公共交通機関のかなめの一つである「バス」、そしてそのバスを運転する「バス運転手」。
バス運転手のなり方や給与・働き方については、過去の記事にてご紹介をさせていただきました。
バス運転手は、「普通自動車免許」を所持していれば、未経験からでも求人募集をしている会社は多く存在します。
そのため、比較的“誰にでも職に就ける可能性がある職業”といえるのです。
しかし、バス運転手は決して楽な仕事ではありません。
今回は、「バス運転手に携わる上での、メリット・デメリット」。
そして、「バス運転手という職業の、需要・現状・将来性」について、詳しく解説していきたいと思います。
今後、バス運転手を目指す人たちにとって、少しでも参考になれば幸いです。
「バス運転手」に携わる上でのメリット・デメリットについて
まずは、「バス運転手という仕事に携わる上での、メリット・デメリット」から、お話していきたいと思います。
メリット(やりがいや楽しさ)について
その1.バスを”運転できる”という喜び
≪バス運転手のなり方≫の記事でもご紹介しましたが、この仕事に携わるためには「大型二種自動車免許」が必須となってきます。
そして、この「大型二種免許」の合格率は、“約10%”と非常に難関なのです。
冒頭でも記載した通り、この仕事は未経験からでも職に就ける可能性があり、”入り口”は広いかと思います。
しかし、この仕事に本格的に携わる場合は、“大型二種免許を取得した人=しっかりと努力をした人”だけができる仕事となります。
基本的に、「バス運転手になりたい!」という人は、以下のような人が多いです。
◆バスそのものに魅力を感じている
◆大きな車を運転したい
こういう人にとって、バスを思い通りに動かせるというのは、それだけで至上の喜びを感じられるのです。
その2.長く続けることができる
上記でも記載した通り、この仕事に携わる際には「大型二種免許」が必要となります。
そして、この免許の合格率は“約10%”です。
加えて、この免許は一度取得してしまえば“失効”することもありません。
そのため、一度免許を取得してしまえば+バス運転手としての経験があれば、長く働き続けることができるのです。
確かに、この仕事は未経験からでも職に就ける可能性があります。
しかし、企業側からすれば「即戦力となる人物が欲しい」となるのは当然のことなので、免許所持or経験者の方が、就職に圧倒的に有利になることは間違いないのです。
バス運転手は、“経験”がものを言う仕事です。
そのため、勤続年数が長くなれば、よりよい待遇を求めて転職する人も珍しくありません。
その際も、免許所持or経験者の方が、高待遇となります。
(体力こそ必要なものの)高齢の方であっても活躍できる仕事であるため、将来を見据えて「長く続けられる仕事である」というのもメリットの一つに挙げられるかと思います。
その3.他人と働く煩わしさがあまりない
バスの運転手は、基本的には“自分一人で業務を行う”こととなります。
(観光バスの場合はバスガイドがいたり、長距離バス走行の場合は運転手が2名いたりなど、一部例外もある)
少なくとも、路線バスや短距離を走るバスの場合は、自分以外に運転手が同乗することはまずありません。
仕事をする上でストレスとなる原因の一つは“人間関係”です。
しかし、バス運転手の場合は「人間関係に気を遣う必要があまりない」仕事といえます。
その4.平日や昼間に休むことができる
バス運転手……特に路線バスの運転手は、交代制で働くことが基本となります。
観光(貸切)バスであっても、「シフト制」で勤務することが基本となります。
そして、バスは土日祝でも運行しているため、一般の人が休んでいるときには仕事となることも多いです。
確かに、「勤務時間は一定がいい」「土日祝は休みたい」という人にとっては、大変な仕事かもしれません。
しかし、一方で「街が空いている平日に休みたい」「日中に私用を済ませたい」という人にとっては、これがメリットに感じる場合もあるのです。
その5.お客様との触れ合い
この仕事は、多くのお客様を乗せて目的地まで運送することとなります。
そのため、乗務中(特に降車の際)は、多くのお客様と接する機会があります。
時には、お客様から「ありがとう」「ご苦労様」と声を掛けてもらえることもありますし、停車中に子どもが手を振ったり、バスをみて喜んでくれたりもします。
“お客様との触れ合いを直に感じることができる”
この点に、やりがいや誇りを持つ人もいるのです。
その6.毎回、違うルートを走る
路線バスの場合はルートが決められているためこのメリットには当てはまりませんが、観光(貸切)バスの場合は毎回違うルート・地域を運転することとなります。
ときには数百km離れた場所まで行くことも珍しいことではないため、運転好きの人にとっては「バスの運転をしながら、さまざまなルート・地域を走ることができる」という魅力があるのです。
デメリット(辛い・大変なこと、苦労など)について
その1.神経を使う(集中力を必要とする)こと
メリットの項目にて、「バス運転手は運転することが好きな人多い」と記載しましたが、運転が好きだからといって、誰にでもできる仕事ではないことも確かです。
その理由として挙げられるのが「神経を使う(集中力を必要とする)こと」にあります。
というのも、大型バスは一般的な乗用車とは大きさそのものが全く異なります。
狭い道・細い道の行き違い、坂道発進や低発射など、どれもこれも確かな技術がないとスムーズに運行することができないのです。
また、「運行ダイヤを常に意識しておかなくてはいけない」という点や、「乗客の命を預かる仕事」であることからも、かなり神経をすり減らす仕事となるのです。
“乗務中はほとんど気を抜く暇がない”といっても、過言ではないでしょう。
その2.お客様とのやりとりが、ストレスになることも……
これもメリットの項目で記載したことですが、「乗務中はお客様とのやり取りが発生する可能性がある」のです。
この仕事は、“プロの運転手”としての技量が求められると同時に、“プロの接客”も求めらえることとなります。
挨拶やアナウンスはもちろん、運転しつつもお客様の様子は気遣っておく必要があります。
また、「接客態度が悪い」「渋滞で到着が遅れた」などで、クレームを受けてしまうことも……。
お客様とのやり取りは、魅力の一つでもあり、ストレスの原因になってしまう可能性もあるのです。
その3.休みが不規則になる
これもメリットで記載したことと相反することになりますが、この仕事は“休みが不定期になりがち”です。
早朝・日勤・遅番・夜勤など、働く時間はさまざまですし、土日祝に休みになることは少なく基本は平日に休日となることが多いとされています。
また、ゴールデンウィーク・お盆・年末年始など、他の人が休みを取っている連休も、基本は仕事となるケースが多く、連休を取ること自体難しい企業もあります。
◆勤務時間の長さ
◆拘束時間の長さ
こういった点が、仕事をする上での負担になることも多いのです。
その4.給与が低い
≪以前の記事≫でもご紹介しましたが、バス運転手の給与は他職種と比べて若干低くなっています。
加えて、バス運転手は大型二種免許を必要とするため、未経験からこの仕事に就いた人は、「まず免許取得から着手しないといけない」と、実際に職に携わるまでに時間を要することとなるのです。
「やっとの思いで免許を取得したのに、労働条件は厳しいし、給与も安いし……」といった理由で、退職する人が一定数いることもまた事実なのです。
「どうして、バス運転手の給与は安いのか?」
この理由は、“他の公共交通機関に比べて、運賃が安価である”という点が挙げられます。
企業側も利用者側も、上記を踏まえて利用するのです。
当然、会社も自社の利益を優先しなければいけません。でないと、経営が維持できないからです。
そうなると、「どの経費を削減するか……?」が問題となってきます。
その際に真っ先に候補に挙がるのが、“人件費”となってしまうのです。
実際、バス運転手の退職・転職理由としてもっとも多いのは、「仕事量と給与(待遇)が見合っていない」なのです。
バス運転手の「需要」「現状」「将来性」について
次に、バス運転手の「需要」「現状」「将来性」について、ご紹介をしていきたいと思います。
上記でもご紹介した通り、バス運転手は“未経験”からでも採用される可能性はあるものの、「大型二種免許」が必要となることから、“入り口は広いものの資格取得でつまづく人”が多いのも現状です。
しかし、免許取得後はどうなのでしょうか?
この項目にて、詳しくお話していきましょう。
「需要」について
記事の冒頭でも記載した通り、バスは“公共交通機関のかなめ”です。
電車やタクシーなどと同様に、人々の移動手段の一つとしてなくてはならない存在であり、昔も・今も・これからも、その需要がなくなることは無いと考えて問題ないでしょう。
また、路線バスであれ観光(貸切)バスであれ、どんどん多様化もされています。
電車が通っていない地域などでは「コミュニティバス」も普及が進んでおり、バス運転手の活躍の幅はどんどん広がっているといえます。
このことから、バスの需要が今後もなくなることは早々ありません。
そのため、健康でありさえすれば、定年もしくはそれ以上に長く働くことができる仕事であり、一度免許を取得し技術を身に着ければ、長く・安定的に働けるかと思います。
ただし、要注意点として「給与や待遇は(他職種に比べて)あまり良くない」という問題点もあります。
とはいえ、この点は地域や務める企業によっても千差万別なので、就職・転職を検討する際は、よく比較した上で勤務先を選択するようにしてください。
「現状」について
現状、バスの需要は確かに存在するものの、「バス運転手そのものが不足している」という現状があります。
その理由は以下の2つが挙げられます。
◆「精神的なストレスが大きい」
何度もお伝えしている通り、この仕事は「長時間運転を強いられる」ことと「多くの乗客の命を預かる仕事」であることから、かなり神経を使うこととなります。
しかし、給与や待遇があまり良くなく、悪い面が強調されてしまい、比較的早くに現場を離れてしまう人も多いのです。
この点が改善されていけば、今後バス運転手を希望する人も増えていくかもしれませんが、現状は「厳しい仕事である」という認識をしっかり持った上で就職をした方がいいかと思います。
ただし、上記でもお伝えした通り、地域や企業によって働き方や給与は多様に存在します。
バス会社は全国にあるので、会社によって労働環境が大きく異なるのです。
もう一度言いますが、就職・転職を考えている人は、就職前に会社の雰囲気や待遇などをしっかり確認しておくことをお勧めします。
「将来性」について
結論から言うと、「バス業界もさまざまな変化が起こっており、今後よりより良くなっていく可能性はある」です。
というのも、過去には“運転手の過労により、大きな事故にまで発展するケースも存在していた”ことがあり、バス業界全体に大きな影響を及ぼしたこともあるのです。
詳細は以下にて。
事故をキッカケに安全管理が見直されることは実に残念な話ではありますが(本来は事故を未然に防ぐべきである)、着実にバス運転手の労働環境が改善されていることは事実なのです。
また、上記でご紹介したデメリット(給与が低い)の関係もあってか、バス運転手は若手が少なく、運転手の高齢化が顕著にもなっています。
高齢化が進めば、いずれその人たちが退職していく可能性があり、“人材不足がより顕著となる”という問題点も、課題として挙げられています。
このことから、より働きやすい環境づくりが求められてもいるのです。
◆若者の積極的採用
◆女性の積極的採用
など、どのバス会社はも新しい取り組みが着々と進められています。
このことから、“より働きやすい環境づくり”はどんどん進められていくと考えられています。
最後にもう一つ。
近年は、「機械が人に代わって仕事をする」というケースがどんどん増えています。
運転であれば、“自動運転”も発達し続けており、いずれは“運転すら完全に自動化される”ということもあるかと思います。
しかし、「乗客の命を預かる仕事」であるバス運転手の場合は、バスを監視・管理して安全に運行していかなくてはいけないため、今後どれだけ自動運転やAIが発達したとしても、「機械にすべてが取って代わられる」ということはまずあり得ません。
どんな形であっても、必ず人の力が必要となってくるはずです。
そういう意味でも、「将来的にバス運転手の仕事がなくなる」というのは考えにくいため、将来性もあるといえるかと思います。
まとめ
現状だけをみると、「バス運転手の仕事は非常に厳しい」と言わざるを得ません。
しかし、公共交通機関のかなめである「バス」そのものが今後なくなることはまずありませんし、超高齢化社会に突入している日本にとって、バスの主要は今後も高まっていくと考えられています。
需要・将来性ともに確かに存在するのが、バス運転手のメリットとも言えるかもしれません。
「バス運転手になりたい!」「バス運転手に興味がある!」という人は、人材が不足している今がチャンスとも言えます。
興味がある方は、知見を広げて、ぜひその一歩を踏み出してみてください。
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