「バス」と一言でいってもさまざまな種類がありますが、その中でも多くの人になじみ深いのが「路線バス」ではないでしょうか。
路線バスは公共交通機関において重要な役割を果たしています。
しかし、普段何気なく利用しているものの、この運転手の詳しい仕事内容や必要な資格・給与まで詳しくご存じの方はそうはいないと思います。
今回は、路線バスの運転手の仕事内容やなり方・給与などについて、詳しくご紹介をしていければと思います。
「路線バス」とは?
概要
「路線バス」というのは、「決められたルート内でバスを運転し、バス停とバス停の間を時間通りに走る」ことをいいます。
同じ公共交通機関の乗り物でいえば、「電車」と同じようなものであり、地域の住民を乗せて目的地まで安全に運んでくれる乗り物なのです。
日本の交通インフラを支える重要な乗り物の一つであり、社会への貢献度も非常に高いものとなります。
運転手になるために必要な資格はなに?
路線バスの運転手になるには、「大型二種自動車免許」が必須となります。
これは、「大型の車に利用者(お客様)を乗せて”運賃をもらう”場合に必要な免許」です。
資格を取得する条件は、以下をクリアしている必要があります。
②「普通自動車免許」「大型一種自動車運転免許」を所持している
③「大型特殊自動車免許」を取得し3根二条が経過している
※②と③はいずれかの条件を満たしていれば良い※
ただし、“乗客の命を預かる責任ある仕事”ということもあり、合格率は非常に低く、普通自動車免許ほど気楽に取得できる資格ではありません。
(試験科目は、「適性検査」「学科試験」「技能試験」がある)
この資格取得については、以前に別の記事で詳しくご紹介しておりますので、以下にリンクを貼っておきたいと思います。
路線バス運転手の「働き方」について
次に、路線バス運転手の「働き方」についてのご紹介となります。
「3交代制」で働くことが基本となる
まず、路線バス運転手の場合は、「早番」「遅番」「夜番」の3交代制で働くことが一般的となります。
ただし、“ダイヤに沿って運航すること”と“始発と終発の時間が決まっていること”から、基本的に(深夜バスを除けば)深夜帯に働くことはありません。
出退勤時間や勤務時間帯こそ異なるものの、他の運転手に比べれば比較的規則的な生活は送りやすい方だと思います。
(ただし、食事をとる時間などは日によってバラバラではある)
ちなみに、交通事故を絶対に起こさないように注意しなければいけないため、乗務中は集中力と精神力の両方を必要とします。
そのため勤務中だからと言って、ずっと運転をするということはありません。
その日の勤務スケジュールに基づき、1時間半~2時間程度の運転と小休憩を繰り返し、業務を行っていくこととなるのです。
一日の流れについて
路線バス運転手の一日の流れは、以下のようになっています。
↓
②自分が受け持つ運転時間表を確認し、順路や到着時間を確認する
↓
③アルコール検知器を使い飲酒検知を行う。また、免許証の携帯や体調の良し悪しなどを確認する
↓
④運行管理者から鍵・金庫・携帯電話などを受け取る
↓
⑤バスの運賃箱に金庫をセットした後、「車両点検」をする
↓
⑥運行管理者と一緒に指差呼称を行い、管理者から運転時間表を受け取って出発する
↓
⑦運転と小休憩を繰り返しつつ、乗務を行う
↓
⑧乗務終了後に営業所へ戻り、車内に忘れ物がないかを確認する
↓
⑨安全管理のために、車体に傷や汚れがないかを確認する
↓
⑩運行後に再度飲酒検知を行い、運転日誌を記入する
↓
⑪運転管理者との修了点呼をした後、鍵などを返却し、業務終了
もちろん勤務する企業によって、業務内容や工程の違いはあるかと思いますが、一日のスケジュールは概ねこのようになっています。
尚、ほとんどのバス会社では、運転手自身が乗務前と乗務後に「車両点検」を行います。
乗務前は、「タイヤの空気圧チェック」「エンジンチェック」「ランプ類の点灯確認」「ブレーキ液量」など、車両点検票に書かれた50項目以上のものを確認します。
乗車後は、車内に忘れ物やその他の異常がないかを確認しています。
もちろん、乗務中に乗客の具合が悪くなったり、バスのトラブルなどが発生した場合であっても、運転手が対応することとなります。
路線バスの場合、乗務は基本的に一人で行うこととなります。
そのため、前・中・後の車両確認は運転手自身がしっかりと行い、乗客を安全に目的地に運べるように細心の注意を払う必要があるのです。
路線バス運転手は「体調管理」が何よりも大切である
バスの運転手にとって、“自身の体調管理”はもっとも大切なことの一つです。
上記の通り、路線バスの乗務は基本的に一人で行わなくてはならないので、乗務中に何かあっても他の人に頼ることはできません。
もちろん、運転手自身が健康でなくては、安全運転もできません。
そのため、忙しい中であっても、食事・睡眠・運動などに気を配って、健康維持に努めなくてはならないのです。
また、乗務前後には必ず飲酒検知によるアルコールチェックも行うため、お酒が飲める日も限られてきます。
乗務中はもちろん、プライベートであっても「バス運転手である」という自覚を持って、日々過ごすことが重要となるのです。
路線バス運転手の「給料」はどのくらいなの?
次に、路線バス運転手の給与についてご紹介していきたいと思います。
まず、公共交通機関の要である路線バスの運転手になるには、「バス会社」に就職することが基本となります。
そのため、勤務するバス会社によって給与額は異なります。
企業の規模によっても変わりますし、バス会社は全国各地に存在するため、地域によっても金額が変動するのです。
基本的には、企業規模が“小さなバス会社”よりも“大きなバス会社”、“地方”よりも“都市部”の方が給与額は高い傾向にあるといえます。
ちなみに、路線バス運転手の全体の平均額をみると、“年収:450万円前後”と言われています。
月収にすると“約370,000円”であり、この数値だけを見ると「路線バスの運転手って結構稼げる仕事?」と感じる人もいるかもしれません。
ただし、これはあくまで“平均金額”です。
上記で記載した通り、勤務する企業や地域によっても金額は変動しますし、一般的に“経験”や“年齢”によって給与は昇給していくこととなるのです。
そのため、他の企業のように若いうち(20代のうち)は、年収はもっと低くなることがほとんどです。
一般的には、20代のうちは“年収:200万円後半~300万円”くらいといわれており、月収にすると250,000円前後の人がほとんどなのです。
ここから、勤続年数によって金額が上昇していくこととなります。
尚、バス運転手全般の給与については、過去に詳しくご紹介しておりますので、以下にリンクを貼っておきます。
路線バス運転手の「雇用形態」について
まず、バス会社の経営は非常に厳しい(難しい)という点を先にお伝えしておきます。
その理由の一つは「運賃が安い」ということが挙げられます。
運賃が安ければ、それだけバス会社に入ってくる収入(利益)も少なくなります。
利益が少なければ、当然“別のなにか”を節約しなくては(削らなくては)いけません。
その一つが、「人件費」なのです。
このことから、バス会社は正社員以外の雇用形態で採用することも珍しくありません。
例えば、「契約社員」や「嘱託社員」などで採用するケースです。
ただし、公営バスの場合は、一般的には「正社員」を起用するバス会社がほとんどです。
なぜなら「乗客の命を預かる責任ある仕事であるため、正規職員でないと採用できない」と考える企業が多いからということと、「大型二輪免許を取得している人が少ない」ということが理由として挙げられます。
少なくとも「アルバイト」で職員を雇用することは絶対にありません。
(観光バスなどの場合、繁忙期にアルバイトとして短期採用することも時折ある)
とはいえ、公営バスも徐々に事業を“民間委託”するケースも増えており、経営そのものが厳しいという現実は避けては通れないようです。
路線バス運転手として働く「メリット」とは?
この仕事をする上でのメリットは、以下2つが挙げられるでしょうか。
②職場の人間関係によるストレスがない
①については、上項でもお伝えした通り、毎日決められたルートを時間通りに走ることとなるためです。
残業や夜勤がない分、生活リズムを整えやすく、家族サービスやプライベートの時間を充実させることもできるでしょう。
②についても上項でお伝えした通りであり、路線バスの運転は基本的に一人で行うためです。
仕事をする上でのストレスポイントの一つは「職場の人間関係」が挙げられますが、路線バス運転手の場合はこういった悩みを抱えることなく、リラックスして働けることでしょう。
路線バス運転手として働く上で「大切なこと」とは?
デメリット……というわけではありませんが、路線バス運転手として働く上で、一つ注意しておかなくてはいけないことがあります。
それは、「乗務中は、何があっても基本的に一人で対応しなければいけない」ということです。
何かしらトラブルが発生した際も、他の誰かに頼ることはできず、自身一人で問題に対処しなければいけません。
特に、「お客様からのクレーム」には要注意です。
この仕事は、プロの運転手としての活躍に加え、“プロの接客”が求められる仕事でもあります。
そのため、運転しながらでも常に利用者の様子を気遣う必要があるのです。
中には「接客態度が悪い」や「渋滞で到着が遅れた」などの理由で、クレームを受けてしまう場合などもあります。
メリットでご紹介した通り、確かにこの仕事は「職場においての(上司や同僚などの)人間関係のトラブル」は避けられるかもしれません。
しかし、“接客業”の一つでもあるため、「お客様とのトラブル」は避けては通れない点でもあるのです。
この点には、十分に注意しておく必要があるといえます。
まとめ
以上が、「路線バスの運転手」についてのご紹介となります。
ここまでにお伝えした通り、路線バスは公共交通機関の要であり、今後もその需要が無くなることはありません。
また、自動運転がどれだけ発達しようと“乗客の命を預かる仕事”であるバス運転手は、今後も必ず人の手が必要となるものでもあります。
加えて、「大型二種自動車免許」という“合格難度が高い資格を所有する必要がある=専門職である”ということから、誰にでも簡単に行える仕事でないことも確かです。
そのため、運転手自身の需要もそう簡単に無くなることはないといえます。
とはいえ、「バス会社の経営は困難である」という点から、今後働き方が変化する可能性も否定はできません。
もし「(路線)バスの運転手になりたい!」と考えている人は、情報収集を欠かさず、市場をしっかりと確認しておくことが大切かと思います。
大変な仕事であることも間違いありませんが、長く続けていける専門職であることも間違いありません。
関心がある方は、ぜひ知見を広げて、その一歩を踏み出してみてください。
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