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「危険物保安監督者」ってどんな仕事をするの?役割や選任が必要な施設について解説します!

この記事は約7分で読めます。

「危険物」とは、取り扱いを誤ると爆発や火災などを引き起こす危険性がある物質のことを指します。

多くの人がイメージしやすいものを挙げるなら、「ガソリン」「灯油」などです。

そして、これらを管理する資格および仕事に従事している人のことを「危険物取扱者」と言います。

この「危険物取扱者」に関しては、別の記事でいろいろとご紹介をさせていただきました。

この資格所持者は、一定の条件を満たすことで「危険物保安監督者」になることができます。

では、この危険物保安監督者になるための条件とはなんでしょうか?

また、その役割や選任が必要な施設は、どういったものが挙げられるのでしょうか?

今回は、こういった点に着目して、詳しくご紹介をしていきたいと思います。

「危険物保安監督者」とはなにか?

「役割」について


“監督”と明記されている通り、この仕事は“危険物の取り扱い作業において、保安の監督業務を行う者”のことを指しています。

危険物はその性質上、厳重な管理体制が敷かれています。

しかし、どれだけ厳重な管理体制のもとで管理をしていたとしても、絶対に事故が発生しないと断言することはできません。

例えば、保管設備の劣化や保管状況によっては、漏れたり発火したりする恐れもゼロではないのです。

そのような事態を引き起こさない様に、保管場所や取り扱う人を監督する……これが、危険物保安監督者の役割となります。

職に就くために必要な「条件」について

この職につくために必要な条件は、以下の2つが挙げられます。

1.「甲種」取得者で、実務経験が6ヶ月以上ある者
2.「乙種」取得者で、実務経験が6ヶ月以上ある者

ただし、「乙種」の場合は、免状を取得している類のみに限られることとなります。
(乙種のみ、さらに第1類~第6類に分類されることとなる)

例えば、「乙種第1類」の免状のみ持っている人は”乙1のみ”、「乙種第4類」の免状のみを持っている人は”乙4のみ”扱う危険物保安監督者になることができるのです。

ちなみに、危険物取扱者には「甲種」「乙種」のほかに「丙種」というものが存在しますが、丙種はどれだけ実務経験を積んでも保安監督者になることはできません。

選任しなかった場合、どうなるの?

後述で詳しくご紹介しますが、危険物保安監督者を選任しなければいけない施設は非常に多いです。

しかし、もし「必要な施設において、選任しなかった場合」はどうなるのでしょうか?

これは、“30万円以下の罰金”もしくは“拘留の罰則規定”があります。

そして、選任したあとは「消防署や自治体に届け出を出す」必要があります。

届け出を出さなかった場合、選任したことにはなりませんので、注意が必要なのです。
(解任を行う場合も、届け出を行う必要がある)

ちなみに、事業所に複数の危険物施設がある場合は、個々の施設ごとに選任が必要となります。

また、“選任”および“解任”は、製造所などの所有者が行うこととなります。

どんな仕事を行うの?

主な業務は、以下の4つとなります。

◆危険物を取り扱う作業者への指示をおこなう
◆補佐役の危険物施設保安員への指示をおこなう
◆災害が発生したときの応急措置と消防機関への連絡をおこなう
◆隣接する施設の関係者との連絡を保つ

ちなみに「危険物施設保安員」というのは、“危険物保安監督者の補佐を行う者”のことをいいます。

こちらの選任および解任も、製造所などの所有者が行うこととなります。

ただし、選任・解任を行っても、消防署や自治体に届けを出す必要はありません。

また「危険物施設保安員」は、“危険物取扱者の免状を持っていない人でもなることが可能”です。

危険物施設保安員の主な業務は以下となります。

◆危険物施設の定期点検および臨時点検をおこなう。
◆危険物施設の安全装置などの保安管理をおこなう。
◆災害が発生したときの応急措置をおこなう。

確かに無資格でもなることは可能ではありますが、危険物施設の「定期点検」「臨時点検」「安全装置などの保安管理」などを行う必要がありますし、事故が起こった際には的確な応急処置を行う必要があるため、危険物に関する確かな知識や技術が求められることとなります。

決して、誰にでもなれる立場ではないため、注意が必要といえます。

危険物保安監督者が常に必要な施設とは?


この立場の者が必ず必要となる施設は、以下が挙げられます。

1.製造所     :危険物を作っている場所のこと(化学工場など)
2.屋外タンク貯蔵所:屋外にあるタンクで危険物を貯蔵している場所のこと
3.給油取扱所   :ガソリンスタンドのこと
4.移送取扱所   :配管やポンプなどで危険物を輸送する施設のこと

これは、指定数量に関係なく、設置の義務があります。

各施設の意味は上記に記載した通りとなりますが、数点補足を加えておきます。

まず2.ですが、例えば会社自体が危険物を取り扱っていなかったとしても、外に大きな給油タンクなどがあれば、選任の義務が発生します。

また、雑居ビルの外にビル全体で使用する給油タンクなどがある場合は、その「ビルの所有者」が保安監督者を選任しなければいけません。

そして3.についてですが、上項にて「事業所に複数の危険物施設がある場合は、個々の施設ごとに選任が必要である」と記載した通り、ガソリンスタンド一か所ごとに、保安監督者が必要となります。

ガソリンスタンドは町中さまざまな場所に存在しますが、あの一か所一か所に、必ず保安監督者が設置されているのです。

もちろん、企業によっては複数の施設を所有している場合もあるかと思います。

その場合も、一つ一つの施設に保安監督者が求められることとなります。

「すぐ近くにあるから……」と兼任することはできませんので、注意が必要です。

危険物保安監督を必要としない施設について


指定数量に関わらず、常に危険物保安監督者を選任しなくてもいい施設は、「移動タンク貯蔵所」のみとなります。

「移動タンク貯蔵所=タンクローリー」のことです。

この理由は、「自動車には運転手が必要不可欠であり、安全な運搬は運転手に任せるしか術がないから」です。

仮に、いくら保安監督者がタンクローリーの安全をしっかりと確認したとしても、運転中に事故を起こしてしまえば大事故(大災害)につながる可能性があります。

だからこそ、危険物を運搬する運転手には、熟練した技術が求められることとなるのです。

ちなみに、“タンクローリーを運転する際に資格がいらない”ということではなく、あくまでも“その事業所に危険物保安監督者が必要ない”というだけです。

タンクローリーを運転する(危険物を運搬する)ためには「危険物取扱者」の資格は必須となります(乙4+けん引免許+大型免許が必要となる)。

責任重大な仕事であるため、運転には細心の注意が必要となります。

まとめ

以上が、「危険物保安監督者の役割」および「選任が必要な施設」についてのご紹介となります。

この仕事は、いってみれば「危険物を守る砦」のようなものです。

どんなに厳重に保管していても、どれだけ厳重な保管施設を作ったとしても、人が扱う以上はヒューマンエラーが起こり得る可能性がゼロにはなりません。

この仕事は、それを防ぐ役目も担っているのです。

また、一定の資格+実務経験が必要であることから、この仕事は誰にでも行えるものではありません。

ただし、言い方を変えれば、「この立場に従事することができれば、キャリアアップはもちろん、就職・転職にも有利になる」とも言えます。

危険物取扱者にはさまざまな資格があり、多くの人がキャリアアップを求めて、上位資格の取得を目指すこととなります。

そして、“危険物を取り扱う=事故と隣り合わせのリスキーな仕事である”という点から、AI技術に置き換わることも考えられず、長くこの仕事に従事することができるようになると考えられます。

加えて、危険物は人々の生活の中にも密着しているものでもあり、活躍できるフィールドはさまざまに存在します。

これらのことから、この立場にまで上り詰めることができれば、高い給与を得ながら長く仕事に携わることができるようになるのです。

関心がある方はぜひ条件を満たせるように、資格取得や実務経験を積んでみてください。

とはいえ、“監督する立場に立つ=責任も重大である”ということも忘れてはいけません。

決して楽な仕事ではありませんので、その点は肝に銘じて仕事に携わるようにしてください。

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