「ディーゼル車」という車種を耳にしたことはあるでしょうか。
「名前くらいは聞いたことがある」という人はいるかと思いますが、具体的な特徴やガソリン車との違いを明確に答えられる人もそう多くはないかもしれません。
今回は、この「ディーゼル車」について、詳しくご紹介をしていきたいと思います。
「ディーゼル車」ってなに?
この車は、1893年に「ルドルフ・クリスチアン・カール・ディーゼル」氏によって発明されました。
その最大の特徴は、燃料が「軽油」であるということです。
軽油の方が着火性が良く、ガソリン車に比べて燃料費が安いという特徴があります。
しかし、燃料の効率こそ良いものの、“大気汚染物質の排出”が問題となっており、一部の都市では走行に規制がかかってしまうこととなります。
ただ、現在は有害物質の排出量が少ない「クリーンディーゼル車」というものも開発されています。
これは環境保護を考慮して開発された車のことをいいます。
「ガソリン車」との違いについて
この2つの違いは、以下の通りです。
◆ディーゼル車:軽油
◆ガソリン車 :ガソリン
【燃費】
◆ディーゼル車:燃費〇
◆ガソリン車 :燃費△
【走行性能(トルク)】
◆ディーゼル車:低速でも強いパワー
◆ガソリン車 :高速走行時の加速が安定
【車体価格】
◆ディーゼル車:高い
◆ガソリン車 :ディーゼル車より安い
【着火方式】
◆ディーゼル車:圧縮熱で自然着火
◆ガソリン車 :スパークプラグで着火
【エンジン】
◆ディーゼル車:発火しやすい
◆ガソリン車 :発火しにくい
【維持費】
◆ディーゼル車:燃料費は安いが、メンテナンス費は高い
◆ガソリン車 :燃料費は高いが、メンテナンス費は安い
軽油とガソリンは、いずれも石油を熱したときに発生する蒸気から精製されますが、分離される温度が異なります。
◆「軽油」 :140度~380度の間
上記まで熱したときの蒸気から精製されることとなります。
要するに、「ガソリンは常温常圧でも燃えやすく、軽油は高温高圧の環境で燃焼する」ということです。
一般的には、ディーゼルエンジンの方が燃費性能は優れているといえます。
また、両者の違いとして「スパークフラグの有無」が挙げられます。
これは、ガソリンを燃焼させるために必要な部品であり、ディーゼル車にはスパークフラグはありません。
そもそも、この2つは燃焼方法が異なるのです。
●「ガソリンエンジン」 :空気と燃料をシリンダー内で圧縮し、スパークプラグの火花で着火させる
ちなみに、以前「ガソリンスタンド」の紹介記事でもご紹介しましたが、「ディーゼル車にガソリンを入れたり、ガソリン車に軽油を入れると、故障の原因となる」可能性が非常に高まります。
それはなぜかというと、「エンジンがそもそも異なる」「沸点が違う」からです。
そのため、本来ガソリンを利用するために作られたエンジンに軽油を入れてしまうと、燃えづらい燃料である軽油を完全に燃焼させることができないなどの問題が発生します。
その結果、「ノッキング」や「黒煙発生」を起こしてしまい、最悪の場合エンジン停止、エンジン故障につながってしまいます。
逆も然りです。
本来軽油を利用するために作られたエンジンにガソリンを入れてしまうと、軽油エンジン構造では、レギュラーガソリンは簡単に燃えすぎてしまうなどの問題が発生します。
その結果、ノッキングや白煙があがり、最悪の場合エンジン停止、エンジン故障になってしまうことがあるのです。
加えて、軽油を利用する車両では、軽油を燃料だけではなく燃料ポンプ・噴射ポンプなどのパーツに対しても利用されていることがあるため、場合によってはこういったエンジン構成パーツも交換しなければならなくなってしまう可能性があります。
だからこそ、燃料の入れ間違いには十分に注意しなければいけないのです。
メリットについて
ディーゼル車のメリットは、以下の2点が挙げられます。
2.加速性が良く、坂道でも力強く走行できる
それぞれ、順に補足を加えていきましょう。
メリット1.燃費が良く、燃料代が安い
上記でもお伝えした通り、ガソリン車に比べて燃費が良いのが、最大のメリットとなります。
1Lあたりの価格を比較すると、軽油の方が約20円~30円ほど安く売られていることが多く、燃料代を大幅に抑えることができます。
メリット2.加速性が良く、坂道でも力強く走行できる
加速や坂道発進がガソリン車より優れていることも特長に挙げられます。
また、トルク自体が大きい点も特長のひとつです。
“トルクに優れている=スムーズな加速ができる”ということです。
デメリットについて
メリットがあれば、デメリットもあるのが世の常です。
ディーゼル車のデメリットは、以下が挙げられます。
2.メンテナンス費用が高い
3.寒い地域において、燃料が凍る可能性がある
4.年式が古くなると自動車税が高くなる
5.減税制度の廃止・規制が強化される傾向にある
こちらも、順に補足を加えていきたいと思います。
デメリット1.車体価格が高い
上項でもお伝えした通り、車体価格が高くなる傾向にあります。
その理由は「高圧縮比に耐える強度と機密性が必要である=製造コストが多くかかる」からです。
もちろん車種にもよりますが、基本的にはガソリン車よりも数十万円は高いと考えておいた方がよいかと思います。
デメリット2.メンテナンス費用が高い
もっとも頻繁にメンテナンスをしなければいけない点は、「オイル交換」にあります。
これもメーカーやモデルによって差異はありますが、ガソリン車が「7,500km〜15,000km」でオイルを交換するのに対し、ディーゼル車は(特にエンジンに負担がかかる運転の場合)「5,000km程度」で交換するのが目安となるのです。
加えて、タンクの中の「アドブルー」も同じタイミングで交換しておくことをオススメします。
これが不足している際、車の使用中であれば急にエンジンが停止することはありませんが、一度エンジンを切ると再始動できない可能性が高まるからです。
デメリット3.寒い地域において、燃料が凍る可能性がある
上項でもご紹介した通り、軽油は「高温高圧の環境で燃焼する」こととなるため、低温な環境の中では流動性が低く、凍結する可能性があります。
そのため寒い時期・地域に長時間駐車する場合は、注意しなければいません。
寒冷地の給油スタンドで販売されている軽油は、“凍結を防ぐための添加剤”が入っていることがほとんどです。
そのため、地域にあった軽油を補給し、“凍結を防ぐ”ことを意識すると良いでしょう。
デメリット4.年式が古くなると自動車税が高くなる
ガソリン車よりも税の負担が増えるタイミングが早くなります。
ガソリン車の場合、新車登録後「13年」経つと税率が重くなるのですが、ディーゼル車の場合は新車登録後「11年」で自動車税が高くなるのです。
年式が古くなるほど、自動車税が高くなる時期が早くなるので、この点にも注意しておいた方が良いかと思います。
デメリット5.減税制度の廃止・規制が強化される傾向にある
上記でもご紹介した「クリーンディーゼル車」ですが、元々はエコカー減税の対象に含まれていました。
……が、経済産業省は「令和3年度税制改正(車体課税の延長・見直し)」にて、2023年度からエコカー減税の対象外となることを発表しているのです。
グリーン化特例からも除外されることとなっているので、今後は税制上のメリットがなくなっていくことが予想されます。
まとめ
ガソリン車よりも燃費が良く・力強く走れるという特長がある一方、車体価格やメンテナンス費用が高かったり、減税非対称となる恐れがあるといったデメリットも存在します。
ここまでにご紹介した通り、規制は今後も強化されていきますし、車の維持費の負担も増えていくかと思います。
そのため、今後も乗り続けたいという方は、デメリットの部分をしっかりと把握・理解した上で、今後どうしていくかを考えていかなくてはいけません。
場合によっては、自動車保険を見直しをすれば、維持費を抑えられる可能性もあるかもしれません。
今後の動向を確認しつつ、自分に合った車・方法を選択し、カーライフを楽しんでみてください。