消防法で定められた危険物の取り扱いおよび立ち合いに必要不可欠な国家資格である「危険物取扱者」。
資格を取らないとできない仕事でもあるため、若いうちから資格取得を目指す人は大勢います。
これまで、本資格についてさまざまな記事を公開してきました。
そして、今回ご紹介する内容は、以下の2つになります。
2.仕事の需要および将来性について
本資格は受験難度の高さもあって、誰にでも取得できるものではありません。
だからこそ、「仕事を続けていく上で大切なこと」や「将来的に本資格の需要があるのかどうか」を、事前に把握しておきたいという人もいるかと思います。
今回は、こういった内容について、詳しくご紹介をしていきたいと思います。
資格所持者に求められる資質とは?
この仕事は、資格を所持していなければ携わることができない仕事です。
また、ちょっとしたミスが事故や怪我にも繋がる恐れがあるため、誰にでも簡単にできる仕事というわけでもありません。
では、この資格所持者に求められる資質とは、どういったものが挙げられるでしょうか?
順に、詳細を解説していきましょう。
求められる資質1.「危険物の専門知識」
冒頭でもお伝えした通り、危険物を取り扱う仕事に就くためには「危険物取扱者」の資格は必須です。
それはなぜか?
「危険物に関する、確かな知識と技術が必要だから」です。
だからこそ資格(試験)を通して、知識を学ぶことが大切なのです。
しかし、知識をただ学ぶだけでは意味がありません。
その知識を“正しく活かす”必要があるのです。
業務の場面に応じて、活かせる知識は異なります。
また、現場(製造所や化学工場など)によっては一度に複数の危険物を取り扱うこともあるでしょう。
つまり、勉強で得た知識を組み合わせながら対処をしていく必要性もあるということです。
知識の活かし方が分からないと、現場で迷惑をかける恐れもありますし、下手をすれば大事故につながる可能性もあり得ます。
だからこそ「試験の合格だけが目的になってはいけない」のです。
実践(現場)のことを考えながら、資格取得後も常に学び続ける姿勢が必要かと思います。
求められる資質2.「責任感の大きさ」
この仕事は、「責任感」が非常に重要となります。
なぜなら、取り扱い方を少し間違えただけで、労働者や国民に被害が加わる……下手をすると重大事故を引き起こすリスクもあるからです。
自身はもちろんのこと、周囲の身の安全を日々考える必要があります。
特に、「甲種」や「乙種」の場合、取り扱いだけでなく、危険物を扱う現場において“立ち合いの仕事”もあります。
物の正しい扱い方だけでなく、現場に危険が及ばないような配慮も心がけなくてはいけないのです。
求められる資質3.「集中力の持続」
この仕事は、「集中力の持続」も求められることとなります。
なぜなら、わずかなミスが、火災や爆発のような事故につながるかもしれないからです。
例えばの話ですが、“タンクローリーの運転手”が交通事故を起こしてしまうと、事故によって大規模火災や爆発のリスクが生じてしまうため、大勢の人々に重大な危険が生じる恐れがあります。
もちろん、一般の乗用車同士でも接触事故によって周囲を巻き込む大事故に発展する恐れはあります。
とはいえ、危険物を取り扱っているからには、他の仕事以上に用心をしなければいけないことは確かなのです。
集中力を持続させるためのコツは、「自己意識を高める」ことです。
考え事で気を散らさないようにすることはもちろん、規則正しい生活をして、毎日の体調管理にも気を配らなければいけません。
求められる資質4.「事故発生時の冷静な対処」
どんなに注意をはらっていたとしても、どんなに仕事に集中していても、何かのキッカケで不慮の事故が起こってしまう可能性はあるかもしれません。
この事故が発生した時も、「冷静に対処しなければならない」のです。
問題が起きても慌てることなく、状況に応じて迅速+冷静に行動することが求められることとなります。
特に、「甲種」「乙種」などの“立ち合い業務”を行う方や、「危険物保安監督者」のような“監督する立場”の場合、事故対処のマニュアルはしっかり組み立てておいた方が良いかと思います。
なぜなら、立ち合い中の現場で、不測の事態が起こる可能性も十分にあり得るからです。
また、実際に事故が起きたときは、安全確保のうえ被害を最小限に抑える行動が大切となります。
仮に個人で対処できない場合は、すぐに消防・救急・警察などを呼ぶようにしましょう。
「仕事の需要」および「将来性」について
結論からいうと、「危険物取扱者の仕事は、”需要”も”将来性”も確かに存在する」と断言できます。
その理由は、大きく2つ存在します。
順に解説していきましょう。
その1.「資格の必要性」
一つは、「資格を所持していないと、仕事に携わることができない」という点です。
“資格がないと携われない=専門的な知識や技術が必要となる=誰にでもできる仕事ではない”となります。
現代社会には、危険物に関連したさまざまな仕事があります。
例えば、
◆発電所の保安員
◆製薬会社の社員
など、さまざまなジャンルで関わりがあり、それぞれに資格所持者が必要とされるのです。
中には「化粧品メーカー」のように、一見危険物とは無縁なイメージの業種であっても、必要とされるケースだってあります。
だからこそ、“必要な人材”として重宝されますし、高収入を目指すこともできるのです。
また、本資格が「国家資格」であるという点も、重要なポイントです。
“国家資格=社会的なステータスが高い”ため、資格を取得していれば就職・転職・キャリアアップにも有利となるでしょう。
(国家資格=企業からのニーズも高くなる)
このことから、将来性も含め、社会的な必要性は長く続いていくことと考えられます。
その2.「IT技術では置き換えることができない」
そしてもう一つは、「IT技術では置き換わらない」という点が挙げられます。
現代は、さまざまな仕事が“機械による自動化”に置き換わっています。
しかし、下手をすれば大事故に発展しかねない「危険物取扱者」は、機械による自動化に完全に置き換わることは考えられません。
なぜなら、「危険物を取り扱う仕事は、人間にしかできない」からです。
例えば、製造業や化粧品メーカーの場合、危険物が材料になってくることもあるでしょう。
それを使用して商品を丁寧に作るには、機械ではなく人間の力が必要不可欠となります。
人間の立ち会いがあってこそ、従業員が安心して仕事を進められるのです。
また、ガソリンスタンドのセルフサービスでは、「危険物取扱者の立ち合いが必要不可欠」となります。
AIに監視を任せることはできません。
なぜなら、仮に不慮の事故があった場合、機械には対応ができないのです。
また、危険物は人々の生活の中に密着しています。
危険物取扱者が必要となる現場は社会的にも多いとされており、これを機械による自動化に置き換えることは不可能に近いのです。
そのため、今後も資格や資格所持者の重要性が大きく損なわれることはないと言えるのです。
まとめ
以上が、「危険物取扱者に求められる資質」や「仕事の需要・将来性」についてのご紹介となります。
この仕事は、資格を所持して初めて携わることができる仕事となります。
そのため、社会的意義は大きく、今後もその需要が損なわれることはないと言えます。
もちろん、資格取得によって、収入アップやキャリアメイクにも役立てることができるでしょう。
将来的には、より重要度の高い「危険物保安監督者」への足掛かりにもなり得ます。
ただし、「危険物を取り扱う」もしくは「危険物を取り扱う現場に立ち会うor監督する」ということから、資格所持者に求められるものも相応に大きくなることとなります。
「将来性があるから、資格を取得しよう」ではありません。
資格を取得するなら、「仕事における使命の大きさ」も、十分に理解+意識しなければいけません。
下手をすれば、小さなミスから火災や爆発などの重大な事故につながる恐れもあるからです。
“誰にでも取得できる資格ではない”という点は、肝に銘じておいてください。
リスクのある現場で働く自分をイメージしながら、勉強に取り組むことをオススメします。