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何が違うの?「タクトタイム」と「サイクルタイム」の意味・違い・関係性について解説!

この記事は約5分で読めます。

製造業の現場の必須ワードとして、以下3つの言葉が存在します。

◆「タクトタイム」
◆「サイクルタイム」
◆「リードタイム」

※「リードタイム」については、以前に別の記事で詳細をお話しておりますので、以下を参照ください※

これらは、“生産性の向上”および“能率の改善”において非常に重要な意味合いを持っています。

ただ、知っているようで深くは知らないこれらの要素。

今回は、この「タクトタイム」「サイクルタイム」の意味・違い・関係性について、詳しくご紹介をしていきたいと思います。

「タクトタイム」とは?


別名、「ピッチタイム」とも呼ばれるこの言葉の意味は、“1つの製品の製造にかける時間”のことを指しています。

「タクトタイム=Takt Time」であり、この「タクト(Takt)」は、“指揮者の指揮棒”のことを指しています。

要するに、「指揮者がタクトを使って全体を指揮するように、生産工程において全体のタイミングを計る(均等なタイミングを図る)」ということに由来している用語となるのです。

これの計算方法は、以下の通りです。

「タクトタイム=稼働時間/必要生産数」

この時の計算方法として注意しておくべきことは、あくまで“期間内の稼働時間で割る”ということです。

例えば、工場の稼働が9:00~18:00だったとして、必ずしもそのすべてが実稼働時間になるとは限りません。

従業員の休憩時間もあるでしょうし、別の製品のためにその作業(稼働)を中断する時間もあるはずです。

それらを差し引いた“実稼働時間”で割ることによって、「1時間あたりいくつの製品を作る必要があるのか?」を把握することができるようになるのです。

そして、上記をもとに、1つの製品を制作するために、どれだけの時間を費やすことができるかが分かる……ということなのです。

「サイクルタイム」とは?


対して「サイクルタイム」とは、“1つの製品の、工程開始~完了までの1サイクルに対して、実際にかかる時間”のことを指しています。

「サイクルタイム=Cycle Time」であり、「サイクル(Cycle)」の意味は、「周期」です。

文字通り“1周期にかかる時間”のことであり、「1つの作業が完了してから、次の作業が完了するまでの作業サイクル時間」のことを言うのです。

こちらの計算方法は、以下の通りです。

「サイクルタイム=稼働時間/実際の生産数」

ちなみに、タクトタイムに収まらない工程のことを「ボトルネック」と言います。

「ボトルネック=全体の能力や成果に影響する問題となる要因のこと」であり、要するに“進行を妨げる要因(物事・人・障害)”などを指しています。

ボトルネックを解消すること。

そして、サイクルタイムをタクトタイムに近づけること。

これが、作業の効率化を行う上で重要な要素となるのです。

「タクトタイム」と「サイクルタイム」の違いはなんなのか?

「タクトタイム」「サイクルタイム」は、非常に混同されやすい言葉ですが、言葉が違う通り意味合いが異なります。

両者を比較すると、以下のようになります。

◆「タクトタイム」 :稼働時間を“顧客や市場の必要数”で割ったもの
◆「サイクルタイム」:稼働時間を“生産する個数”で割ったもの

要するに、“何を中心に考えられているか?”が異なるのです。

●「タクトタイム」 =顧客の注文や市場のニーズを中心に考えたもの
●「サイクルタイム」=「いくつ生産するか?」という生産を中心に考えたもの

このことから、両者は非常に深い関係性を持っており、生産性を向上するうえでは“両者が一致していること”が理想的となるのです。

その関係性について、後述で詳しくご紹介していきましょう。

両者の”関係性”について

両者の違いが明確になったところで、今度はその関係性についてお話をしていきましょう。
(以下、「タクトタイム=TT」「サイクルタイム=CT」と記述します)

「TT=CT」:両者が等しい場合

上記でもお伝えした通り、TTとCTは双方が同等であることが理想的とされています。

CT=実際に製造にかかる時間
TT=本来かけるべき時間

となるため、必要な期間に必要数を効率よく生産できている状態と言えるのです。

「TT>CT」:TTの方が長い場合

「TT>CT」ということは、「製造にかけるべき時間に対し、実際にかかる時間が短い状態」であるため、目標よりも”早く”もしくは”多く”生産することが可能となります。

「目標よりも早くor多く作れるなら、作業が捗るんじゃないの?」と考えるかもしれませんが、この時に注意しなければいけないのは「過剰在庫」となります。

要するに、「予定よりも作り過ぎてしまう」のです。

過剰在庫は利益率の低下につながってしまうため、特に作りすぎには注意が必要といえます。

「TT<CT」:TTの方が短い場合

今度は上記の逆です。

「TT<CT」ということは、「製造にかけるべき時間に対し、実際にかかる時間が長い状態」であるため、生産能力が目標に追いついていないこととなります。

それはすなわち“期日までに必要な製品数を生産できずに、欠品を招いてしまう”ことにつながるのです。

「需要」と「供給」は一致してこそ成り立つものである

当然のことですが、「需要」「供給」は一致してこそ意義があります。

「需要=サイクルタイム」であり、「供給=タクトタイム」です。

“需要>供給”となれば、当然生産が追い付かずに欠品が出てしまいます。

逆に“需要<供給"となれば、過剰在庫を抱えてしまい、利益率が低下してしまいます。

だからこそ、「需要=供給」であることが望ましいのです。

その他の用語について

ここまでにご紹介したもの以外に、あと2つ「~タイム」として利用される用語があります。

それが、以下です。

◆「リードタイム」
◆「スタンダードタイム」

それぞれ、補足を加えておきたいと思います。

「リードタイム」とは?

以前の記事でもご紹介した通りですが、これは、「生産・流通・開発などの現場で工程に着手してから全ての工程が完成するまでの所要時間」のことを指しています。

“オーダーを受注→作業を開始・終了→オーダーの納入する”までの一連の期間のことを指しているため、「作業時間・待ち時間・検査時間・運搬時間など」がすべて含まれることとなります。

また、下記のように頭に「〇〇」とつけて、表現が分けられることもあります。

◆「製造(生産)リードタイム」
◆「設計リードタイム」
◆「受注リードタイム」
◆「調達(購買)リードタイム」

これを短縮すること(=納期を短くすること)は、停滞(在庫)を限りなく0に近づくことを追求し、収益力の向上につなげることができるのです。

「スタンダードタイム」とは?

「スタンダードタイム=標準時間」であり、「標準的な環境の下、標準の作業者が決められた方法と一定の速さで作業した場合の製品一個を完成させる時間」のことを指すこととなります。

この時間の構成は「作業標準時間」「準備標準時間」で構成されており、そこからさらに細分化されていくこととなります。

≪作業標準時間≫
↓↓↓
【正味作業時間】→「主体時間」「付随時間」
【余裕時間】→「作業余裕時間」「職場余裕時間」「個人余裕時間」「疲労余裕時間」

≪準備標準時間≫
↓↓↓
【準備正味時間】
【準備余裕時間】

言葉が違えば、当然意味合いも変わってきます。

それぞれの意味をしっかりと理解し、間違いのないよう(現場で)使い分けてみてください。

まとめ

1.タクトタイム
2.サイクルタイム
3.リードタイム
4.スタンダードタイム

語尾に同じ「タイム」と付く言葉ですが、それぞれに意味が異なります。

特に1.~3.は混同されやすいため、注意が必要です。

言葉の意味をしっかりと理解した上で、それぞれをどのように改善していくか?を考えていく必要があります。

まずは、それぞれの要素について、しっかりと理解を深めてみてください。

そして、その上で各要素を改善できるように動いてみることをオススメします。

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