自転車は、移動手段の一つとして重宝される乗り物です。
そして中には、小さなお子さんがいて片時も目を離せない方・保育園の送迎などで、自転車に「チャイルドシート」の取付けを検討される方もいらっしゃるかと思います。
チャイルドシートは、“子どもの命を守る”上で非常に重要なアイテムです。
今回は、このチャイルドシートの選び方について、詳しくご紹介していきたいと思います。
「チャイルドシート」とはなにか?
基本的に、ママチャリに装着することが多い「チャイルドシート」。
俗にいう「ママチャリ」については、別の記事にて詳細をご紹介させていただきました。
このチャイルドシートの利用および自転車に子どもを乗せるためには、いくつか注意しておかなくてはいけないことがあります。
この項目にて、その詳細をご紹介していきたいと思います。
自転車に子どもを乗せるために必要なこと
まず、自転車に子どもを乗せるためには、「チャイルドシート」と「ヘルメット」の着用が義務付けられています。
加えて、自転車を運転する人は「16歳以上」でなくてはいけません。
そして、チャイルドシートはどんな自転車にも取り付けることができる……というわけではありません。
チャイルドシートを取り付ける対象となる自転車が、「チャイルドシートの装備を前提とした設計であるか?」が大切なのです。
チャイルドシートが装着できる自転車には、「リアキャリア貼付けマーク」や「フレーム貼付けマーク」といったステッカーがフレームに貼られています。
スポーツバイクを含む一般の自転車は、あくまで大人一人が乗車する想定で作られており、チャイルドシートの装着には対応していません。
例えば、ロードバイクは「サイクリングを楽しむ」「スポーツ競技として利用する」ことが前提のスポーツバイクであり、タイヤは非常に細く・マシンの重量も非常に軽いです。
慣れない人ならば、一人で乗って運転していても不安定になりやすく、このような自転車にチャイルドシートを取り付けることは事故や大怪我の原因になりかねません。
チャイルドシートの積載が可能な自転車は、メーカーが独自でフレームの強度試験を行い安全性を確保しています。
もし規格外の自転車にチャイルドシートを装着し事故が起こった場合、メーカー保証の対象外となってしまいます。
そもそも、子どもに大怪我を負わせる自体につながりかねません。
そのため、チャイルドシートを装着したいと考えている人は、必ず子乗せを前提とした自転車を選択するようにしてください。
もし分からない場合は、自転車屋さんの店員に相談してみてください。
「前用(フロント用)」と「後ろ用(リア用)」の違いについて
チャイルドシートには、前用(フロント)と後ろ用(リア)の2種類があります。
基本的に、一般の自転車では6歳未満の子どもを1人乗せることができ、「幼児2人同乗用自転車」であれば6歳未満の子どもを2人乗せることができます。
ただし、前と後ろで基準は異なります。
「前用(フロント用)」の特徴
前用(フロント用)は、「1歳~4歳未満」での利用が可能であり、「身長100cm以下・体重15kg以下」が目安となります。
メリットは、「子どもに目が届くという安心感を得られる」という点です。
子どもは無邪気で突然思いもよらない行動を取ることもありますので、常に“子どもの状況を把握できる”というのは大きな利点となります。
ただし、「子どもが風を受けやすい(防寒・暴風対策が必要である)」「ハンドル部分が重くなり、運転中のバランスを崩しやすい」という注意点もあります。
前用(フロント用)をオススメできるのは、「子どもが小さくて後ろに乗せるのは不安……」という方かと思います。
「後ろ用(リア用)」の特徴
対して後ろ用(リア用)は、「1歳以上6歳未満」での利用が可能(推奨は2歳以上)であり、「身長115cm以下、体重22kg以下」が目安となっています。
後ろ用(リア用)の方が乗車できる対象範囲が広い傾向にあるため、前用(フロント用)よりも長く使用することができます。
また、運転者が風よけとなり、前用(フロント用)に比べて雨風の影響が少なくて済むというメリットもあります。
注意点は、「運転中は子どもの様子が見えない」という点です。
「子どもとしっかり会話ができる」「比較的安心できる年齢に成長する」といったタイミングで使用するのがオススメと言えるかもしれません。
チャイルドシートは自分で取付け可能なのか?
一部メーカーからはチャイルドシートが単品で販売されており、“使用している自転車が取付け可能な車種であれば”自分で取り付けることも可能です。
安全面を考慮すると、自転車専門店や販売店のプロに取り付けてもらった方が安心感はあるかと思いますが、「取り付け工賃を節約したい」という場合であれば、自分で取り付けてみるのも良いかと思います。
チャイルドシートの選び方のポイントとは?
チャイルドシートを選ぶ際のポイントとしては、以下が挙げられます。
②「シートベルトの形状は3点式か5点式か?」
③「ヘッドレストは付いているか?」
④「駐輪場に収納できるか?」
順に補足を加えていきます。
「日本製か海外製か?」
どちらを選択するのも自由ではありますが、どちらかというとオススメは「日本製」です。
最大の魅力は、国内メーカーならでは安心感でしょう。
SGマークを取得しているものも多く、安全性が非常に高いことがポイントとなります。
また、万が一製品の欠陥が原因で人身事故が起きた場合には、損害賠償もされます。
ちなみに、SGマークの”SG”とは、「Safe(セーフ)」「Goods(グッズ)」の頭文字であり、製品の材質・構造・使い方などが私たちの命や体に危害を与えないかどうかの認定基準を定めたものです。
「一般社団法人 製品安全協会」が決めた基準に適合している商品には、このマークがつけられています。
海外製の方は、日本製に比べデザインのバリエーションが豊富です。
ネット通販で購入しやすくもなっているため、お気に入りのデザインがあれば購入を検討してみるのも良いかと思います。
「シートベルトの形状は3点式か5点式か?」
シートベルトの主流は、ベルトを3本使う「3点式」と、5本使う「5点式」があります。
オススメなのは、5点式の方です。
肩と腰回りをしっかりホールドしてくれるので、段差などの衝撃が加わった際やお子さんが寝てしまったときにも安心できることでしょう。
また、ベルトのサイズ調整が細かくできるかもチェックポイントの一つとなります。
「ヘッドレストは付いているか?」
ヘッドレストというのは、イメージしやすいものでいうと「車のシートの上についている枕のようなパーツのこと」です。
ちなみに、「Head rest(休める)」ではなく、「Head restraint(拘束する)」という意味が正解となります。
結論をいうと、“ヘッドレストの必要性は高い”です。
できる限り……というより絶対にあった方が良いかと思います。
その理由は、主に3つあります。
◆重い”頭”を支えることができる
◆子どもにとって座り心地が良い
ヘッドレストの最大のメリットは、「頭の後方・側面を守ることができる」という点です。
確かに、ヘルメットの着用は必須ですが、ヘルメットだけですべての事故を防ぎきれるわけではありません。
万が一転んでしまった場合は、ヘッドレストがあることで直接頭が地面にぶつかることを防ぐことができるのです。
“ヘルメット×ヘッドレスト”で、より安全に走ることができるようになります。
また、走行中は思った以上に振動を受けます。
ヘッドレストがないと頭がグラグラと動いて、子どもは非常に疲れてしまいます。
子どもが寝ていても同様です。
ヘッドレストがないと、首が直角に折れてしまうため、頭や首に大きな負担がかかってしまうのです。
ヘッドレストがあれば、そこに頭を寄りかからせることができるので、子どもにとっても楽ですし、急な体重移動もないため運転している保護者にとっても安心できます。
デメリットは、「ヘッドレスト付は大きく、どうしてもチャイルドシートそのものが重くなってしまう」ということでしょうか。
値段も、ヘッドレスト付の方が高くはなります。
とはいえ、チャイルドシートに乗るのは大切な“子ども”であり、“命”です。
子どもを危険から守るためにも、極力ヘッドレスト付のものを選択するようにしてください。
「駐輪場に収納できるか?」
チャイルドシートを選ぶ際に気を取られがちなのは、「安全面」「機能面」「デザイン」などが挙げられます。
しかし、もう一つ注意しておきたいポイントがあります。
それが、「普段使う駐輪場に収まるサイズかどうか」です。
チャイルドシートは横幅そして高さがあるため、これまでは問題なかった駐輪場に「収まらなくなった」ということも意外と多いです。
特に立体駐輪場を多用する方は注意した方が良いかと思います。
迷ったときは自転車屋さんに相談しよう!
チャイルドシートの種類は非常に多く、値段もピンキリです。
インターネットでも購入することはできますが、自転車によって専用モデルがあったり・取付けできないモデルがあったりもするので、購入には慎重になった方が良いと思います。
「どのチャイルドシートを選べばいいか分からない……」という方は、自転車屋さんに赴き、店員に相談してみることをオススメします。
そして、チャイルドシートの取付けも、できる限り店員に行ってもらうことをオススメします。
その方が、“安心・安全”に利用でき、納得できるチャイルドシートに出会える可能性が高まるかと思います。
大切なお子さんの“命”を守るために必要なアイテムであり、一度購入すれば長く使用できるものでもあります。
大切な家族のためにも、妥協せず納得のいくものを選択してみてください。
まとめ
チャイルドシートは子供と一緒に自転車で移動する際に必須となるものですが、“移動手段”であると同時に“子どもの命を守る大切なアイテム”でもあります。
どんな自転車にでも装着できるわけではないため、必ず対応車種を選択して利用してください。
もし分からなければ、自転車さんの店員に相談してみましょう。
自転車を運転する人、そして乗せる子どもの“命”を守るためにも、納得のいくチャイルドシートを購入してみてください。