車を動かすために必要不可欠な「燃料」。
そして、この燃料には「レギュラー・ハイオク・軽油」の3つの種類が存在します。
普段から車を運転する人ならばご存じの方も多いと思いますが、レンタカーなどの慣れない車を運転する場合や免許を取り立ての方などからすると「それぞれの違いが分からない」「自分が運転している車はどの燃料を入れたらいいのか分からない」という方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、「レギュラー・ハイオク・軽油」のそれぞれの燃料の違いや見分け方、誤給油についてのリスクについて、詳しくご紹介をしていきたいと思います。
それぞれの特徴・違いについて
ガソリンと軽油では「沸点」が異なる
ほとんどのガソリンスタンドには、「レギュラーガソリン」「ハイオクガソリン」「軽油」の3種類が販売されています。
大きく分けると、「ガソリン」「軽油」の2種類となるでしょうか。
これらは“燃料”という点では同じ括りとなるのですが、それぞれ別の分類となります。
というのも、ガソリンと軽油はいずれも「石油」から作られているのですが、“蒸留時の採取温度”に違いがあるのです。
◆「軽油」 :140度~380度の間
端的にまとめると、「ガソリンは常温常圧でも燃えやすく、軽油は高温高圧の環境で燃焼する」ということになります。
例えば、ガソリンは火をつけたマッチを近づければ炎を上げて燃え上がりますが、軽油はガソリンのように燃えることはありません。
この理由は、ガソリンの方が“沸点が低い”からです。
対して軽油は、“火”ではなく“熱”を加えた場合、着火しやすいという性質を持ちます。
なぜかというと、軽油の方が“沸点が高い”からです。
そして、この2つにはもう一つ大きな違いあります。
それは、「ガソリンエンジン=出力」「ディーゼルエンジン=トルク」を発揮しやすいという点です。
一般的な乗用車の場合は、ガソリンエンジンが主流となっています。
しかし、ショベルカーやクレーンなどの重機やトラックの場合、“速さ”より“力強さ”が必要となるため、ディーゼルエンジンの方が主流となっているのです。
「レギュラー」と「ハイオク」の違いはなにか?
「レギュラー」と「ハイオク」は、どちらも「ガソリン」に分類されます。
この2つの違いはなんなのでしょうか?
それは、異常燃焼の起こりにくさを示す「オクタン価」の差があるという点にあります。
オクタン価というのは、“ガソリンの着火のしにくさを数値で表したもの”です。
上記でも記載した通り、ガソリンは非常に発火しやすい液体です。
そのため、取り扱いには十分な注意が必要となります。
もし仮にエンジン内部でガソリンが発火してしまうと、エンジンを損傷する原因になってしまいます。
そのため、ガソリンを精製する過程で添加物を混合し“発火しにくい状態”にして、オクタン価を高めているのです。
レギュラーよりもハイオクの方がオクタン価は高くなります。
ガソリンの異常燃焼を防いで、力強い走りをアシストしてくれるのです。
各燃料の違いをまとめると……
ここまでにご紹介した通り、車の燃料には主に3つの種類が存在します。
それぞれの特徴をまとめてみると、以下のようになります。
◆日本国内では最も一般的な燃料である
◆日本で「ガソリン」といえば一般にこれを指す
【ハイオク】
◆レギュラーと同じガソリンの一種
◆レギュラーと比べてオクタン価が高く、高いエネルギー力を持つ
◆主にスポーツカーなどの高排気量車や、輸入ガソリンエンジン車に使用される
◆レギュラーよりも「約10円~15円/L」高くなる
【軽油(ディーゼル)】
◆ガソリン同様に石油を原料にしており、より高い温度で蒸留した燃料である
◆効率よくエネルギー化するには高温高圧の環境が適している
◆レギュラーより価格が「約20円~30円/L」安くなる(税額が低いため)
価格は、軽油<レギュラー<ハイオクの順に高くなります。
「ハイオク=プレミアムガソリン」とも呼ばれており、値段が高くなる理由は“添加物の量や洗浄剤が入るから”です。
上記で記載した通り、ハイオクの方がオクタン価が高く、ノッキングしにくくなります。
※「ノッキング」:異常燃焼(シリンダー内で本来とは異なるタイミングで混合気が発火してしまうと、ピストンが想定外の動きをするためにエンジンに大きな負担がかかり、異音や振動を感じる現象)のことを指す※
そのため、ハイオクがもっとも値段が高くなってしまうのです。
誤給油のリスクについて
車の仕様にあった油種を入れることが大切である
ここまでで、燃料にはいくつかの種類があり、それぞれに特徴(違い)があることもご理解いただけたかと思います。
車のエンジンというのは、各燃料に合わせて製造されています。
そのため、それぞれに適した油種を給油することで、車の性能を最大限に引き出せることとなるのです。
例えばの話ですが、レギュラー仕様のエンジンにハイオクを入れたとしても、油種が変わっただけでガソリンの性能が大きく向上するわけではありません。
しかし、ハイオク仕様の車にレギュラーを入れた場合、エンジンの異常燃焼を引き起こす危険性が高まってしまいます。
また、軽油=ディーゼル車専用であり、軽油をレギュラーやハイオク仕様の車に給油してしまうと、故障の原因に繋がりかねません。
このことから、車の仕様に合わせて、正しい給油を行うことが大切となるのです。
もし「誤給油」をしてしまったら……?
近年はセルフのガソリンスタンドが増加しています。
※「ガソリンスタンド」については、以下記事を参照ください※
利用者にとってもガソリンの値段が安価になることから、セルフのガソリンスタンドを利用する人も増えています。
しかし、「セルフ=自身で給油作業を行う」ということであり、利用者の増加に伴い、“誤給油”や“ガソリンなどの吹きこぼれによる引火騒ぎ”などのトラブルが発生していることも事実です。
そのため、自身で給油を行う際には、手順をしっかりと理解・把握し、慎重に給油することが重要となります。
まず、「レギュラー」と「ハイオク」ですが、すぐにエンジンや車が故障してしまうことはありません。
しかし、仕様が異なるという点に変わりはありませんので、エンジンの本来の性能を発揮できませんし、誤給油が続けばいずれは故障の原因にも繋がってしまうことでしょう。
問題なのは、「ガソリン」と「軽油」の方です。
ガソリン車に軽油、もしくはディーゼル車にガソリンを入れてしまった場合、異常燃焼が起きる上に、煙が発生し、最終的にはエンジンが停止してしまいます。
そもそも、この2つはエンジンの仕様がまったく異なるため、エンジンの故障の原因となってしまうのです。
いずれにせよ、「仕様の異なる燃料を入れてしまう=故障の原因に繋がる」ことに間違いはありません。
価格が高騰しているからといって仕様と異なる燃料を入れる人はいないと思いますが、くれぐれも間違えて不適切な燃料を入れてしまうことがないよう、注意しておいてください。
どうやって見分ければいいの?
普段乗り慣れている車であれば、指定燃料の間違いを引き起こすことは早々ないかと思います。
しかし、レンタカーなどの乗り慣れていない車を運転する場合や、免許を取り立てで指定燃料のことをあまり理解できていない人からすると、誤給油の可能性は上がってしまう恐れがあります。
見分け方については、以下の方法で確認することができます。
◆車検証の「燃料の種類」欄を見る
給油口のフタやキャップ委は、種類を示すシールが貼られていたり、種類が印刷されています。
◆ハイオクガソリン :「ハイオク」「無鉛ハイオク」「無鉛プレミアム」
◆軽油 :「ディーゼル」「軽油」
などと記載されていますので、仕様にあった燃料を給油するようにしてください。
後は、「車検証」にも種類が記載されていますので、こちらを参考にしてみるのもいいでしょう。
ただし、こちらの場合はレギュラーとハイオクをまとめて「ガソリン」と記載されていることもあるため、若干の注意が必要です。
分からない場合は、メーカーのカタログや取扱説明書で確認してみてください。
また、人によっては“車の検討中に燃料の種類を調べる”のも良いかもしれません。
お店で質問をしたり、メーカーサイトでその詳細を確認するなどです。
確認する方法はいろいろと存在するので、誤給油のないよう、事前に確認しておくことをオススメします。
まとめ
以上が、「レギュラー・ハイオク・軽油」の特徴や見分け方、誤給油のリスクについてのご紹介となります。
それぞれに特徴があり、仕様と異なる油種を給油してしまうと、故障などの原因となってしまう恐れがあります。
そのため、事前に種類をしっかりと確認し、給油の際には間違った油種を給油しないようご注意ください。
特に、「ガソリン」と「軽油」の間違いが早期故障の原因となってしまうため、注意が必要となります。
人によっては、「”軽”油だから”軽”自動車でしょう?」といった間違った認識をしている人もいます。
また、「安いから……」といってガソリン車に軽油を給油することもいるかもしれません。
何度も言いますが、これらは車の故障や下手をすれば事故の可能性にも発展する恐れがあるため、絶対にしないようにしてください。
仕様を理解し、正しい給油を行って、カーライフを楽しんでみてください。