「運転代行サービス」とは、主に“お酒を飲む会へ出向いたとき”や“病気or体調不良などで車を運転できないとき”に、代わりに車を運転して指定の場所まで送ってくれるサービスのことを言います。
そして前回の記事にて、運転代行サービスの「サービス内容」や「注意点」について、詳しくご紹介をしました。
前回の記事が“利用者視点”であったのに対し、今回は“就業者視点”で、以下のようなことをお話していきたいと思います。
◆一日のスケジュールは?
◆必要な資格は?
◆お給料はどのくらい?
◆未経験からでも職に就ける?
◆仕事を行う上でのメリット・デメリットは?
「運転代行という仕事に興味がある!」という人に向けての記事になりますので、この仕事に関心がある人はぜひ参考にしていただければ幸いです。
運転代行の”具体的な仕事内容”について
その名の通り、この仕事の主な業務は「依頼者の車の運転を代行すること」となります。
「利用者の車を運転し、”利用者”と”車”を指定された場所まで送り届ける」
これが、この仕事の主な役割です。
尚、この際は必ず“自車の車が随伴(ずいはん)する”こととなります。
その理由は、「運転代行は、2人1組での行動が義務化されているため」です。
仕事を行うときの流れは、以下のようになります。
◆片方のドライバーが客車の代行運転を担当、残りの1名が随伴車を運転し、客車の後ろを着いていく
◆目的地に到着後、随伴車で営業所に戻る
ちなみに、運転代行サービスは「”利用者”と”利用者の車”を目的地に運ぶ」ことが目的であり、以下の行動は禁止されています。
2.利用者の車のみを目的地に運ぶ
3.利用者を随伴車に乗せる
特に3.は「白タク行為」として、法律で禁止されています。
(詳細は前回の記事にて)
似たような業種として「タクシー」が存在しますが、あちらは“利用者のみを目的地に運ぶ”ことが業務の目的であり、実際は似て非なるものなのです。
一日のスケジュールは?どのように働くの?
この仕事の主な利用者は「飲酒している人」が対象となります。
そのため、仕事は基本的に“夜から”となることが多いです。
例えば、以下のようなスケジュールが挙げられます。
2.依頼が来たら随伴車で移動し、運転代行を行う
3.営業所に戻り、再び依頼がくるまでで待機
4.1~3を繰り返す
5.早朝(5:00前後)に業務終了
このような流れです。
ただし、上記はあくまで一例であり、地域によって終了時間は異なりますし、仕事が少ない日は早く終了したりすることもあります。
また、夜の勤務が多いのは“飲酒時に利用する人が多い”からであって、すべての業者が夜のみ営業をしているというわけではありません。
地域(業者)によっては“観光用”として運転代行を行っているところもありますので、地域や業者により勤務形態はさまざまに存在すると考えておいてください。
運転代行になるために、必要な「資格」とは?
まず、「車を運転する」という仕事であることから、当然ながら「普通自動車免許」が必須となります。
そして「普通自動車免許」の中には、“第一種”と“第二種”が存在し、状況(運転する車)によって必要な免許が異なります。
結論から言うと、以下のようになります。
◆随伴車の運転のみを行う→第一種免許があれば良い
「第一種免許」とは、一般の乗用車を運転するのに必要な免許であり、18歳以上であれば誰でも取得することができます。
(教習所に通って勉強をする必要はある)
そして「第二種免許」とは、代行運転やタクシーなどの運転に必須の免許であり、“第一種免許を取得してから最低3年以上は経過していないと免許の取得ができない”こととなります。
後述で詳しくお話しますが、第二種免許の有無で給与に大きな差が出ますので、「運転代行の仕事がしたい!」と考えている人は第二種免許の取得を目標にしてみることをオススメします。
尚、必要な資格は「運転免許」のみとなりますが、それとは別に以下のような“スキル”も必要となります。
◆安全運転を行うためのドライビングスキル
◆裏道など、地域の道に詳しくなる(地理を覚えること)
◆利用者を同乗して運転を行うため、コミュニケーションスキルも必要となる
上記は必須ではないものの、業務をスムーズに進める上では重要なスキルと言えるでしょう。
お給料はどのくらい?
まず、もっとも重要な点として、「”代行運転をする”か”随伴車の運転をする”かで、給与が変わる」こととなります。
当然、代行運転を行う方が給料は高くなります。
そして、給与体系は業者によって千差万別です。
2.時給制
3.歩合制
4.月給制
特に1~3を採用している業者が大半を占めており、逆に4の月給制を採用している運転代行業者は少なめです(全く採用されていないわけではない)。
また、“日給制or時給制+歩合制”を採用しているところもあります。
歩合制とは、「代行業者の売上によって、収入が変動する」というものです。
当然、売上が増えるほど収入も増加するため、頑張った分だけ給与に反映されるというわけです。
ただし、運転代行は「お客様からの依頼があってこそ成り立つ仕事」ではあります。
タクシーのように「流し営業(※)」をしてお客様を見つけることはできません。
※「流し営業」:空車で走行しつつ、利用者を探すこと※
自身の努力次第で給料が増える……とはいえ、タクシー業界以上に“お客様の利用頻度次第”となるため、この点には若干の注意が必要といえるかもしれません。
そしてもう一つ、収入の面で注意すべきことがあります。
それは、「思った以上に稼げない」ということです。
月給の相場は、“おおよそ15万円ほど”と言われており、年収は“150~250万円前後”となります。
これの大きな理由としては、この仕事の雇用形態の多くが「アルバイト・パート」や「日雇い」であることです。
そのため、この仕事を本業として生活をしていくのは難しいところがあります。
(もちろん勤務する先にもよりけりですが)
逆に、“副業”として考えるのであれば、昼間に別の仕事・夜に運転代行の仕事をすればいいので時間の融通が利きやすく、稼げる仕事となるかもしれません。
未経験からでも職につける?
結論から言うと、「未経験でも採用の募集は多く存在する」です。
ただし上記でもお伝えした通り、募集されている雇用形態は「アルバイト・パート」や「日雇い」がほとんどです。
必要となる資格は「普通自動車免許(第一種)」のみであることも多く、興味があれば比較的誰でも始めやすい仕事と言えるでしょう。
(二種免許は、職に就いた後に取得する)
もちろん、正社員募集が全くないわけではありません。
しかし、その母数そのものが非常に少なかったり、「二種免許必須」「経験者のみ」など、若干採用条件が厳しくなる可能性が高まります。
この点は募集している企業によって内容がさまざまに異なりますので、興味がある人は求人募集を探してみてください。
「運転代行 求人 〇〇(←地域名)」と検索すれば、インターネット上でもさまざまな求人を閲覧することができるはずです。
尚、運転代行は“副業”として仕事をしている人が多いのも特徴に挙げられます。
その理由は、「働き方改革によって残業が少なくなったため」です。
◆(残業代が減り)昼間の仕事だけでは生活ができない
こういった人たちが、副業として運転代行の仕事をしているのです。
「未経験でも仕事に就ける可能性がある」「運転免許があればOK」という点で、職に就きやすい仕事として人気があるのです。
仕事を行う上での、メリット・デメリットとは?
ここまでに運転代行についての内容をいろいろとご紹介してきましたが、ここで「運転代行を行う上での、メリット・デメリット」をご紹介したいと思います。
メリットについて
夜型の生活スタイルが好きな人
この仕事の主な労働時間は、「飲食店がにぎわう時間帯=夜」となります。
夜~早朝にかけての勤務が主となるため、夜型の生活スタイルが好きな人にオススメの仕事と言えるでしょう。
副業を考えている人
上記でもお伝えした通り、この仕事は副業として人気のある職業です。
◆未経験でも職に就ける可能性がある
◆必要な資格は運転免許のみ
副業として考えれば、なかなかに稼げる業種でもあるため、副業を検討している人には始めやすい仕事と言えるでしょう。
車or車の運転が好きな人
代行運転を行う場合、「利用者の車を代わりに運転できる」ということから、さまざまな車種・年式の車を運転できるようになります。
「車が好き!車の運転が好き!」という人には楽しめる仕事かと思います。
デメリットについて
生活リズムが崩れやすくなる
メリットの点でも記載した通り、この仕事の主な業務帯は「夜~朝方」です。
必然的に昼夜逆転の生活となるため、生活リズムは崩れやすくなることを覚悟しておいた方がいいでしょう。
また、この仕事は「休憩時間がバラバラである」という点にも注意しておいた方がいいかと思います。
というのも、「基本は営業所で待機し、利用者から連絡があり次第で業務にあたる」ためです。
そのため、適度に休憩を取れる日もあれば、忙しくて全く休憩が取れない場合もあります。
まして夜中の仕事が多くなる+利用者(利用者の車)を安全に目的地に運ばなければいけないため、睡眠不足などには要注意となります。
「地方に住みたくない」という人
運転代行という仕事の関係上、地域的には“車がないと生活が不便=地方”の方が需要があるということになります。
都心の場合は電車・タクシーなどの公共機関も充実していますし、正直あまり運転代行の需要は高くはありません(全くないわけではないが)。
そのため「地方には住みたくない、都心で仕事を探したい」という人は、仕事がそう多くはないという点に注意しておくといいでしょう。
利用者の大半は、”酔っぱらった人”である
これも運転代行という仕事の都合上仕方のないことなのですが、利用者の多くは「飲酒している人」となります。
中には酔った勢いで絡んでくる人もいるため、通常の接客業やタクシードライバー以上に接客には気を使うこととなるでしょう。
本業として仕事に従事することは難しい
上項でもお伝えした通り、月給の相場は“15万円ほど”であり、年収は“150~250万円前後”となります。
雇用形態もアルバイト・パート・日雇いなどが多いため、この仕事を本業として生活をしていくのはなかなかに難しいかと思います。
ただ、これは勤務する企業によって異なります。
場合によっては正社員として勤務することもできるかもしれません。
ただ、それでもタクシードライバーの方が稼げる可能性は高いかと思います。
※タクシードライバーの給与や福利厚生については、以下記事を参照ください※
まとめ
以上が、「運転代行を仕事にする上での大切なポイント」のご紹介となります。
この仕事は、法規制や飲酒運転根絶の取り組みなどもあって、その需要は高いとされています。
そのため、運転代行の募集は比較的多く・募集が途切れる事が少ない為、給料や待遇を比較しながら選べるのも魅力の一つと言えるでしょう。
人によりけりではありますが、(主に夜間勤務となるため)副収入を得ることができるダブルワークもやりやすく、職に就きやすいのも利点です。
ただ、だからといって「決して楽な仕事ではない」ということも意識しておかなくてはいけません。
◆収入は少なめである
◆第二種免許がないと代行運転はできない(=随伴車の運転だけでは稼げない)
◆安全運転を常に意識していなくてはいけない
◆利用者とのコミュニケーションに気を遣う
こういったデメリットも存在するため、職に就いたはいいものの、途中で挫折してしまう人も少なくはありません。
また、近年は「新型コロナウイルス」の影響もあって、夜に外で飲酒をする人も減っているのが現状です。
利用者が減れば、当然収入にも大きな影響を及ぼしてしまいます。
(歩合制であれば、特に)
こういった点に注意をしつつ、それでも「運転代行という仕事に興味がある!」という人は、知見を広げて就職への一歩を踏み出してみてください。
決して楽な仕事ではありませんが、メリットも当然あります。
自分に合っているかどうかは「やってみなければ分からない」ので、関心があれば思い切って求人に募集してみるのもいいかもしれません。
その後どうするかは、就職して実際に業務についてから考えてみるでもいいのですから。