「事故やトラブルが発生し、車が損傷してしまった……」
こういうとき、どこに修理を依頼するかで悩む人も多いのではないでしょうか。
特に、小さな傷や故障なら、ガソリンスタンドで済ませてしまうこともあるかと思います。
ただ、表面上は大したことがなさそうであっても、内部が大きく破損していることもあります。
あとで大事にならないよう、万が一のことを考えて「自動車整備工場」に依頼をするのも一つの方法だと思うのです。
今回は、「利用したことがない」「どんな点に注意して依頼すればいいか分からない」と不安を感じる方に向けて、「自動車整備工場」について詳しくご紹介をしていきたいと思います。
「自動車整備工場」ってなに?
これは、「自動車分解整備事業」に該当します。
“自動車の整備を行う工場”ということで、自動車に関する「修理」「点検」「整備」「車検」などを行ってくれます。
また、開業するためには地方運輸局長の認証が必要となるため、ガソリンスタンドでは行えないような分解を伴う修理も可能です。
業務範囲は幅広く、また工場によっても多種多様に変化します。
例えば、板金塗装を行ってくれるところがあったり、逆に修理だけを専門としている・車検を主に行っているなどの工場もあります。
ちなみに、専門的な知識や技術が求められる作業(内部の整備や修理が必要かどうかの診断など)は、ここでしか受けることができません。
この整備工場は、「ディーラー系整備工場」と「民間整備工場」に大別されます。
「ディーラー」というのは、特定のメーカーもしくは販売会社と特約店契約を結んだ販売店のことをいいます。
そのため、前者の場合は「特約店として契約を結んでいる特定メーカーの自動車のみ、整備点検・修理に関する業務を行うことができる」となります。
対して後者の方は、「特定の自動車メーカーに限定されず、整備点検・修理などを行うことができる民間の整備工場」です。
扱うメーカーが多彩なだけでなく、会社の規模もさまざまとなります。
「認証工場」と「指定工場」の違いについて
上記でご紹介したものとは別に、自動車整備業は以下2つの形態の工場に分けられます。
◆「指定工場」
自動車整備の専門家である点は共通していますが、両者には決定的な違いがあります。
それは、“車検を行えるかどうか”です。
「認証工場」で実施できるのは点検・整備までであり、車検を完了するためには対象の自動車を陸運局に持ち込んで検査をしてもらわなくてはいけません。
対して「指定工場」の方は自動車の検査ラインを所有しているため、車検の完成検査までを行うことができます。
(検査後に必要書類を陸運局に持ち込めば、車検証が発行される)
「指定工場=民間車検場」とも呼ばれるのですが、これが理由となります。
どちらであっても、地方運輸局長の「認証」が必須となります。
ただし認証工場に比べて、指定工場の方が認定を受けるための基準が厳しく設けられています。
「作業場の規模」「工員の数」「整備士の有資格者の数」など、細かな基準を満たさなくてはいけないのです。
代表的な整備内容について
故障やトラブルは状況によってさまざまではありますが、ここで代表的な作業内容をご紹介してみたいと思います。
ご紹介するのは、以下の3つです。
②「カーエアコンの修理」
③「ボディのへこみ修理」
順に解説していきます。
代表的な整備内容①「タイヤのパンク修理」
これは、車のトラブルの中でも多い部類に入ります。
まずはパンクしたタイヤの状態を整備士がチェックし、”修理する”か”買い替える”かの判断がされます。
修理で問題ないと判断した場合は、パンク修理材やシールなどを使用して、損傷個所を塞ぐこととなります。
修理すべきか交換すべきかは素人目には判断できないので、親身に相談に乗ってくれる整備工場を選択したいところです。
代表的な整備内容②「カーエアコンの修理」
次に「カーエアコンの修理」ですが、エアコンが故障する原因はいろいろとあります。
例えば、「冷媒ガスの充填不具合」であったり、「コンプレッサーやサーモスタットの故障」、「エンジンを冷ます冷却水の不足」などです。
対処法は原因によって異なるため、どんな症状が起きているのかをお客様に聞き取りを行いつつ、修理内容を決定していきます。
このとき、一つ注意しておかなくてはいけないことがあります。
それは、「工場によっては電装系に強い業者に外注する場合がある」ということです。
その場合は修理に時間がかかることもありますので、依頼の前に修理完了までの日数を確認しておくようにしましょう。
代表的な整備内容③「ボディのへこみ修理」
最後は「ボディのへこみ修理」です。
一般的には、へこんだ部分を引っ張り出したうえで、パテなどで修復したり塗装・研磨などをして傷やへこみを目立たないようにします。
このような作業(=板金作業)は分解作業が発生しない部位の修理が多いため、街の板金工場でも対応してもらえることがあります。
ただ、”へこむ=車をぶつける”ということであるため、その衝撃で内部まで破損している可能性も否定はできません。
「このくらいなら整備工場に依頼しなくてもいいか……」と油断していると、のちに大きなトラブルに発展しないとも限りません。
一見軽微な損傷であったとしても、プロに細かくチェックしてもらうのが安心といえるでしょう。
自動車整備工場で働いている人は、資格を持ったプロの作業員である
「認証工場」であれ「指定工場」であれ、認定されるためには「自動車整備士資格」を所持した作業員が必須となります。
自動車は精密かつさまざまな部品で構成されており、素人がそう簡単にいじれるものではありません。
だからこそ、専門的な知識・技術を有したプロの整備士がいる整備工場に依頼をするのです。
この整備士資格ですが、国家資格であり、等級は1級~3級+特殊整備士というものが存在します。
※整備士資格については、以下記事を参照ください※
自動車整備士の資格は、自動車修理のプロフェッショナルの証です。
トラブルが発生した際は自己判断で済ませずに、整備工場に持ち込んできちんと問題を解決するようにしましょう。
修理を依頼する際の「注意点」について
特にはじめて整備工場に修理を依頼する場合、分からないことだらけで戸惑うことも多いと思います。
修理を依頼する際に注意しておくべき点としては、以下の3つが挙げられます。
②「民間整備工場を利用した場合、ディーラー保証が受けられなくなる可能性がある」
③「代車を用意してくれるのかを確認すること」
トラブルを未然に防ぐためにも、上記の点は事前にしっかりと押さえておくことをオススメします。
順に、それぞれ解説していきます。
注意点①「修理前に見積もりを取り、書面にしてもらうこと」
業者に依頼し修理をしてもらうということは、大なり小なりの費用がかかることとなります。
特に車の修理の場合は、それなりの費用がかかることでしょう。
もし見積もりを取らずに修理を依頼してしまうと、あとになって思いもよらない高額な費用を請求される可能性もあるのです。
車の故障や不具合は、素人目にはどこまで影響を及ぼしているのか判断がつきづらいです。
「大した金額じゃないだろう」と決めつけてしまうと、思った以上に修理費がかかる可能性も在りうるのです。
そのため、修理前にきちんと見積もりを出してもらうようにしましょう。
そして、修理費用や修理範囲を書面で出してもらいましょう。
そうすれば、契約後のトラブルを未然に防ぐことができるはずです。
加えて、もし「作業後に不具合が見つかった場合」は、作業前に確認の連絡を入れもらうよう伝えておくと、追加料金発生のリスクも抑えることができるかと思います。
注意点②「民間整備工場を利用した場合、ディーラー保証が受けられなくなる可能性がある」
整備工場には「ディーラー系整備工場」と「民間整備工場」の2つが存在するとお伝えしましたが、民間整備工場を利用するとディーラー系整備工場のときと比べて修理料金が安くなる場合があります。
なぜかというと、「部品代を安く抑えることができる」からです。
ディーラー系整備工場での修理の場合、主にメーカーの純正品を使用することとなります。
対して民間整備工場の場合は、互換品やリサイクルパーツを使用されることがあるのです。
ただし、このときに注意点があります。
それは、「社外品の部品を取り付けると、以後はディーラーの保証が受けられなくなる場合がある」です。
もし社外品の取り付けを提案された場合は、価格だけで考えずに、ディーラー保証のことも含めて検討してみてください。
注意点③「代車を用意してくれるのかを確認すること」
修理を依頼する際、「どのくらい修理期間を要するのか?」が気になる人は多いと思います。
それを確認する際に、もし修理期間が必要であるならば「代車を用意してもらえるかどうか」も確認しておくといいでしょう。
通勤・通学・買い物・子どもの送り迎えなど、車を毎日使用する人もいるはずです。
そういう人は、修理を出している期間は非常に不憫になってしまうはず。
尚、代車は有料となる場合もあります。
有料であるならば、「どのくらい費用がかかるのか?」もしっかりと確認しておきましょう。
まとめ:安心して任せられる業者に依頼しよう
安全に自動車に乗るためには、内部までしっかりと点検してくれる自動車整備工場に依頼することをオススメします。
一見すると問題ないように見えても、内部がどうなっているかは分かりません。
「大した損傷ではない」と自己判断せずに、何かあればプロの整備士に依頼をすること。
それが、安全に愛車を乗り続けるための大切なポイントかと思います。
尚、自動車整備工場は全国各地さまざまに存在します。
特に初めて修理を依頼する場合、「どこに依頼をすればいいか分からない……」と不安を感じる人もいるかもしれません。
そういうときは、以下の点に注意してみましょう。
◆「整備の必要性をきちんと説明してくれる」
◆「質問に対して、丁寧に答えてくれる」
◆「最終的な判断を委ねてくれる」
中には知識や技術が豊富な人もいるかもしれませんが、基本的に車の内部事情にまで精通しているドライバーはそう多くはありません。
分からない、自分ではどうすることもできないからこそ、整備工場に依頼をしにくるのです。
だからこそ、「素人にも分かりやすく説明をしてくれる整備工場は安心できる」といえます。
不明点や不安点があれば、そのままにせずにきちんと質問すること。
そのうえで、任せられるかどうかを判断し、納得のいく業者に仕事を依頼してみてください。