれの特徴をご紹介しておきたいと思います。
「重さ」
ユニック車の重さには、以下の2種類が存在します。
◆「吊り下げ重量」
基本的に、上記の重量は「吊り下げ重量<車両総重量」という関係になっていなければいけないのです。
当然です。
車両総重量よりも吊り下げ重量の方が重くなれば、車体は不安定となり、事故の原因となってしまいかねません。
だからこそ、「重量のある荷物を吊り下げるならば、より車両重量も必要となる」ということにつながるのです。
この点をしっかり把握したうえで、車両を選ぶようにしましょう。
「装備」
搭載されている「装備」および「機能」は、以下の3つとなります。
②「ラジコン」
③「フックの収納」
②に関しては、すでに装備されている車両がほとんどなので、それほど気にしなくてもいいかと思います。
大切なのは①と③です。
①は、車両によっては装備されていないものもあります。
しかし、重量のあるものを吊るすためには(安全面を考慮して)必要不可欠な装備なので、しっかりと確認をとることをオススメします。
③も、収納できるタイプとできないタイプが存在します。
当然ながら、“フックを収納できるタイプ”の方が、公道(一般道路)を安全に走ることができます。
ユニック車で公道(一般道路)を走る予定がある場合は、収納ありを選ぶことをオススメします。
「ブーム段階」
冒頭でもお伝えした通り、“クレーン部分の長さ”は、“ブームの段数”によって決まることとなり、その種類は複数あります。
ブーム段数が長ければ長いほど作業できる範囲は広がるものの、荷物を吊り上げられる高さにも影響を及ぼしてしまうため、闇雲に“長ければ良い”というわけでもないのです。
また、“段数が増える=車体価格も上がる”ということでもあるため、この点にも注意が必要かと思います。
大切なのは、「どういった場面でユニック車を使用したいのか?」です。
この点を明確にした上で、どんなユニック車を購入するかを検討してみてください。
まとめ
ユニック車=「トラックにクレーンがついているもの」という程度の認識の人もいらっしゃるかもしれません。
しかし、調べていくと非常に奥が深い乗り物であることが、ご理解いただけたかと思います。
それぞれで特徴が異なるため、違いをしっかりと把握して、自社にとって使いやすいものを選ぶようにしてください。