「ミニベロ」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
これは自転車の種類の一つであり、名前は知らなくても「見たことがある」「乗ったことがある」という人は多いかと思います。
端的に言ってしまうと“小型自転車”のことであり、その可愛らしいデザインから現在人気が集まっています。
一方、小型自転車というと「折りたたみ自転車」をイメージする方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この2つは、何が違うのでしょうか。
今回は、「ミニベロ」と「折り畳み自転車」の特徴・その違いについて、詳しくご紹介をしていきたいと思います。
「ミニベロ」とは?
概要
ミニベロというのは、“小口径車”、つまりタイヤサイズが小さい自転車のことを指しています。
厳密には、20インチ以下のサイズのものをいいます。
そもそも、「自転車」はフランス語で「VELO」といいます。
ここから“小さい自転車=ミニベロ”という名称が付いたのです。
お先に結論から言ってしまいますが、20インチ以下のものをミニベロというので、「20インチ以下の折りたたみ自転車」や「20インチ以下の電動アシスト自転車」も、すべて「ミニベロ」に該当します。
20インチ以下の電動アシスト自転車の場合は、「電動ミニベロ」と呼ばれることもあります。
また、ドロップハンドル(以下画像)をハンドルに装着した、走行性が高いミニベロも存在します。
このように、ミニベロと一言でいっても、実にさまざまな種類のミニベロが存在するのです。
ミニベロの魅力とは?
特徴的なデザイン
魅力の一つは、その可愛らしいデザインが挙げられます。
機能性を重視したママチャリ、走行性を重視したクロスバイク・ロードバイクと比べて、フレームやタイヤが小さく、可愛らしいデザインのモデルが多く販売されています。
デザインが非常に特徴的なので、ファッションとしてこの自転車を愛用している人も世界中にたくさんいるのです。
費用がリーズナブル
自転車の値段はピンからキリまで数多く、特に機能性を重視すれば価格はどんどん上昇していきます。
ロードバイクなどは限定モデルであれば100万円以上するような高価なものもあり、普段使いする電動アシスト自転車も10万円前後する高価な代物が多いです。
特に近年は、機能性だけでなく安全性をより重視しているため、自転車も高額なものが増えています。
対してミニベロの費用相場は「4万円前後」であることが多く、価格帯だけでみれば小口径車以外のものよりも比較的リーズナブルな金額で販売されています(高機能・高性能なモデルだと、他と同じく値は上がっていきます)。
男性向けのシックなデザインモデルのものから、女性向けのポップなデザインモデルのものまで、お手頃な値段で購入できるのもミニベロの魅力の一つといえるでしょう。
置き場所に困らない
“ミニベロ=20インチ以下の自転車”であることから、狭いスペースであっても停めやすく、置き場所に困ることはほとんどありません(駐輪禁止区域などの違法駐輪にはご注意ください)。
折りたたみ式のミニベロなら猶更コンパクトに折りたためるので、人によっては家の中に置いて防犯対策にも役立てることができるかと思います。
駐輪スペースのないマンションやアパートに住んでいる方も、利用しやすくなるでしょう。
また、コンパクトさの利点として、車にも積みやすいというのも挙げられます。
折りたたみ式であれば、ワゴンタイプでなくても後部座席やトランクに積むことができるので、楽に移動させることが可能です。
こういった点も、サイズの小さな小口径車ならでは魅力といえるのではないでしょうか。
小回りが利き、街乗りが得意!
自転車に乗っているときに一番力が必要となるのは、止まっている状態から動き出すときです。
ただし、タイヤの大きさによって漕ぎ出しに必要な力は変わり、大きいタイヤに比べて小さいタイヤの方がより小さな力で動き出すことができます。
ミニベロのタイヤは非常に小さいので、漕ぎ出しが非常に軽く・楽に走り出すことが可能です。
そのため、信号で止まることが多い街中の方が、ミニベロの特徴を活かしやすいといえるでしょう。
また、サイズが非常に小さい分、それだけ小回りも利きます。
車体自体が軽く方向転換がしやすいこと、そしてブレーキのかかりも良いことから、入り組んだ街中でこそミニベロの真価を発揮させやすくなります。
ちなみに、サドルとハンドルの高さを調整することで、幅広い身長の人が乗れる設計にもなっています。
子どもはもちろん、大人まで利用可能であるため、コンパクトながら非常に汎用性が高い乗り物といえます。
ミニベロのデメリットについて
スピードの持続が難しい
タイヤが大きいほど、一漕ぎで進める距離は長くなり、スピードも速くなります。
ミニベロはタイヤが小さいため、クルクルとペダルを回しても(大口径車に比べて)前に進みづらいと感じる場合があるかもしれません。
とはいえ、ちゃんとしたスポーツ自転車メーカーのミニベロであれば、ギア比の設定によってこの部分をフォローしてくれます。
ギア比さえきちんとセッティングしておけば、普段使いする分には不便と感じることは早々ないかと思います。
ただし、“持続性”には注意が必要です。
一般的に、小口径車と大口径車を比較した場合には、“トップスピードに至るまでの時間”と“トップスピードを維持するために必要になる体力”に差が出ます。
その理由は、単純に「タイヤが小さいから」です。
小さい方が転がり抵抗は大きくなり、慣性の力が小さくなってしまうのです。
そのため、足を止めるとあっという間にスピードは落ちていきます。
このことから、ミニベロがスピードを維持するには、ひたすら漕ぎ続けなければなりません。
長距離の運用にはあまり向かない乗り物といえるでしょう。
長い上り坂や段差には弱い
ミニベロは漕ぎ出しが軽く、ペダルを回すのに力が要らないので、軽い坂道であれば走りやすいです。
しかし、上記の通りひたすらに漕ぎ続けなければあっという間にスピードが落ちていくため、長い坂道であるほど体力を消耗し上るのに時間がかかります。
また、タイヤが小さいため、段差を乗り越えるのも苦手です。
段差にせき止められてしまうため、無理に超えようとするとバランスを崩して転倒する恐れもあります。
乗り心地があまり良くない
ミニベロは、そのサイズの関係上、路面からの振動をダイレクトに拾ってしまいます。
理由は、タイヤが小さいため、衝撃を受け止めるフロントフォークが短く振動吸収性が良くないからです。
ハンドルやサドルを通して振動が体に直接伝わるため、疲れやすく、長時間の運転にはあまり向かないかもしれません。
また、振動がダイレクトにハンドルに伝わるため、運転中にぶれが生じます。
少しのハンドル操作でタイヤが大きく動いてしまい、大口径車に比べて走行時に不安定になりやすいのです。
特に、スピードが出る下り坂は非常に危険で、転倒の恐れもありますのでご注意ください。
ミニベロの持ち味を活かせるシーンは?
どちらかというと、ミニベロの持ち味を活かせるシーンは、通勤・通学などの普段使いといえるでしょうか。
街中は、信号や人混みなどの関係でストップ&ゴーが多いため、漕ぎ出しの軽いミニベロは非常に扱いやすいです。
コンパクトなので、方向転換もしやすい+駐輪場のスペースも見つけやすく、普段使いには非常に重宝します。
また、前かごが付いているタイプや、取付け・取外しができるタイプのかごもありますので、買い物に利用することもできます。
荷台があるミニベロならば、意外と大きな荷物を運ぶことも可能です。
加えて、“ハンドルやサドルで高さ調整ができる=子どもから大人まで幅広く対応できる”ため、1台のミニベロを家族でシェアすることもできます。
コンパクトで車にも乗せやすいため、旅先に持っていってちょっとした移動手段として活用するのも良いでしょう。
このように、ミニベロを活用できるシーンは数多く存在します。
◆「電動アシスト付きで楽に運転したい」
◆「ドロップハンドルをつけて走行性を上げたい」
上記のような別の特徴を掛け合わせてより使い勝手を良くすることもできますので、うまく活用して日々の生活に役立ててみてください。
「折りたたみ自転車」とは?
概要
その名の通り、「折りたためる自転車」のことを指しています。
折りたたんでコンパクトにできるのが最大の特徴であり、それ以外は一般的な自転車とそう違いはありません。
ただし、折りたたみ自転車といってもその種類はさまざまです。
ミニベロにも折りたためるタイプが存在しますし、電動アシスト機能が付いたものやスポーツタイプもあります。
とはいえ、これは自転車としての種類であって、折りたたみ自転車としての違いは“折りたたみ方の違い”くらいしかありません。
折りたたみ自転車のメリットとは?
折りたたみ自転車の最大のメリットは、「折りたたんでコンパクトにできる」の一点に尽きます。
基本的には工具不要で簡単に折りたためるものが多く、例えば以下のような場合で重宝します。
◆家や納戸に収納する
◆宿泊先に持ち込む など
ただし、電車・タクシー・路線バスを利用する際は要注意です。
例えば、電車の場合は自転車を折りたたんで輪行袋に入れれば持ち込むことができますが、勤通学や帰宅時など電車の混雑時(=ラッシュ時)には自転車は持ち込めません。
また、一部の鉄道会社では、どんな状態であれ自転車の持ち込みそのものを禁止しているところもあります。
タクシーや路線バスを利用する場合も同様です。
特に路線バスは持ち込み自体を断られることが多いので、利用を考えている方は事前に確認をしておくことをオススメします。
どちらかというと、「家や納戸に収納する」ことの方が、折りたたみ自転車のメリットを最大限活かせるかと思います。
◆「自転車を雨風から完全に守りたい」
◆「自転車の盗難やいたずらを防ぎたい」
こういった場合に、折りたたみ自転車は重宝します。
折りたたみ自転車のデメリットとは?
“折りたためる”ことが最大のメリットですが、それを実現するために犠牲としていることもあります。
それが、「重量」と「価格」です。
まず重量ですが、折りたためるという性質上、「自転車(フレーム)の強度を高めておく」必要があります。
強度を高めるためのパーツと工夫が施されているため、同じような性能・装備・素材・価格の折りたためない自転車と比べると、こちらの方が重量が重たくなってしまうのです。
自転車というのは、重量が軽い方が走行抵抗が減り、ペダルが軽くなり軽快に走れます。
だから、スポーツバイクは軽量化を重視して設計されているのです。
さすがにそこまで重さを気にし過ぎる必要はありませんが、気になる方は重さにも注目してみてください。
次に価格ですが、“折りたたみ式”と“強度”を両立しなければいけないことから、高度な製造技術と精度の高いパーツ(正確に作られた部品)が求められることとなります。
そのため、似た性能の折りたためない自転車と比べると、価格は少し高くなります。
ちなみに、自転車の値段もピンからキリまであり、自転車によっては非常に安価で購入することもできます。
しかし、(どの自転車にも同じことが言えますが)あまり値段の安すぎるものは購入しない方が良いと考えます。
特に折りたたみ自転車は“強度”が大事になってくるのですが、“安い=パーツの質が良くない”ことがあり壊れやすくなるのです。
加えて、パーツの質が良くないと、ペダルを漕ぐ力が十分にタイヤに伝わりずらくなり、走行時の抵抗も大きく・ペダル重くなり軽快に走れなくもなります。
総じて扱いづらくなるため、あまりに安すぎる自転車は購入しないことをオススメいたします。
実際に自転車屋さんに行って、いろいろな自転車を比較・検討してみるのが良いかと思います。
「ペダル」にも要注意!
折りたたみ自転車には、ペダルも折りたためるタイプが多いです。
ペダルを折りたたむことによって、よりコンパクトにすることが目的となります。
これ自体はなんの問題もありませんし、折りたたみペダルはJIS規格に適合しているので、正しい漕ぎ方をすれば安全性にも問題はありません。
ただし、「ペダルの真ん中に足を乗せてペダルを漕ぐ」という、正しいペダルの漕ぎ方をしていないと、ペダルが折れる危険性があるため要注意です。
というのも、折りたためるペダルと折りたためないペダルは、“軸の長さ”が異なるのです。
ペダルの中心部には軸が通っているのですが、通常のペダルはほぼ端まで軸が通っています。
しかし、折りたたみペダルの方は、特性上半分くらいまでしか軸が通っていないのです。
そのため、ペダルの端(外側)に足を乗せて漕ぐと、軸が通っていない部分を足で押さえつけることになるため折れやすくなります。
「ペダルの真ん中に足を乗せてこぐ」
このことをきちんと守って、正しくペダルを漕いでみてください。
尚、ペダルは交換ができますので、気になる方は別のペダルを購入して付け替えてみるのも良いかもしれません。
まとめ
ミニベロは、20インチ以下の自転車のことを指しており、非常にさまざまな種類がある人気の自転車です。
どちらかというと、「街中であまり長くない距離をのんびり走るのに向いている自転車」であり、そのコンパクトさも相まって、日常的な面では収納や駐輪の快適性につながり、非日常的な側面では旅への楽しみへとつながっています。
小さいながらに多様な可能性を秘めているのがミニベロの良いところなので、自分の使い方に合ったものを選択して乗りこなしてみてください。
また、ミニベロの種類の中には、折りたたみ式のものも豊富に存在します。
注意点はあれど、よりコンパクトに利用することができるので、気になる方はいろいろな種類を比較・検討してみてください。