自動車の免許にはさまざまな種類が存在し、特定の乗り物を運転するためには該当する免許を取得していなくてはいけません。
今回は、その数ある免許の中の一つ「大型自動車免許」についてのご紹介です。
大型免許を取得できれば、道路交通法内で車両総重量や最大積載量の制限なく、トラックやバスなどの大型の自動車を運転できるようになります。
(大型特殊自動車は除く)
では、この免許を取得するためには、どんな条件が必要なのでしょうか。
また、取得難度やかかる費用、そして利用できる補助金・助成金はどうなっているのでしょうか。
この記事では、こういった点について詳しく解説していきたいと思います。
そもそも「大型免許」ってなに?
冒頭にも記載した通り、この免許を取得すれば「大型の自動車」に分類される車を運転することができます。
大型自動車とは、「車両総重量11t以上、最大積載量6.5t以上、乗車定員30人」のものを指しており、この免許で運転できる自動車の種類は、以下の通りとなります。
◆原動機付自転車
◆小型特殊自動車
◆準中型自動車(車両総重量3.5t以上7.5t未満、最大積載量2t以上4.5t未満、乗車定員10人以下)
◆中型自動車(車両総重量7.5t以上11t未満、最大積載量4.5t以上6.5t未満、乗車定員11人以上29人以下)
◆大型自動車(車両総重量11t以上、最大積載量6.5t以上、乗車定員30人以上)
ちなみに、大型免許とは略語であり、正式名称は以下となります。
●「大型自動車第二種免許」:旅客を載せる業務として運転する際に必要となる
運転する車種によって必要な免許が異なりますので、この点には十分注意しておいてください。
「取得条件」について
まず、大型免許の取得条件は、以下の通りです。
「普通自動車免許・準中型免許・中型免許・大型特殊免許のいずれかを取得しており、かつ運転経歴が通算3年以上あること」
つまり、この免許を取得できるのは、早くても“21歳から”となります。
ちなみに、「運転経歴が通算3年以上」というのは、免許停止の期間は含まれません。
また、大型免許を取得する際に必要となる視力は、「両岸で0.8以上かつ片眼で0.5以上」です。
(普通自動車免許の場合は、両岸で0.7以上、片眼で0.3以上である)
もちろん、眼鏡やコンタクトレンズなどを使用して条件をクリアするのもOKです。
他にも、「深視力検査」「聴力」「色彩識別」などのテストもあります。
加えて、上項で大型免許には「第一種」と「第二種」があると記載しましたが、それぞれの取得条件に違いはありません。
どちらも、運転経歴が3年以上で取得が可能です。
(普通自動車や中型免許の場合は、必要な運転歴が異なる)
そのため、「第一種の条件は満たしているものの、第二種の条件は満たしていない」などといった状況が発生することはありません。
そしてもう一つ。
「AT限定の普通免許を所持している人は、大型免許を取得できるの?ほかに何か条件がいる」という点についてです。
大型免許はMT車の運転となるため、「AT限定の普通免許しか持っていない場合はどうしたらいいのか?」と疑問を持つ人もいるかもしれません。
結論としては、「AT限定の普通免許しか所持していなくても、大型免許は取得できる」こととなります。
ただし、技能教習はMT車の運転が必須であるため、AT限定の人は「技能講習の時間が4時間多くなる」という点に追加されます。
しかも実質4時間でMTの操作方法を覚えなくてはいけないこととなるので、ペーパードライバー歴3年の人などは、別途料金が発生する補講が必要となる可能性もあるかもしれません。
この点には、若干の注意が必要となるでしょう。
免許取得までの流れについて
免許を取得するための条件は、大きく2つあります。
一つは、「指定教習所で教習を受ける」方法。
もう一つは、直接運転免許試験場で試験を受ける方法……いわゆる「一発試験」というものです。
※「一発試験」についての詳細は、以下記事をご覧ください※
ただし、どんな運転免許にも同じことが言えますが、一発試験は合格難度が非常に高いです。
そのため、一般的には教習所に通い、指定された時間数の教習を受ける方が良いかと思います。
教習所に通う場合の免許取得までの流れは、以下のようになります。
◆仮免許証が発行された後、路上教習も含めた第二段階の教習を受ける
◆第二段階の教習完了後、卒業試験を受けて合格する
◆その後、免許センターで学科試験や適性検査を受ける
また、この免許は、「けん引免許」や「大型特殊免許」などと同時に取得することもできます。
大型自動車は、その特性上、仕事で利用することがほとんどです。
そのため、他の免許も併せて取得しておけば、仕事の幅が増えたり収入アップにもつながる可能性が高まるので、併せて取得を目指すのも良いのではないかと思います。
どのくらい費用が発生するの?
結論から言うと、大型免許の取得の際は、「所持している免許の数」によって、教習時間数が異なることとなります。
例えば、上記でご紹介した通り、普通免許のAT限定免許しか所持していない人は、「技能講習の時間が4時間多くなる」のです。
もちろん、免許の取得費用は「通う教習所」によっても変わります。
そのため、一概に「大型免許取得には、〇〇円が必要である」とは言えません。
ただ、あくまで目安ではありますが、以下くらいの金額は必要となってくると思います。
◆「中型免許」を所持している場合 :200,000円~260,000円程度
◆「中型8t免許」を所持している場合 :270,000円~350,000円程度
◆「準中型免許」を所持している場合 :270,000円~390,000円程度
◆「準中型5t免許」を所持している場合:270,000円~430,000円程度
◆「大型特殊免許」を所持している場合:500,000円~650,000円程度
もう一度言いますが、これはあくまでも参考程度にご覧ください。
教習所によっても金額の変動があるため、各教習所のホームページやパンフレット、場合によっては教習所に問い合わせを行った上で、自身でしっかりと確認をしてみてください。
「合宿免許」もあるの?
「教習所で勉強する」という方法ですが、これは「自宅から教習所へ通学する」パターンと「合宿免許を利用する」パターンの2種類があります。
これは、他の運転免許と同じです。
※「合宿免許」については、以下記事を参照ください※
合宿免許の場合、卒業までのスケジュールがあらかじめ組まれており、通学するよりも短期間で免許を取得することが可能です。
また、通学に比べて合宿免許の方が、取得費用が安く設定されている場合も多いです。
ただし、その分「自分のペースで勉強ができない」「一定期間、身動きが取りづらくなる」というデメリットもあるため、どちらの方が良いとは一概には言えません。
もちろん、費用についても教習所によって変動してくるため、これもいろいろな情報を調べた上で、自分に合った方法を模索していただければと思います。
利用できる「補助金」「助成金」について
大型免許取得の際は、費用に一部が国から支給される「補助金」や「助成金」の制度を利用できる場合があります。
(受給資格に該当すれば、負担を軽減することができる)
その一つは、「人材開発支援助成金(若年人材育成訓練)」です。
これは、「事業主などが、労働者のキャリア形成を促進するために、訓練中の経費や賃金の一部を国が助成する制度」のことです。
そしてもう一つは、「教育訓練給付制度」です。
これは、「働く人による能力開発の取り組みを支援し、雇用の安定化・再就職の促進を目的とする雇用保険の給付制度」のことです。
受給条件を満たしているかどうかは、ハローワークにて確認することができます。
まとめ
以上が、「大型自動車免許」に関するご紹介となります。
この免許を取得すれば、トラックドライバーやバス運転手などでも活躍することができ、仕事の幅を大きく広げることができます。
また、同時に「けん引免許」や「大型特殊免許」も取得することが可能です。
大型免許は特性上、トラックドライバーやバスの運転手など仕事で使用する場面がほとんどなので、別の免許も併せて取得しておけば、仕事の選択肢が増えたり収入アップにもつながる可能性が高まるので、併せて取得しておくことは自身のキャリアアップに大いに役立てられることでしょう。
ただし、免許の取得難度はなかなかに高く、一発試験での合格はほぼ不可能に近いです。
そのため、基本的には教習所で勉強してから、免許取得に臨んだ方が良いかと思います。
教習所も「通学」と「合宿」の2種類が用意されており、かかる費用も教習所によってさまざまです。
ぜひ、自分に合った方法で免許取得を目指してみてください。